まちの政治家は、こんなことしてます |
2007年7月5日(金)のフジノ |
● 予想できた今朝のアメリカ兵による2女性刺傷事件 けさ8時半頃、横須賀市内で2人の女性が アメリカ兵によってナイフで刺されました。 この2人の女性は、ともに横須賀市民ではなく、 都内と県内他市の人間でした。 何よりも加害者であるアメリカ兵が100%悪い。 この大前提は、絶対に変わりません。 けれども、不変の大前提に立った上で、 あえて言います。 今回の事件は、起こることが十分に予想できました。 アメリカ兵の犯罪問題を市議会でとりあげてきたフジノは 市民の方々からの問い合わせや マスコミの取材に対して、 このように応えてきました。 ------------------------------------------------- 「今回の事件が起こることは、十分予想していました。 被害者が殺されなかったことだけが 本当にラッキーでした。 事件そのものは予期できました。 決して驚くべき事件ではありません。 何故なら、昨年1月3日に女性が殺されたにも関わらず アメリカ軍も横須賀市も 有効な対策を全く行なっていないからです。 特に、アメリカ軍の人事管理のレベルの低さは これまでも横須賀市民はイヤというほど味あわせられてきました。 『対策をやっている』と司令官はいつもコメントしますが つい先日も将校が飲酒当て逃げ事件を起こしたばかりです。 何も結果が出ていない以上、 対策なんて何もやっていないのと同じです。 規律が最も求められる組織が軍隊であるにも関わらず アメリカ軍の規律のレベルの低さは、 横須賀市民なら 誰でも知っていますから。 原子力空母が母港化されることによって アメリカ兵と軍属がますます市内にあふれるようになって アメリカ軍は「基地の中に住宅が足りないから」と 横須賀市内の住宅をアメリカ兵用に借り上げる準備を進めていますが ハッキリ言って、拒否したいです」 こんな風にコメントをしました。 ● 市長の責任はあまりにも重い、対策はもっとやれる これからもアメリカ兵による犯罪は ますます増えるでしょう。 それに対して横須賀市長の責任はとても重いです。 昨年1月に横須賀市民の女性が殺害されてから設立した 基地周辺地区安全対策協議会を 「今すぐ開くべきだ」 と、いくら僕が警告しても、 決して市長は開こうとさえしないで来ました。 市長はアメリカ兵が犯罪をおかすたびに コメントでは「厳しく抗議する」と言いますが、全く効果が出ていません。 口先だけではなく行動であらわすべきなのですが アメリカ兵による犯罪問題についてのただ1つの話し合いの場である 安全対策協議会さえ開きません。 行動で示さないのですから、 本気度がゼロなのは もはや市民のみなさんも気づいています。 選挙公約の1つが「安全安心」だったくせに 公約を守ろうという行動がありません。 蒲谷市長の責任はあまりにも重いです。 いくらフジノが市議会で警告しても、アクションを取らない。 このまちの現実が見えないのでしょうか。 特に、つい先日の6月議会でもフジノは アメリカ兵との交際目的で横須賀を訪れる女性たちに対して 犯罪被害にあう危険性が高いハイリスクな存在なのだから スーパー防犯灯の存在をピンポイントで広報すべきだと提案しました。 しかし、市長はそれを「やらない」と拒否しました。 ハイリスクな存在だと分かっているからこそ 予防の為にそこにメスを入れるのは、政治・行政として当然です。 けれども、何も動かなかった訳です。 だから、今日のように アメリカ兵との交際目的の市外から来た女性が刺される事件が 起こるのは当然のことなのです。 モラルの低いアメリカ兵が多数存在するアメリカ軍に もっとしっかりと教育体制を取れ、と訴えるのは当たり前です。 しかし、アメリカ軍に期待しても動かない。 ならば、次にやるべきことは 犯罪にあいやすいハイリスクな存在(被害者になりやすい存在)に 注意を促すべきなのです。 やれることがあるのにそれをやらなければ、 防げた犯罪を防げなかったのは、政治・行政の責任だと思います。 もはやこうして事件が起こってしまった今、 今すぐ事後的な対策を取る為にも 『基地周辺地区安全対策協議会』を召集して開催すべきです。 このまちで長年暮らしている僕たちには 問題がはっきりと見えている。 成すべきことだって分かっている。 あとは行動するだけだ。 行動を起こさない限り、 アメリカ兵による犯罪はいつまでも繰り返される。 6月議会での警告に続いて、 改めてフジノは 対策を取らない限り、アメリカ兵による犯罪はこれからも続く と警告します。 |
2007年7月7日(土)のフジノ | |||||||||||||
● 市議会での答弁を、市長は裏切った 蒲谷市長は、市議会での答弁を裏切りました。 5日にアメリカ兵が起こした2女性の殺人未遂事件に対しては 『基地周辺地区安全対策協議会』を開かない と言うのです。 この協議会は、昨年の女性殺人事件がきっかけで作られたもので アメリカ兵の犯罪防止を目的にしています。 それを蒲谷市長は「開かない」と述べたのです。 毎日新聞のインタビューで明らかになりました。 (2007年7月7日・毎日新聞朝刊より) この安全対策協議会は、明らかに停滞しています。 スーパー防犯灯を設置したことで『終わり』になってしまいそうです。 次回の開催がいつになるか全く決まっていないのです。 「アメリカ兵に市民が殺されたのに、 スーパー防犯灯を設置しただけで終わりでは絶対にダメだ」 そう強く感じたフジノは、6月議会であえて蒲谷市長に 「対策協議会を積極的に開催すべきだ」 と訴えました。 (2007年6月議会・本会議での一般質問より)
この本会議でのやりとりで分かると思うのですが、 やはり蒲谷市長は ・安全対策協議会を積極的に開催するつもりがありません 加えて、「必要に応じて開催する」と答弁したので それでは「必要に応じて」とはどんな時かと再質問すると ・安全対策協議会にふさわしい場があるならば開催を検討する と、具体的な基準を一切答えませんでした。 昨年1月3日の女性殺人事件を受けて作られた協議会ですから まさに7月5日の2女性殺人未遂事件こそ 安全対策協議会で議題にするにふさわしいはずです。 必要に応じて開催するならば、まさに今がその時です。 しかし、毎日新聞のインタビュー記事の通り、 蒲谷市長は開催する気が無いのです。 (インタビューに答えているのは副市長ですが 副市長は市長の命令で動く部下です。 したがって副市長の発言は市長の発言と同じ意味を持ちます) 協議会のメンバーも今回の殺人未遂事件を受けて アメリカ軍の教育体制のダメさかげんに怒りを抱いています。 何よりも悪いのは、アメリカ軍のだらしなさです。 アメリカ兵の教育ができていない。綱紀粛正が全くダメ。 けれども、次に問題なのは 市民の安全を守る責任がある市長が行動を起こさないことです。 市議会での答弁(必要に応じて行なう)と 現実の行動(協議会を開催しない)とが全く違う。 つまり、市議会でウソの答弁をしたことになります。 何故、蒲谷市長は日本人の命を守ることを優先しないのか。 何故、これまで効果が全く見えないアメリカ軍の教育体制を信じるのか。 蒲谷市長の対応は、アメリカ軍に追従しているだけで 横須賀市民のみなさんや横須賀を訪れる方々を 守ろうというものでは無いと感じます。 スーパー防犯灯は、犯罪が起こった時に通報が早くできるだけです。 しかも、横須賀中央と汐入にしか存在しません。 今回の事件は馬掘海岸で起きました。 さらにこれからますます市内に住むアメリカ兵は増えていきます。 もっと犯罪を予防する為の、効果がある対策をアメリカ軍は取るべきです。 そして、市長は横須賀市民の安全を守るべく強く対策を訴えていくべきです。 誰の為の市長なのか分からない。 誰の為に存在している市長なのか分からない。 そう言われてもしかたがないと フジノは強く感じます。 6月市議会であえて質問して、 答弁も引き出しても、 その答弁がウソならば市議会なんて必要ないじゃないか。 こんなものを民主主義とは呼ばない。 |
2007年7月20日(土)のフジノ(その1) | ||
● 第1回横浜アディクションセミナーへ 今日は、東神奈川にある『かなっくホール』を訪れて、 『第1回横浜アディクションセミナー』に参加しました。
アディクション(依存症)についてのセミナーは 昨日も藤沢でありました。 今、フジノはアディクションについて 集中的に勉強しているところです。 (後日談:翌21日の神奈川新聞がこのセミナーを報道してくれました) 2007年7月21日・神奈川新聞より |
2007年7月20日(土)のフジノ(その2) |
● そもそもアディクションとは何か? アディクションとは日本語で言うと、『依存症』のことです。 依存症は、精神疾患です。 世界的に使われている医学・精神医学の診断基準マニュアル (WHOのICD−10、アメリカ精神医学会のDSM−W−TR)にも 記されてます。 アディクションには、アルコール・薬物・ニコチン・ギャンブルをはじめ、 仕事・ショッピング・摂食障害・恋愛・セックス・共依存、などがあります。 「アルコールは分かるけど、仕事とか恋愛まで依存症なの?」 って思う人もいるかもしれません。 多くの場合、依存症のもとになる対象は、 適切な量や状況ならば害の無いものです。 それが、自分ではもうコントロールできない状態になってしまう。 害があるのに止められない状況になってしまう。 特に、自分ではその悪化が自覚できない。分からない。 これが依存症です。 人には程度の違いはありますが 誰しも依存しているものがあります。 例えば、イライラするといつも甘いものを食べてしまう人、いますよね? あるいは、仕事から帰ってきて毎晩必ずビールを飲まずにいられない。 あるいは、いくら親に叱られてもニンテンドーDSをやめられない。 人には、はまってしまったら なかなか抜け出せないものがたくさん存在しているのです。 そんな中でも、社会的に受け容れられている場合には 明らかにアディクションっぽくても精神疾患だとは言われません。 例えば、イチローや松井は明らかに 野球という仕事へのアディクションに見えますが 彼らを精神疾患と診断する人はいません。 そのはまりまくっている何かが 社会的に受け容れられない、周囲の人々を苦しめる、 自分のこころや体を破滅してしまう、 こうした場合にアディクションになるのですね。 医学的に見れば診断基準もありますし 明らかに『病気』の扱いになっています。 人間ならば誰もが依存症になるものですから、 アディクションのある人々を差別・偏見・スティグマに追い込むことは 絶対にあってはならないとフジノは信じています。 ● 政治家フジノにとって、アディクション対策の意味 政治家フジノにとって アディクション対策に関わることは、大きな意味があります。 自殺予防の総合対策をすすめる、という『大目標』の実現には、 多重債務対策をすすめる、などをはじめとする 何十もの『中目標』を実現しなければいけません。 この中目標を実現する為には、 ギャンブル依存症、薬物依存症、セックス依存症、などへの対策という 何百もの『小目標』を実現していかなければならないのです。 本来ならばアディクション対策は、 それだけで一生をかけるテーマになります。 だから『小目標』なんて言ったら 本当はおこがましいことは理解しています。 それでもあえて「この国から自殺を無くす」という視点に立つならば 並行して全力で取り組まなければならない事柄の1つです。 そして、片時も忘れてはならない何よりも大切なことは、 自殺も、多重債務も、依存症も、共通の大きな根っこがあることです。 それは『孤独』です。 説明が長くなりすぎるのでここでは書けませんが、 政治家フジノが生涯をかけて取り組むべきあらゆる問題の根っこには 全て共通して、『孤独』の存在があります。 孤独は人を死に追いこむ、借金漬けに追いこむ、 破滅するのが分かっていてもギャンブルをやめられない...。 こうしたことの根っこにある『孤独』と 政治は、あるいはフジノの武器である精神保健福祉は、 どこまで立ち向かえるかが勝負だと考えています。 この世界から孤独を無くすことはできないし、 全ての孤独が害ではありません。 けれども、人が孤独によって心身をむしばまれていき、 生活が破壊されていく時、 それは社会政策の対象なのだと僕は考えます。 |
2007年7月20日(土)のフジノ(その3) | ||||||||
● アディクションは自己破滅の病 前置きが長くなってしまいました。 今日のセミナーに話を戻します。 まず来賓のあいさつとして 横浜市健康福祉局から障がい福祉部長がお話されました。 それからプログラム(1)として、 『アルコール依存症からの回復』というタイトルで 依存症から回復して、現在は NPO法人横浜マックの施設長をしている方が、お話しました。 次に『回復に関わった方のお話』ということで 福祉関係者の方がお話しました。 あなたはAA(アルコホーリクス・アノニマス)をご存知ですか? アルコール依存症から立ち直る為の 自助組織です。 アルコール依存症からの回復には、 自助組織が最も有効である、という論文もあります。 その自助組織の中で1番有名なのがAAです。 AAというのは、自らもアルコール依存症に苦しんだ方々が 共に回復できる手助けをして、共に社会参加に向けてサポートする 全世界に広がっているグループです。 アルコール依存症については、 横須賀には昔から久里浜アルコール症センターもありますし、 あなたにもなじみがあるのではないかと思います。 ということで紹介は省略します。 ------------------------------------------------ プログラム(2)は、講演でした。 『自己破滅の病 “アディクション”は、どこから来るのか? 〜回復と援助者・地域社会の役割』 というタイトルで、水澤都加佐さんがお話しました。 水澤先生は、現在、アスク・ヒューマンケア研修相談センター所長であり、 ヒーリング&リカバリーインスティチュート所長でもあります。
水澤先生のお話は、アディクション(依存症)の症状の説明に始まり、 ・アディクションはあくまでも脳の病気であり、医療の対象であること ・しかし、病気だと受け容れることができる人はなかなかいないこと。 ・医療の対象であると同時に、福祉の対象であること。 ・しかし、医療と福祉の連携が全くうまくいっていない現状であること。 ・再発を繰り返す人が多いこと。 ・ある依存症が治っても別の依存症になりやすいこと。 ・複数の依存症を持ってしまう『クロスアディクション』が多いこと。 ・アディクションに追い込まれていくのには、理由がある。 ・多くの場合、空虚さ・自己否定感・罪悪感・怒り・悲しみを 持ちながら生きていくことはとてもつらいからアディクションに至ること。 ・乳幼児期に親から十分に育児を受けておらず、 自己否定・見捨てられ感があり、 親子間の愛情のキャッチボールをしていない人が多いこと。 ・特に5才くらいまでのこどもは守られるべきであること。 ・親子間の「きずな」が大切であり、安心感があること。 ざっくりとまとめるとこんなお話だったのですが、 お話はとても分かりやすく、ぜひあなたにも聞いてほしかったです。 例えば、浪費癖がひどくて借金しまくって買い物している人とか 誰とでもセックスしてばかりだとか風俗に行きまくりの人とか 消費者金融でお金を借りて終日ギャンブルしまくりの人とか ヤクザから麻薬買ってやりまくって逮捕されてる人とか そういう人々に対する イメージって、一般的にサイアクだと思うんです。 でも、あくまでもアディクションは『結果』ですから。 回復することは可能ですし、 専門家のお話をうかがうと予防することも可能な気がしますし、 何よりもっとイメージが変わってケアに早くつながれることが大切だと 改めて感じました。 ---------------------------------------------------- 聞きごたえのある講演の後、 軽い疲労をおぼえて会場を出ようとすると、 「フジノさん!」と声をかけてくれる人がいました。 横須賀のアルコール依存症からの回復をめざす方々の作業所である 『GAYA(我舎)横須賀』の職員さんでした。おつかれさまです! 気がつくと横須賀からもたくさんの方が来ていました。 横須賀から東神奈川まで出張して勉強、っていう方がいる、って すごくうれしいですね。お互いにがんばっていきましょうね。 昼食はすぐそばの駅ビルで。 夜は居酒屋、お昼はランチ、という今よくある形式のお店で まぐろ丼が550円でした。みそ汁もついてるし、安くて助かりました。 ● 回復をした方々のお話は、すごく意外でした 午後のプログラムは全て 回復をした方々とそのサポートをした方々のお話でした。 フジノが聞いていて「あれっ」と感じたことは、 みなさんに共通して、からりと明るかったことです。 もちろん現在は回復した方々ですから 明るいのは当然かもしれませんが 闘病の体験談に特有の『重さ』や『涙』などがありませんでした。 これは日頃フジノの場合、 自殺によってご家族を亡くしたご遺族の方々のお話や 精神障がいに苦しんでいる方々のお話を うかがうことが多いからかもしれません。 それにしても、いつも多くの涙と共に語られる話を うかがうことが多いので、とても良い意味で、意外でした。
繊細なこころを持つ自分たちというイメージから MIMOS”Aという名前がつけられたそうです。 摂食障がいのある方々を対象にした作業所は、 フジノの知る限り、日本全国でミモザしかありません。 横須賀には摂食障がいのある方々の作業所が存在しないので 市民の方からの相談を受けて ミモザを紹介させてもらったことがあります。 (ご注意:基本的にはミモザのある横浜市民だけが対象です) 平成10年に設立されたミモザは、ゆっくりおしゃべりしたり、 協力して1つの作業ができる場として設立されました。 詳細についてはミモザHPをご覧いただくとして、 ミモザの活動は素晴らしいなあと思います (かねてからずっといつか視察させていただきたいと思っています) 対外的な活動としては、 『摂食障がいを生きる』をテーマにした講演を毎年行ったり、 ご家族や当事者の方の想いを伝えるミニコミを年6回発行しています。 日常的な活動としては、 毎週、当事者だけのミーティングを行なって 人の話をよく聴いて自分の病気を知り、 いろいろな立場の他者との交流の中で 成長をしていくことをめざしているそうです。 また、作業としてパウンドケーキ・クッキー・ラスクなどの作成と販売、 ビーズを使った作品も(販売はまだしていない)作っているそうです。 加えて足裏マッサージなどのリラクゼーションプログラムを通して 対人緊張がみなさん強い、完璧を求める、などの 弱点を克服するプログラムを実施しているそうです。 かねてからミモザのことを聞くたびに 横須賀にも摂食障がいのある女性の為の作業所が作れないかと いつもいつもフジノは思うのでした。 (もちろん今日も思いました) フジノが受けている相談の中には 当然ながら摂食障がいのある方が複数いらっしゃいます。 ミモザの活動が全国に広がっていくといいなと思います。 体験談(2)薬物依存症からの回復 続いて、薬物依存症のある方々の デイケア・ナイトケアをはじめ、毎日のプログラムを行っている 『横浜ダルク・ケア・センター』の講演がありました。 ダルクとは、当事者の方々によって運営されている 薬物依存症のリハビリテーションを行なう組織で、全国にあります。
施設長さんは、かつて長い間、覚せい剤を続けてきて 自分ではやめられなくなってしまい、 仕事も家庭も破綻してしまい、 友達も刑務所に入ったり、死亡していったそうです。 任意で精神科病院に入院している時に、 ダルクを紹介されて、紆余曲折の末に行ってみようかと思った。 ダルクに行く前に、自分がこれまでつきあってきた たくさんの友達や家族に連絡をしておこうと思って、 ぶあつい電話帳を持って病棟の公衆電話に行った時のこと。 10円玉を入れられるだけ入れて 順番に全ての友達に電話していったのに どこに電話しても相手にしてくれなかった。 「おまえまだ薬やっているのか?」 「早く金返してくれ」と。 しかたがないので自分の家にかけたら それも切られてしまった。 そうして最後に、ダルクに電話をした。 いろいろなことを延々と質問をした。 電話だけしてなかなか実際に行くことができない。 かつての自分ならば、 新しい場所に行く時はまず覚せい剤を打ってからいく。 それができない。 3日くらい経ってやっと行くことができた。 ダルクでは、自分のことを拒否しないで話を聴いてくれた。 (ここまでも話を短く省略していますが、本当にすごかったです) ダルクに行って、分かったことは、 とにかく「自分はここにいていいんだな」ということ。 K先生には 「シャブか、シャブはいいよな」と言われた。 「やってもいいよ」と言われた。 「やる自由もやらない自由もある」と言われた。 「今日私たちはやらない方の自由を選んだ」ということを話した。 今までは 「やっちゃだめだ」「何でやめられないんだ」 と言い続けられてきたのに パラドックスなのかもしれないけれど どんな方法でもやめられなかった自分が ダルクに通うようになって初めて覚せい剤や薬の使用が止まった。 まさに奇跡だった。 やめることをやめる。 決して闘わない、自分の力ではコントロールできない、無力なんだ、 という話をK先生はしてくれたんだと思う。 (このお話は、すごいでしょ! 横浜ダルクの施設長さんのお話をうかがいながら フジノは浦川べてるの家のみなさんのことを思い出していました。 どこか似ていると強く感じました) 体験談(2)回復に関わった方のお話 続いて、まさに上の施設長さんのお話に出てこられた 日本ダルク代表のK先生(=近藤恒夫さん)がお話してくれました。 (以下、フジノのメモより) アル中の残骸みたいな人たちと過ごしてきた。 僕の出すテーマはいつも周りに怒られていた。 「正月くらいは飲んでもいいじゃないか」とか。 ダルクを始める時に 僕は「薬物をやめろ」とは言わない場所にしよう、と決めた。 そういう場所が日本の中で1ヶ所くらいあっても良いじゃないかと思った。 あかの他人の僕が 「覚せい剤やめろ」と言ってやめるはずがない。 案の定、みんなやめなかった。 月曜いくと必ずみんなおかしくなっている。 土日で準備して月曜で実行するというパターン。 先週は2人ほど立て続けに死にました。よく亡くなります。 亡くなってもダルクの責任ではないし、 自分の責任ではないけれども、やっぱり嫌ですね。 ダルクで最も良いのは仲間意識が強いのかもしれないけど 白骨死体で見つかることは無い。死後3日以内には必ず見つかる。
横浜刑務所で仮釈放もらって出られる人は、ダルクに来る。 警察の中にも ダルクやマックのポスターが貼られる時代が来ると考えてきたが やっと少しずつ近づいてきた。 霞ヶ関にはネットワークが無い。 今度ようやく総務省と厚生労働省がネットを組んで 地域で話し合いをしようとしている。 『ダメ絶対』のポスターを貼るよりも、 もっと有効な情報を提供すべき、と、こないだ国会で話した。 ネットワークをつくること、 薬物対策に積極的な国会議員が増えること、 これがとても大切だ。ぜひみなさんにも知恵をしぼってほしいと思う。 --------------------------------------------- うーん、メモをまとめるとドギツイ感じの文章になってしまいましたが 現場で向き合っている人だからこそ語ることができる 諦観をユーモアに変えて決して諦めない、 そういう方でした。 この方のお話もフジノだけが知っているのはもったいなくて、 みんなに聞かせてあげたかったです。 (その5まで、まだ続きます) |
2007年7月28日(土)のフジノ、その1 | ||
● 中学生たちの演劇発表会に行ってきました! けさは、衣笠のはまゆう会館へ。 第24回・中学校演劇発表会に行ってきました。 去年(様子はこちら)、おととし(様子はこちら)、と 毎回とても素晴らしかったです。 今年も関係者の方から招待していただいて かなり前から、とても楽しみにしていました。 去年決心したのですが 「毎年フジノだけが感動してもしかたがない。 来年はもっと多くの人たちに感動を味わってほしい」 と思って、チラシをもらった日のうちに ブログやメーリングリストを使って、 たくさんの方々に広報させていただきました。 当日、観劇に来て下さったみなさん、 本当にありがとうございました。 ● でも、フジノ自身は行くべきかどうか、実は悩みました そもそもフジノがこの演劇発表会を知ったのも こうして毎年参加しつづけているのも 公郷中学校の関係者の方に招待してもらったからなんです。 公郷中学校の演劇のメンバーは、 実は、『相談学級』と呼ばれる いわゆる不登校の状態にある こどもたちによる集まりなのですね。 去年、彼ら/彼女らの演劇を観た後に いつものようにフジノはその感想をこのHPに書きました。 そうしたら、神奈川県の教育委員会で フジノHPのその部分がコピーされて回覧されていたそうです。 (これはオフレコで関係者の方から直接にうかがいました) きっと、県の教育委員会は、不登校という観点から HPを読んだのではないかと思います。 フジノは演劇そのものの素晴らしさを書いたつもりでしたが フジノ自身もやはり無意識であれ、 『不登校』という側面にからめて 文章を書いてしまったのは事実です。 僕はそういう形で(つまり純粋に演劇という部分を離れて) 公郷中学校相談教室の演劇が評価されたとしたら 本意ではありませんでした。 演劇には確かに副次的な効果(セラピー効果とか)がありますが 演劇は演劇それ自体の感動で評価されるべきだと思うのです。 なんか、とても公郷中相談教室のみんなに 悪いことをしてしまった気持ちになりました。 さらに、事前に届けられたプログラムを見て こんな風に書かれていて、驚いてしまいました。 昨年度の発表の中に、 「不登校」のつらい思いをつづった劇がありました。 この劇を通して、自分と今一度向き合い、 「自分のための出発点」とした力強い発表でした。 自己を見つめ直すというきっかけを 全ての仲間に訴えた勇気ある劇でした。 うーん、やっぱり不登校とのからみで あの素晴らしかった演劇が語られてしまっている...。 もともとフジノが政治家に転職する前に働いていた会社は 演劇やミュージカルを扱っていたので、 映画・演劇はそれ自体でまず評価されるべき、 という想いが僕の中にはとても強いのです。 (もちろん商業ですから、興行を成功させるために 話題づくりやメディア利用による宣伝は行いますけれども) また演劇を観にいって また感想を書いたとして 演劇そのものの素晴らしさで評価してもらうことに フジノは貢献できるのだろうかと悩みました。 何故なら、もともとフジノはこの演劇発表会を 2つの態度で毎回見ているからです。 (1)相談学級のこどもたちに強いシンパシィを抱いている (2)中学生による演劇を、演劇そのものとして評価している 少しで(1)が僕のこころに浮かぶ限りは それは演劇を観る者の態度としてふさわしくないのではないか。 仮に観劇したとしても HPの活動日記でも(2)の気持ちだけで その場での想いを伝えられるのだろうか。 当日まで、この想いに悩み、足を運ぶことを迷いました。 --------------------------------------------- けれども、とても気になることがありました。 それは、事前にもらったプログラムの中で 公郷中学校の紹介の部分がこんな風に書かれていたのです。 公郷中学校です。 私たちは当日に、果たして本当に舞台の幕が開くのか わからない状態が続いています。 でも、私たちはまだ、望みを捨てていません。 アニー・サリバンは、「water」という言葉たった一つから、 ヘレン・ケラーに、この世の中の「意味」を与えました。 その行為そのものが、 アニー・サリバンにとっての意味であったと思います。 私たちにとっての生きる意味を追い求めて、 当日の幕が開き、皆さんの前で上演ができることを願って、 挑戦を続けようと思います。 公郷中学校は今年の演目は、 ヘレン・ケラーの人生を描いた実話『奇跡の人』です。 とても素晴らしい選択だと思いましたが、 「当日に果たして本当に舞台の幕が開くのかわからない状態」とは いったいどうしたのだろう...。 『奇跡の人』が難しすぎるのか。 舞台に立ちたいという人がいないのか。 どうしたんだろう!? 今度はこのことが気になってしかたがありませんでした。 だから、いろいろな葛藤はありましたが それでも「行かない」という選択肢はどうしても取れませんでした。 彼ら/彼女らの演じる姿が どうしても観たいという想いが強くなりました。 そこで、意を決して 会場であるはまゆう会館に向かったのでした。 (その2につづく) |
2007年7月29日(日)のフジノ | ||||||
● 地域の自殺対策を推進する地方議員有志の会・総会でした! 今日は、池袋の東京芸術劇場にて 地域の自殺対策を推進する地方議員有志の会の 平成19年度・総会を行ないました。
あいにく、参議院選挙の投開票日と重なってしまったので 残念なことに参加できたメンバーはわずか9名でした。 (この日付を決めた時には選挙とは重なっていなかったんですよ) でも、とても遠くから参加してくれた メンバーの存在にとても励まされました。 九州から藤林詠子さん(久留米市議会議員)が 神戸から井坂信彦さん(神戸市会議員)が わざわざ日帰りで参加してくれました! 遠路を本当にありがとうございました。 --------------------------------------------------------- 『総会』といっても、いつもどおり僕たちの集まりは 今回もまずしっかりと『勉強会』を行ないました。 講師として、内閣府の自殺対策推進室から 高橋弘幸参事官をお招きしました。 6月に閣議決定された自殺総合対策大綱を中心に いろいろなお話をうかがいました。 本当にとても勉強になりました。 (写真上:左から高橋参事官、フジノ、文京区議の前田さん) 外では雷鳴がとどろいていましたが、 誰一人として天気のことに触れるメンバーはおらず 「講師の言葉を一言も聞き逃さないぞ!」という雰囲気の勉強会でした。 下の写真にその雰囲気があらわれていますね。 高橋参事官のお話はとても分かりやすくて しかも人柄もすばらしく、ざっくばらんにお話していただけました。 講義の後は、質疑応答・意見交換。 かなり活発な議論の場となりました。
● 自殺対策基本条例の実現に向けて 今回の勉強会のテーマは 『自殺対策基本条例(仮)』について、でした。 実は、地方議員有志の会メンバーの中には 『自殺対策基本条例(仮称)』を作ろうという動きがあります。 残念ながら国が自殺対策基本法を施行した今も まだまだ全国的には自殺対策への取り組みは温度差があります。 秋田や青森などの北東北は 日本で最も自殺予防対策への取り組みが進んでいます。 しかし、取り組みが始まっていない市町村もたくさんあります。 そういうまちでは条例でしばりをかける必要があります。 横須賀みたいに ・市長が政治課題として施政方針演説でとりあげている ・市の行政計画である『よこすか元気アップ』の中で 自殺を減らす数値目標を設定している ・自殺対策連絡協議会を設置して、対策を検討している という動きは、実はかなり先進的なんですね。 こういう地方自治体は少ない訳です。 (とは言いつつも、フジノ的にはまだ対策は足りていない と考えていますけれども...) だから、全てのまちが取り組む為にも 自殺対策基本条例を作ることは大きな効果を生むと考えています。 そこで、今回はメンバーが 自殺対策基本条例の案をつくってきてくれて それについて意見交換と議論をしました。 条例が議員提案されて、そして可決されれば、 もちろんそのまちは対策に取り組まなければいけません。 勉強会と総会を含めて3時間半の予定だったのですが 議論は白熱して勉強会だけで3時間半が終わってしまいました。 会場を借りている時間が過ぎてしまったので 場所を移してさらに話は続きました。 --------------------------------------------------- この4月に新しく地方議員になった方も加わって 自殺対策にとりくむ地方議員の仲間が増えました。 『地域の自殺対策を推進する地方議員有志の会』は ありがちな交流だけの会でも無ければ 会員数をやみくもに増やす会でもありません。 本気の自殺予防対策に取り組む政治家だけが集まった 信念の政治家たちの集まりです。 特に、今回の統一地方選挙では メンバーのみなさんたちは マニフェストや選挙公約に 『自殺予防対策に取り組むこと』をしっかりと書いた上で 当選しています。 「自殺予防対策は票にならない」 と、まわりの支援者やら後援会に言われながらも 堂々と自殺予防対策を公約に掲げて 市民のみなさんに取り組みを約束して当選を果たしている訳です。 正しいことを正しいと訴え続ける、 信念の政治家たちの集まりなのです。 こういう素晴らしいメンバーと一緒に 自殺予防対策について取り組んでいけることは 本当に恵まれているなあとフジノは感じました。 ● 国の官僚にも、本気の熱意を持つ方々はたくさん存在するから ところで、内閣府自殺対策推進室に講師が決定した時、 政治・行政のいろいろな方から 「よく来てもらえましたね!」 と、すごく驚かれました。 驚かれた理由は、 自殺対策推進室は時期的にものすごく忙しくて 断られてもおかしくなかった、という意味なのだと思います。 「どう説得したのですか?」 と、複数の方々に尋ねられたのでお答えします。 それは、『熱意』ではないでしょうか。 今回の依頼交渉は全てフジノ1人だけで行なったのですが ただひたすらに、お願いしつづけました。 確かに、昨年にもフジノは依頼したのですが その時にはあっけなく断られました。 当時はまだ自殺対策基本法が施行される前で 名前もまだ現在の「推進室」ではなく「準備室」でした。 断られた理由は、準備室がたちあがったばかりで 講師を派遣できる状況にはまだ無い、ということでした。 そこでフジノは 「法律が施行されたらその時はぜひお願いします」 と、お伝えしました。 果たして今回の依頼にあたって その約束を覚えていて下さったかどうかは分かりません。 でも、何度も書いてきたことですけれども 国の官僚(いわゆるキャリア)の方々の中にも 本当に熱意ある素晴らしい方々って、たくさんいらっしゃるのです。 マスコミでは叩く時(例えば天下りとか不祥事とか)しか 官僚について報道しません。だから市民のみなさまにとっても 官僚は遠い存在なのだと思います。 けれども、本当はすごく素晴らしい官僚もたくさんいます。 だから、今回の講師が実現したのも そんな熱意ある方々が 1年越しのフジノの熱意を受け止めてくれたのであって 決してそんなに驚くべきことではないよ、とフジノ自身は考えています。 |
2007年7月30日(月)のフジノ | ||||||
● 自殺未遂・自死遺族ケアのガイドラインを早く完成させるべき 今日は、東京・九段下で行なわれた 厚生労働省による 『自殺未遂者・自殺者親族等のケアに関する検討会』を 傍聴しました。 いま、自殺対策について いくつかの検討会が動いています。 法律(自殺対策基本法)も方針(自殺総合対策大綱)も完成したのに いまだに何故いろいろな会議をやっているかというと、 具体的なとりくみは まだまだ始まったばかりなのです。 そこで、厚生労働省や文部科学省で 具体的なとりくみに向けて ガイドラインが作られているのです。 特に、今日の審議会にフジノはとても注目していました。 自殺未遂に追い込まれた方々と 自死遺族の方々へのケアについて そろそろガイドライン案が提案される時期だからです。 自殺未遂をしてしまった方々の再発の危険性は高いです。 大切な方々を自殺によって亡くした方々は ご自身が自殺に追い込まれてしまう危険性がとても高いです。 にも関わらず、なかなか現場は動き出せないのです。 例えば、フジノがしばしば挙げる 救急隊と自殺との関係の話があります。 横須賀の場合、救急隊は ものすごくたくさんの自殺と関わっているのですね。 でも、救急隊が 未遂をした方々やご遺族のケアに取り組みたくても 法律の壁がいろいろあるのです。 現場は「何かできるのに、何もできない」という歯ぎしり状態に もう本当に長いあいだ追い込まれています。 だから、今こそ政府が 法改正すべき点はしっかりと法改正をする。 取るべき対応をきちんと定める。 この為のガイドラインづくりなのです。 ------------------------------------------------- でも、結局、ガイドライン案そのものが 今日は示されませんでした。 まだまだガイドライン案の『前』の段階、 どのような構成にするかの『章立て』などが説明されて 意見交換や質疑応答がなされただけでした。 このガイドラインが早く作られるようにと フジノはかなり待ちくたびれています。 次の開催予定は秋。 うーん、スピードアップしてほしいです。 現場は、動きたいのに動けない。 目の前で苦しんでいる人々がいるのに 自分たちが動けるのに動けない、という状態を早く終わりにしたいです。 ● 千鳥ヶ淵の美しい自然 審議会が終わった後、 自殺対策の仲間2人と再会を果たして、お茶をしました。 1人は、『分かちあいの会あんだんて』顧問の西田正弘さん。 フジノにとっては、大きな兄貴のような存在です。 もう1人は、江戸川区議会議員の滝沢泰子さん。 『地域の自殺対策を推進する地方議員有志の会』メンバーです。 自殺対策は、生きごこちの良い社会づくり、という想いを たくさん語り合いました。 ------------------------------------------------- ところで、今日の審議会が行なわれた場所は 九段下の千鳥ヶ淵のすぐ隣でした。 初めて訪れたのですが 自然にあふれた素敵なところですね。 厚生労働省の会議はふだん霞ヶ関で行なうのですが この千鳥ヶ淵のわきに、 『共用会議所』という 複数の省庁が建物があるのですね。
なごみますね〜。
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