徘徊・行方不明になってしまう認知症のある人を守る為の提案をしました
行方不明になってしまう認知症のある人が増えていて、ご家族もとても苦しんできました。
フジノは
「これ以上は個人の取り組みでは限界がある」
と考えています。
行方不明となってしまったご本人を早期発見することはご本人だけでなくご家族を守る取り組みにもなります。
そこで今日の一般質問で、市長に対して新たなネットワークの立ち上げを提案しました。
正式な議事録ができるのは数ヶ月先なので、音声記録から文字起こしした質疑応答をこちらに記します。
フジノの質問
2.徘徊をする認知症の高齢者と介護者を守るために
(1)徘徊をする認知症の高齢者を守る「地域ネットワーク」を作るべきではないか
警察庁の調査によると2004年には、認知症による徘徊で死亡・行方不明となった方が全国で900人にものぼりました。
長寿社会課の推計によると、横須賀市では平成18年2月末現在に介護認定を受けている1万2997人のうち、
外出すると戻れなくなってしまう認知症高齢者は、310人。
施設入所などによって変化はするものの、つねに2~3%もの方が徘徊をすると考えられる訳で、対策が必要です。
また、介護をしている方々は
「交通事故に遭うかもしれない」
「行方不明になったら」
などの精神的不安と、連日の捜索による肉体的な消耗、と心身ともに負担がとても大きいです。
「いっそ事故に遭って亡くなってしまえばいい」
と嘆かれる介護者の言葉を聞いたこともあります。
したがって、徘徊対策は本人だけでなく、介護をする方を心身の大きな負担から守る意味があります。
現在も、本市では警察や在宅介護支援センターとの連携は行なわれてきました。
しかし、これをお隣の三浦市をはじめ他都市が行なっているような「徘徊高齢者SOSネットワーク」事業のようにネットワークをつくりサポートの輪を広げていくべきではないでしょうか。
警察、行政、在宅介護支援センターだけでなく、地域包括支援センターをはじめ、保健・医療・福祉の関係機関、消防局、郵便局、商店、バス・電車・タクシー会社、ヤクルト販売や宅配業者、コミュニティFMラジオ局、報道機関、などに協力をしてもらうのです。
そして、通報があればすぐに情報が伝達されて、より多くの人が捜索に関わり、迅速に発見できるようにするのです。
150以上の企業・機関が協力をして非常にうまくいっている例として有名な北海道・釧路の取り組みを研究した、東海大学の川延教授によると「地域ネットワーク」を確立していくと
副産物として、認知症高齢者を身近に感じられるようになる、地域のこどもたちの見守りにつながっていく、という報告もなされています。
そこで市長にうかがいます。
【質問】
徘徊をする認知症高齢者を守る地域ネットワークを作るべきではないでしょうか。
市長の考えをお聞かせ下さい。
(2)事前登録制の導入による迅速な対応について
徘徊の通報があれば、すばやく情報伝達を行なう必要があります。
しかしここで問題となるのは、当事者の個人情報をどんな内容までどの相手先まで流して良いかです。
例えば、地域の防犯無線を通じて外見や服装などだけではなく名前まで放送して良いのか、といったことをご家族に確認しておかねばなりません。
人命が最優先ですが、地域生活を送っていく上でのプライバシーも守られなければならない。
これらの確認を行なう作業は時間がかかり、対応に一刻を争う状況では万が一の事態も起こりかねません。
【質問】
そこで、すでに三浦市が行なっているように、徘徊をする認知症高齢者の方の個人情報について要領を定めて事前登録制を導入してはいかがでしょうか。
名前や写真に加えて、徘徊の際によく行く場所などの情報があれば、さらに迅速な情報伝達と連携行動が取れるようになるはずです。
市長の考えをお聞かせ下さい。
(3)社会福祉協議会と共同で徘徊高齢者対策の新サービスを行なうことはできないか
横須賀市社会福祉協議会は「徘徊高齢者探索サービス」事業として、PHSによる位置情報発信端末機の貸し出しと探索サービス利用料の助成を行なってきました。
しかし、PHSサービスを電話会社が停止してしまうことに伴い、今年度いっぱいで終了せざるをえなくなりました。
現在は携帯電話を使用したサービスに移行できないかを検討してはいるのですが、料金が従来よりも割高であることや、端末が大きく実用性などの面で問題があるようです。
【質問】
そこで、本市としても社会福祉協議会に協力をして現在のサービスに替わる新しいとりくみを行なっていくことはできないでしょうか。
ぜひ検討していただきたいのですが、市長の考えをお聞かせ下さい。
蒲谷市長の答弁
徘回をする認知症の高齢者対策につきましては、健康福祉部長から答弁させていただきます。
健康福祉部長の答弁
徘回をする認知症高齢者と介護者を守るためについて、ほか2点のお尋ねにつきまして、私からお答えさせていただきます。
はじめに、徘回をする認知症高齢者と介護者を守るために地域ネットワークを設置し、個人情報に関する事前登録制を導入すべきでないか。また、社会福祉協議会と共同で徘回高齢者対策の新サービスを行うことはできないかについてです。
認知症高齢者が徘回し、所在がわからなくなった場合、現在は主として警察が対応し、案件によっては市が在宅介護支援センター等の協力を得ながら対応しております。
徘回をする認知症高齢者の地域ネットワークづくり等については、徘回高齢者の事前登録制や各種携帯電話会社が行っているGPS機能つきの携帯電話による探索サービスなどを含めて今後研究してまいりたいと存じます。
ひどい答弁ですね!
蒲谷市長はご自分ではお答えにならず、健康福祉部長に答弁をさせました。
しかもその健康福祉部長もまともな答弁をせずに
「認知症高齢者が徘回し、所在がわからなくなった場合、現在は主として警察が対応し、案件によっては市が在宅介護支援センター等の協力を得ながら対応しております。
徘回をする認知症高齢者の地域ネットワークづくり等については、徘回高齢者の事前登録制や各種携帯電話会社が行っているGPS機能つきの携帯電話による探索サービスなどを含めて今後研究してまいりたいと存じます。」
のひとことで終わりました。
「今後研究してまいりたい」
行政の答弁として、「検討する」は本当に対応を検討していく、「研究する」は何もしない、という意味だと言われてきました。
つまり、蒲谷市長は行方不明になってしまう認知症のある方に対しては「何もしない」という姿勢だとわかりました。
認知症のある方が一人暮らしをしていてご家族が都内に暮らしているケースが増えています。
徘徊で行方不明になってしまうたびに、会社を1週間単位で休んで、必死に捜索をします。
春秋ならば気候も良いのでまだマシなのですが、猛暑や厳冬では高齢の方の体力も奪われることから家族はそれは必死に探します。
この苦しみを知っていれば、こんなあっけない答弁はできないはずです!
行方不明になるだけでなく、亡くなった形で発見される方もいらっしゃいます。
命を守る為には単に警察の捜索に頼るだけでは足りません。
これから高齢者の数はひたすら増えていきます。
行方不明になる方の数も増えていきます。
研究するなんてその場しのぎの答弁をしていないで、本気でこの問題に取り組むべきです。
フジノは今回の質問づくりをしたのは、徘徊に苦しむご家族の声をたくさん頂いてフジノ個人としてできることをやってきた結果もはや市議ひとりでは限界だと感じたからです。
4月に参加した『介護者のつどい』でもこの話題が出たことが背中を押してくれました。
行政の責任として、ネットワークの立ち上げを行なうべきです。
高齢化社会になる日本ではこれからもこの問題は終わることはありませんので、絶対に横須賀市に対策を求めていきます。