ひとり親家庭の『自立』とは、どのような状態なのか?
今日は、ヴェルクよこすかで開催された『ひとり親家庭等の自立支援の在り方に関する検討会』を傍聴しました。
今回が第4回ですが、これまで全てを傍聴してきました。
支援の在り方のうち、
- 2007年度は『ソフト事業』について
- 2008年度は『ハード事業』について
検討していきます。
つまり、来年2008年3月までは『ソフト事業』について話しあっていく予定です。
市長の考える「自立」という概念に、フジノは納得できない
残念ながら、この検討会の方向性にフジノは『ギャップ』を感じています。
これまで政治家としてフジノが出会ってきたシングルマザー/シングルファーザーの方々の『生の声』と
『検討会の事務局(=市の担当部署)が示している方向性』には大きなギャップがあります。
事務局とは、横須賀市のこども育成部です。
こういう検討会・審議会では、市の担当部署が事務局をしています。
審議会・検討会の運営方法は、事務局が原案を考えて、それをまとめたペーパーを配って説明をして、メンバーが質問をしたり意見を述べたりして2時間ほどで終わり、という感じです。
よっぽど委員メンバーの押しが強くない限りは、基本的に、事務局が求めている方向に決まってしまいます。
という形にはなっていますが、実際には、『市の方針のまま』ということが多くあります。
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さて、終わったばかりの2017年12月議会でもフジノは、市長への一般質問で『ひとり親家庭に対する支援』についてとりあげました。
フジノが感じているギャップが
「本当は『誰の考え方』とのギャップなのか」
を知りたかったのです。
行政には、トップである市長を中心にして、副市長・部局長、課長、主査、一般職員、と続きます。
数千もの仕事が存在する市役所では、必ずしも全ての問題について『市長の考え方』が伝わっている訳ではありません。
だから、『ひとり親家庭への支援』について蒲谷市長ご本人の考え方がどうなのかを知りたかったのです。
本会議で市長が答弁をする時には、まず担当部署から答弁案が作られてきますが、最終的には、市長自身がチェックして、それで答弁をする訳です。
例えば、沢田前市長の頃には、作成された答弁書を見ないで市長自身の言葉で反論する、といったこともしばしばありました。
だから、本会議での市長の答弁を聞けば、それが『蒲谷市長』本人の考え方である、ということなのです。
こうして本会議での答弁を聞いた結果は・・・
フジノが感じているギャップとは、決して『事務局(=担当部局)』の考え方では無く、『蒲谷市長』自身の考え方とのギャップである、と分かりました。
「ひとり親家庭の自立とは何か?」
について、蒲谷市長とフジノの間では考え方が大きく異なります。
市長の考える「自立」という概念に、フジノは納得できない
では、市長とフジノとは、どのように『自立』という考え方が違うのでしょうか?
蒲谷市長は、政府の方針に従って、ひとり親家庭の自立とは何よりもまず仕事に就かせること、つまり『就労支援』を重視した政策を取ろうとしています。
フジノは、政府の方針に反対で、まず何よりも健やかで幸せに親子が暮らしていかれるようにそれぞれの家庭にあった多様な支援を行なうことこそ取るべき政策だと考えています。
それを表にすると、下みたいになります。
手当 | 就労 | 政府の方針に対して | |
---|---|---|---|
市長 | 手当は基本的に減らす | 働くことが最優先 | 賛成 |
フジノ | 手当でまず所得保障をする | 生活の安定が優先 | 反対 |
政府の方針には「働くこと=自立だ」という思想が根っこにあります。
蒲谷市長は、こうした政府の方針をうのみにしています。
けれども、「働くこと=自立、では無い」とフジノは考えています。
政府の方針がそもそも間違っていると考えています。
政府の方針に基づいて横須賀市が動けば、かえって『ひとり親家庭』を不幸にしてしまう、と考えます。
雇用労働政策を政府が変えなければ、ワーキングプアが増えるだけ
今、社会福祉の業界で流行の考え方に『ワークフェア』というものがあります。
ものすごく要約してしまうと、こんな考え方だと日本には伝えられています。
むしろ、就職トレーニングを積極的に行なって、トレーニングプログラムに参加しなければ手当も出さない。
積極的に働けば、税収も増えるし、経済も活発化する。
この考え方を政府は取り入れて、障がいのある人も働け、ひとり親家庭も働け、働くことが自立だ、としています。
でも、これは『ワークフェア』の考え方をねじまげたものです。
日本社会の現状で、ただ就職すれば自立だ、なんてムリです。
暮らしていかれません。
やるべきことは、まず雇用労働政策を変えることです。
『ワークフェア』の考え方が成功した国々では、同一労働・同一賃金のしくみがありました。
パートタイムで短い時間を働いても同じ仕事をしている正社員と時間あたりのお給料は同じ、社会保障も同じ、というものです。
だから、単に福祉手当をもらうだけでは無くて働いた方がメリットがある、という方針が成功したのです。
けれども、今の日本では、働いても働いてもワーキングプアにしかなれない現実があります。
同じ仕事をして働いても、正社員ならば給料が高いのに派遣社員やパートならば給料が安い、という現実があります。
長時間、働いても働いてもワーキングプアにしかならない、だから働くモチベーションも起こらないのです。
(けれども、働けなければ食べていかれないので、多くのひとり親家庭がムリな働き方をして体調を崩してしまい、結局は生活保護へと転落していっています)
そんな状況でただ職業訓練をやらせて
「働け!」「働け!」
「働かなければ手当も出さない」
なんて言っても働きたくなる人なんていません。
成すべきことは、まず政府が日本社会の雇用労働の在り方を変えることです。
同じ価値の労働に対しては同じ賃金・社会保障とする仕組みに変えるのです。
これが実現しない限りは、市町村が就労支援だけやってもムダで、泥沼にはまるだけです。
こうした物事を見ていくならば、いま現在、横須賀市があえて『ひとり親家庭への自立支援』を行なうとするならば
それは、生活の安定を守ること、をめざすべきです。
まずは心身の安定や生活をサポートすることが必要
すでに12月議会の一般質問で述べたのでここではくりかえしませんが、ひとり親家庭の暮らしは、とても厳しい現状があります。
精神的にも肉体的にも困難を抱えている方々も多く存在します。
祖父母(ひとり親にとっての親です)が存命で祖父母の家に同居できるうちは、まだ何とか暮らしが可能ですが、そうでは無い孤立無援の方々の暮らしは本当に厳しいものがあります。
特に、シングルファーザーは本当に厳しい状況の方がいます。
そこでまず取るべき政策は『就労支援』ではなくて『生活支援』です。
それが成されなければ、親子ともに苦しみ続けることになるでしょう。
フジノはこう考えています。
ただ単に政府の方針をうのみにしても、ひとり親家庭に幸せな暮らしをもたらすことはできません。
離婚の増加と、家族の形が多様化している現状で、ただ財政難から『就職=自立』としてしまうのは、危険です。
こうした考え方のギャップを市議会での議論を通じて何とか埋めていきたい。
それがフジノの2期目の大きな課題です。