奄美市役所の禧久孝一さん
自殺予防対策と多重債務問題にかかわる人間にとって、奄美市役所の禧久孝一さん(市民福祉部市民課)を知らない人はいません。
フジノも去年の予算議会では、禧久さんの奄美市役所での取り組みを紹介して、市長に生活再建を含めた多重債務対策の必要性を訴えました。
2007年3月5日・予算議会・市長へのフジノの質疑より
2.自殺予防総合対策をさらに進めるために。
(1)多重債務を抱える人々への総合的な支援の必要性について。
自殺で亡くなる方の約4分の1が経済苦、生活苦が原因で、特に多重債務を抱える人々が大半です。
問題の深刻化を受けて、政府も多重債務者対策本部を設置しましたが、
全国で多重債務者は230万人以上に上り、200万人以上に適切な支援が行き渡っていないことが明らかになりました。
借金は個人の責任と言われがちですが、リストラや病気などの生活苦から借金に手を出した社会経済環境の悪化による被害者が多いのです。
他人に打ち明けられず、相談先も知らず、自力で解決することは困難なことから、対策本部の提言では自治体による積極的な対応を求めています。
鹿児島県奄美市、滋賀県野洲市など、多重債務者の救済に高い効果を上げている先進的な自治体があります。
例えば、税金や国民健康保険の担当職員は、滞納をしている人々と接する機会がありますが、
多重債務に陥っているという状況を聞けば、複数の部署で連携して多重債務の整理と生活再建に向けた支援を行うのです。
行政と弁護士らが連携をとれば、多くの場合多重債務は解決できます。
消費者金融などに対して法定金利を超えた利息で支払いを続けている場合、支払った利息は法的に無効となります。
つまり、請求すれば過払金として全額戻ってくるケースがほとんどなのです。
この過払金を回収することで滞納されている国保・税のほぼ全額を納付できるため、行政の新しい滞納整理法としても注目されています。
したがって、多重債務に早期に対応することは、経済苦による自殺を予防する効果とともに滞納された税金などの納付や将来の生活保護を予防する効果もあるのです。
そこで市長に伺います。
本市でも市役所内外で連携体制をつくり、多重債務に追い込まれている人々の総合的な支援体制をとる必要があると思いますが、市長の考えをお聞かせください。
(質問はここまで)
さらに、2007年3月22日には教育経済常任委員会でも上下水道局長に対して
単なる滞納への催促ではダメで生活再建を視野に入れた取り組みをすべきだと、やはり禧久さんの奄美市役所での取り組みを紹介して提案しました。
彼の取り組みの素晴らしさは、徹底した『アウトリーチ』にあります。
『アウトリーチ』というのは、こちらから困っている方々の方へ打って出ていくことです。
そしてもう1つすごいのは、『徹底した同伴』です。
多重債務で追い込まれた末に自死に至る直前の方がなんとか市役所に相談に訪れた時に、窓口をたらいまわしするようなことはサイテーです。
「ああ、それは消費生活センターに相談して下さい」
消費生活センターに行くと
「それでは、法テラスをご紹介します」
法テラスに電話をすると
「では、弁護士を紹介しましょう」
ダメだよ!そんなのたらいまわしだよ。
だって、もはや1人で動ける気力も無くなっている方をたらいまわしにするのは、自死へ追い込んだ共犯といっても言い過ぎじゃないとフジノは考えています。
だから、禧久さん(と禧久さんのチーム)は徹底的に同伴して、最後に笑顔が取り戻されるまで付き添います。
これが奄美市役所方式なのですね。
禧久さんはフジノHPの読者でした!
なんと、その禧久さんがフジノHPの愛読者でいらっしゃるとのことで
昨夜の『有志の会』の懇談会をセッティングするにあたって
「フジノさんに会いたい」
と、おっしゃってくださったそうです。
結局、昨夜はお会いできなかったのですが、なんと今日、お会いすることができました。
フジノにとって禧久さんとは初めての対面だったのですが、すでに何回もお会いしたことがあるようなそんな懐かしさがしました。
禧久さんの強い願い、
「多重債務から必ず人は立ち直れる」
という想いは、フジノの信念でもあります。
アルコール依存症、ギャンブル依存症、様々な生活苦からの多重債務、たくさんあります。
でも、「人は必ず変われる」とフジノは信じています。
同時に
「絶対にお金が原因で人は死んではいけない」
とも信じています。
禧久さんに初対面の感じがしないのは、そんな想いがとても似ているからかもしれません。
禧久さん、お会いできて光栄です。
いつか奄美に必ずうかがいます。今日はありがとうございました。
お会いしたかった方々とやっとお会いできました
市民相談や市議会の時ですとかこのHPでは『強気モード』のフジノなのですが
この2年間くらいは、心身ともに良かった日がほとんど無くて、毎日、自分のふがいなさに悲しくなることがたくさんあります。
もともと「1期4年で引退だ」と決めていたからこそ、仕事中に死んでもいいと決めて持てるエネルギーの数倍をかけて働いてきたのですね。
だから、今は4年前と比べると本当に体が全く動かなくて、
お会いしたい方々がたくさんいらっしゃるのにアポイントメントをとる気力さえ出せなくて
「政治家としておれはこんなに情けない状態で良いのだろうか」
と、すぐにも辞任すべきではないかと考えてしまう瞬間が多くあります。
でも、今日だけは特別でした。
かねてからお会いしたかった方々がなんと一同に介していたおかげで一気にお会いすることができました。うれしかったです。
例えば...。
柳沢みつよしさん(民主党・参議院議員)。とてもお会いしたかった方です。
柳沢議員は、国会議員が作っている『自殺防止対策を考える議員有志の会』のメンバーで、国会審議の中でも自殺対策を何度も何度もとりあげて下さっています。
2006年に超党派の国会議員で作られた『自殺防止対策を考える議員有志の会』(会長・尾辻秀久参議院議員)というのがあるのですが、
2006年にライフリンクとフジノたちが立ち上げた『地域の自殺対策を推進する地方議員有志の会』は、この国会議員の有志の会と双子といっても良い存在なのですね。
でも、いろいろな事情(大人の事情ってヤツですね)があって、国会議員の『有志の会』と地方議員の『有志の会』とが交わることはありませんでした。
それが今日、初めて接点が生まれたのです。これから、もっと多くの接点ができていくはずです。
柳沢議員も約束して下さいました。ありがとうございます。
また、杉本脩子さん(全国自死遺族総合支援センター代表幹事)ともお話しする機会がありました。
また、弘中照美さん(多重債務による自死を無くす会・代表幹事)ともすごく久しぶりに再会することができて、うれしかったです。
その他にもまだここでご紹介していないものの多くの有意義な出会いがありました。
僕自身がどこまでがんばれるのか正直なところ、現時点では分からないのですけれど
こうした素晴らしい方々との出会いとつながりは横須賀の自殺予防総合対策をもっと充実させていくだけでなく
この国の自殺を減らし、ゼロへと向けての闘いを進める上できっと大きな意味があるとフジノは信じています。
今日は多くの方々に感謝しています。
ありがとうございました。