渋井哲也さん『自殺を防ぐためのいくつかの手がかり』が出版されます
現代の自傷・自殺について1980年代後半から報道しつづけてきた渋井哲也さん(ジャーナリスト)。
その渋井さんの最新作が、ついに来週、出版されます。
『自殺を防ぐためのいくつかの手がかり~未遂者の声と、対策の現場から~』
(河出書房出版社、11月9日発売)
こちらです。
実は、この本の『第6章・地域で取り組む自殺対策』にフジノの活動がとりあげられています。
今年、渋井さんに取材をしていただいていました。
それがついに出版されたのですね。
今年3月15日に汐入駅前でおこなった『自殺対策強化月間』の街頭キャンペーンの様子から始まって
フジノのこれまでの取り組みや様々な想い、横須賀市の様々な対策や政府の施策に対する意見など、7ページにわたって報じてくれました。
こうした単行本でフジノの活動がとりあげられたのは2回目です。
新聞や雑誌では何度もとりあげてもらってきましたが、今回は、特別でした。
大きな感慨をもって、この本を読みました。
その理由は、著者である渋井哲也さんです。
フジノは、特別な思い入れがあります。
8年前、フジノが自殺対策に取り組み始めた本当に初期の頃には、自殺・自殺未遂・自傷について信頼できる内容の本がほとんどありませんでした。
(研究者による論文と翻訳書はのぞきます)
フジノが日本の自殺対策に関わる方の中で最も尊敬している高橋祥友先生(防衛医科大学教授)の著作をのぞけば
ほとんどの本が、科学的根拠にもとづかない昔ながらの偏見をひきづった内容ばかりでした。
倫理観や宗教観をふりかざすような、うんざりさせられるような本もたくさんありました。
そんな中、フジノが深く共感したのが2人のライター/ジャーナリストでした。
ロブ@大月さんと渋井哲也さんです。
きれいごとやオブラートにつづんだ遠回しの表現なんかではなく、お2人の文章ではリアルな現実が切り取られていました。
単にすさまじい数の方々に取材を重ねたからではなく、現実の中に身をうずめなければ決して描くことができないものだと感じました。
フジノは、何年ものあいだ、オーバードーズやリストカットの実際の姿を目の当たりにしてきました。
そして、自死によって大切な人を失ったばかりでした。
だから、本当に意味のある情報や知識が必要だった僕にとって、たくさん読みあさった本のほとんどがリアルでない唾棄すべきニセモノに感じられてうんざりでした。
そんな中、お2人の本を読み進めることは何度も僕にフラッシュバックを引き起こすことになりましたが(苦しかったです)
切実に求めていた本当に意味のある情報や知識が記されていました。
こうして、ロブさん&渋井さんの本は、何度も読み返してきたのです。
ロブ@大月さんとは、2005年2月に運良く直接お会いすることができました。
一方の渋井さんとは、お会いしたかったにも関わらず、昨年までずっと機会が無かったのですね。
2009年12月に自殺予防総合対策センターが開催した『困窮者問題への対応についての勉強会』に参加した時、
フジノが会場からツイッターでつぶやいたら、「同じ会場に居る」という方からリプライ(返事)をいただいたのですが、それがなんと渋井哲也さんだったのです。
(こんな出会いを与えてくれたツイッターには本当に感謝です)
それから、とんとん拍子に取材までしていただいて、こうして新しく出版された著作にまさか自分が載せていただけるなんて
人生というのは何が起こるかつくづく分からないものだと、痛感しました。
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読み終えた感想は
「こんな風に書いてもらったのは、初めてだ」
というものです。
読んでもらった友達も同じ感想でした。
これまでいろいろなメディアでとりあげていただいて、その全てに深く感謝をしていますが
フジノは決して『悲劇のヒーロー』ではありませんし、メディアによって美化して描かれた自分と現実の自分にギャップを感じて苦しんだことも何度もありました。
でも、渋井さんが取材者だったこともあって、ふだんは言わないようなこともフジノは率直にお話ししました。
そして、この本の中のフジノは、かつて渋井さんの著作を読んで感じたとおりの等身大のリアルなフジノだったです。
渋井さん、本当にありがとうございました!
どうかみなさまも機会がありましたら、この本を読んでみて下さいね。
来週発売です。