第15回自殺対策推進会議へ
今日は、朝から東京・霞が関へ。
内閣府の『自殺対策推進会議(第15回)』が開かれました。
5年ごとに見直しを行なう『自殺総合対策大綱』ですが、昨年6月の第12回会議から3回に分けて『現・大綱』の進捗状況のヒアリングが行なわれてきました。
今は、自殺対策に関わる学会などからの意見をとりまとめているところで、次回の会議にはそれらの意見が公表される予定です。
最終的には、今年の春には『新・大綱』が閣議決定される見通しです。
しかし、『新・大綱』策定に向けた大切な時期であるにも関わらず、今日の会議で大きな議論を呼んだのは、本筋とは全く別のことでした。
内閣府自殺対策推進室が発表した、今年3月の『自殺対策強化月間』の取り組みについて、そのキャッチコピーである『GKB47』が問題視されました。
フジノ自身もこの資料に目を通した瞬間、
「なんでこんなバカげたキャッチコピーを付けたんだ」
と感じて、率直な想いをツイッターでつぶやきました。
案の定、委員メンバーからも批判が出ました。
予想通り、それから数時間後にインターネット上で配信された各メディアの記事を見ると、批判一色でした。
内閣府の説明文章によれば『GKB』とは
『Gate・Keeper・Basic』と『47都道府県』の頭文字を取った
とのことです。
しかし、若い世代にとって『GKB』とは『ごきぶり』を意味しています。『GKB47宣言』のキャッチコピーを作った人たちは、こんなことも知らなかったのでしょうか。
それ以前に、これまでも自殺対策は何よりも言葉づかいに慎重に慎重を期してきたのに、『AKB48』人気にあやかりたいという安易すぎるコピーは今までの取り組みとも大きく反したもので、自殺対策を推進してきた1人としてフジノ自身も全く受け入れることができません。
内閣府の取り組みはブレている
今回の『GKB47』問題だけではなく、内閣府の取り組みは、今、ブレていると強く感じます。
昨年11月に新たに作られた『官民が協働して自殺対策を一層推進するための特命チーム』はその表れだとフジノは感じています。
この『特命チーム』は自殺対策の専門家でも何でもない人間をメンバーにしました。
14年連続で3万人を超えた犠牲者を出している今、本気でいのちを守ろうと覚悟している人だけが必要なのです。
そして、この『特命チーム』で行なわれている議論も今さら何故こんな屋上屋を架すのか全く無意味に感じます。
こんな状況で作られる『新・大綱』にフジノは不安を感じています。
『自殺対策元年』と言われた2006年から早くも6年が過ぎて、一時期の熱気は確かに去っていきました。
けれども、現場で毎日の活動を地道に続けているみなさんの熱意は全く変わっていません。
大きな啓発イベントを単発で打ったり、有名な人を審議会メンバーにするようなことは、そもそも必要ではありません。
やるべき取り組みを通年でじっくり行なえるようにしっかりと予算を付ける、人材の確保をする、それこそが必要です。
派手さは全くいらないのです。
成果が出ている取り組みを地道に続けることが重要なのです。
『GKB47』なんて謳わなくてもゲートキーパーは確実に少しずつ増えてきています。
派手なキャッチコピーはいらないし、もっとやるべきことは別にあるのです。
内閣府には、初心に帰って、もっと成すべきことは何かを考えてほしいです。