横須賀市初の「要求監査」の結果が出ました
7月9日の活動日記で記しましたが、横須賀市政では初となる『市長による要求監査』が行なわれました。
上下水道局が出資して、新たに株式会社(仮称・株式会社よこすかウォーターサービス)を作る計画がありました。
市議会で予算も可決されたにも関わらず、市長が計画の白紙撤回を申し出た件についてです。
昨日、その結果が監査委員から市長・市議会議長宛に報告されました。
こちらがその全文のPDFファイルです。
この報告書の全文を読んでも分かりにくいので、フジノが下に要点をまとめてみました。
監査結果の要点
- 市長が監査委員に「監査してほしい」と依頼した内容
これまで上下水道局が行なってきた「(仮称)株式会社よこすかウォーターサービス設立」計画の進め方が妥当だったかどうか? - 監査の方法
上下水道局・市長・前局長に『文書』による調査を行なった - 監査を行なった結論
進め方については妥当性は無かった。 - 結論に至った理由
(理由その1)『決済』が存在しない。公文書の管理ができていない。→民間企業でも市役所でも重要な業務命令が出されたり、あるいは、一般的によくあるケースでは出張に出る場合には、文書などで『決済』を取りますよね?
誰が、誰に対して、どのような業務命令を発したのか、決済された文書(業務命令書)を見れば、ひと目で分かります。
そして、その業務命令にそって、実際に行なった対応の報告や出張から帰ってきて報告書を出したりするなど『復命書』を出します。これも『決済』を取ります。担当者→係長→課長→部長→重役、のように。
この決済された復命書を見れば、誰が誰に対してどのように対応したのかがひと目で分かりますし、その決済された文書(復命書)を見れば、決済した人のハンコが押されていますから、報告を受けた人(読んだ人)が誰なのかもすぐに分かります。
しかし、今回の監査の対象である、上下水道局と顧問弁護士との4回の打ち合わせは全てについて決済が必要なのに、3回目まではメモ程度のペーパーしか存在せず、正式な『復命書』は出されていませんでした。
4回目のみ、正式な『復命書』が出されており、決済もなされていました。
『決済』が無いということは、「公的な文書として存在しない」ということです。行政は『文書主義』を取っていて、その政策決定が正しかったのかどうかなどについて、将来の検証に耐えられるように全て保管して置かなければなりません。それが今回はできていなかったのです。
(理由その2)上下水道局は『内部統制』ができていなかった
→上下水道局が顧問弁護士と相談した結果、「新しくつくる会社と市が『随意契約』を行なうのはダメだ」と3回とも言われていたのに、その内容を市長には1度も報告していませんでした。
ホウレンソウ(報告・連絡・相談)は仕事の基本中の基本ですが、特に、重要な施策や事業実施などの意思決定プロセスに必要な情報は、市長にきちんと報告して、情報を共有するべきでした。
つまり、上下水道局の『事務執行』において組織の内部統制が機能していなかったのです。
今後は、重要な施策や事業実施について市長に報告を行なう時は、複数の職員(例えば、局長・経営部長・技術部長など)が同席して、重要な情報の報告が確実に行なわれているかをお互いに確認する仕組みをつくるべきです。
- 監査委員から市長への意見
上下水道局長が報告をしていなかったことは問題ですが、市長にも問題があります。すでに市議会で、この問題については様々な質疑が行なわれてきて計画を進めようとする上下水道局と契約を担当している財政部とが『見解の相違』を示していたにも関わらず、市長自らがこの『見解の相違』について、財政部や、法令解釈について総務部に確認や調整を図るなどの対応が必要でした。
また、市長自身が顧問弁護士などの外部機関から客観的な意見の聴取を行なうなど相当の注意力をもって確認を行なう必要がありました。
市長は、横須賀市の組織全体の意思決定プロセスにおいて自ら積極的に指導力を発揮して
内部統制が十分機能するように注意して市政を運営することが望まれます。
以上が今回の監査結果をフジノ的に分かりやすく説明したものです。
行政職員ならば当たり前なのに、何故「決済」を取らなかったか?何故「報告」をしなかったのか?
ここから先は、フジノの考えです。
そもそも行政職員ならば誰もが絶対に知っている「『決済』が必要である」というルール。
前局長が「何故、あえてやらなかったのか?」についてを、監査委員では調べていません。
顧問弁護士との相談結果を何故、元局長が市長へ報告しなかったのか?
この『動機』こそが本当は調べられなければなりません。
すでに元局長は辞表を提出・受理されて横須賀市役所を去っています。
フジノは、
「吉田市長の責任論にならないように前局長が1人で責任を負って、市長をかばっているのではないか」
と感じてしまいます。
かねてから市長が繰り返してきた「4回目の顧問弁護士の報告で初めて知った」「前局長が報告しなかったのが悪い」という答弁に対して、今回、市長は『要求監査』を行なわせたことで『監査委員からのお墨付き』は出ました。
市長は『給与1ヶ月分カット』だけで「自らを処分した」そうです。
これだけで、前局長を任命した責任は取った、と説明責任を放棄したまま、この問題を終わりにしようとしています。
けれども、フジノは「これで市長の責任なし」とは全く考えられません。むしろ、前局長があえて『決済』を取らなかった理由、前局長があえて市長に報告しなかった理由への疑問は、より強くなりました。