ハコモノ3兄弟の長男「横須賀芸術劇場」
横須賀市議会では決算審議が行われていますが、市民のみなさまに知っておいて頂きたいデータを紹介します。
フジノがこのまちの『負の遺産』として『ハコモノ3兄弟』と名付けている3施設が、横須賀市の財政へ与えているダメージを見ていきましょう。
今日はまず、『横須賀芸術劇場』についてです。
建設時の借金は今も120億円残っています
1994年にオープンした『芸術劇場』ですが、今も横須賀市の財政に深く大きな傷を残しています。
2011年度末の『芸術劇場』部分についての、借金の残高は、120億565万2638円です。
同じく『芸術劇場』と一体となっている建物に『産業交流プラザ』がありますが、こちらの借金の残高は5億5864万8000円です。
借金を返し終わるまでには、まだかなりの時間がかかります。
このハコモノ建設による借金と利息の支払いにあてねばならない税金を、もっと別の使いみちにあてられれば、と悔やまれてなりません。
1年間の赤字は7億円にのぼります
続いて、平成23年度1年間の赤字額を見てみましょう。
支出の内容ごとに説明します。
まず、運営管理にかかった費用です。
1.芸術劇場管理事業:5億5196万6812円
内訳
(1)指定管理料 4億2004万円
(2)ベイスクエアよこすか一番館共用部分負担金 1億2798万1410円
(3)建物総合損害共済基金分担金 84万6320円
(4)舞台用備品購入費 309万9082円
(1)ですが、『芸術劇場』の運営は市の外郭団体(『公益財団法人横須賀芸術文化財団』)に委託していて、指定管理料(委託金)を支払っています。
続いて、設備のメンテナンスにかかった費用です。
2.芸術劇場劇場設備更新事業:1億6366万5600円
内訳
(1)舞台機構設備 1億1433万4500円
(2)舞台照明設備 4933万1100万円
この設備更新の費用に充てる為に、横須賀市は新たに1億4100万円の借金をしました。
神奈川県から900万円の補助金が出されましたので、この900万円を除いた横須賀市の費用は1億5466万5600円となります。
ということで、1+2=平成23年度の芸術劇場にかかった費用は、7億663万2412円でした。
かたや収入はゼロですからつまり、7億663万2412円の赤字です!
東日本大震災があった2011年度の決算なので、興行を行なうのはかなり難しい1年間ではありました。
けれども、『芸術劇場』については震災があっても無くても利用状況もほとんど変わりはありません。
上が2009年度、下が2011年度です。
慢性的に70%前後で推移しているような状況です。
市長は「指定管理者」を「公募」するという改革案
このハコモノ3兄弟の長男『芸術劇場』の改革の為に、吉田市長は新たに指定管理者(委託先)を公募することにしています。
現在は、複数の企業による競争などは無く、市が『指名』した『市の外郭団体』に運営させています。
この契約期間が終わったら次回からは「指名」では無くて「公募する」というもの。
ただ、それはまだ先の話で2014年にようやく行われます。まだまだ財政健全化への道のりはとても遠いのが実態です。
120億円の借金が残っていて、さらに毎年7億円の赤字を出し続けている芸術劇場。
穴埋めには、あなたの税金が使われています。この現実を、あなたはどうお考えになりますか?