慶応大学湘南藤沢キャンパスへ
今日は朝から慶応大学・湘南藤沢キャンパス(SFC)へ向かいました。
アサノ先生(浅野史郎教授・元宮城県知事)が火曜日2限に『地方自治論』という講義を行なっているのですが、フジノはその講義に『ゲスト講師』として招かれたのです。
環境情報学部と総合政策学部と看護医療学部の3つの学部から、1〜4年生まで学年を問わず、100人の学生さんたちが履修しています。
これまでフジノはいくつかの大学で講義をしてきましたが、もっぱらテーマは『保健・医療・福祉の政策』についてでした(例えば、今年7月の日本社会事業大学での講義の様子はこちらをご覧ください)。
『実現してきた政策』を語ることや、『実現しなければならない政策』を語ることならば、フジノは何時間でもお話しすることができる自信があります。
けれども、アサノ先生から与えられたテーマは全く別のものでした。
アサノ先生からフジノに与えられたテーマ
慶応大学に集まっている学生たちは、マスメディアが報じるような大きなテーマは『問題』としてしっかり認識している。
けれども、『地方自治』はマスメディアがとりあげないような、もっともっと身近な生活の中での様々な『課題』と向き合うことである。
『地方自治』というけれど、そもそもどのようなことが市民にとって『問題』なのだろうか。どういったことが地域特有の『課題』として挙げられるのだろうか。
学生たちがそれをリアルにイメージできるように、フジノに語ってほしい。
しかも、それは『政治家フジノ』としてではなくて、『いち市民フジノ』としてぜひ語ってほしい。
あらかじめ学生たちには、自分が考える『課題』を挙げるようにと宿題を出している。
講義中に学生から発表してもらうのでフジノはそれらについてコメントをしてほしい。
また、横須賀という地域の特有の『課題』などを含めつつ、フジノ自身の視点でいくつかの『課題』を具体的なケースで語ってほしい。
とても難しいテーマだと感じました。
けれども、ぜひ学生のみなさんに一緒に考えてほしい大切なテーマだと感じましたので、喜んでゲスト講師を引き受けさせていただきました。
フジノの想い「プライベートな出来事は、全てパブリックな課題である」
フジノの考えをひとことで言うならば、
です。
個人が毎日の暮らしの中で起こるあらゆる全ての出来事は、公的な課題(=政治と行政が取り組むべきこと)である、というのがフジノの考えです。
政治学や行政学などを専門的に学んだことが無いので、この考えに学術的な根拠や理論はありません。政治家としてというよりも、フジノ自身の人生を通して、実感として得てきた結論です。
このフジノなりの想いを、学生のみなさんに具体的な事例を挙げながら一生懸命に伝えてみようと決心して講義に臨みました。
アサノ先生のユーモアあふれる語りに助けていただきながら、フジノのエネルギーを全力でぶつけてきました!
10人くらいの学生さんに発表してもらったのですが、みなさんとてもよく考えられていました。
そこにフジノがコメントし、さらにアサノ先生がコメントをして下さり、そこから話題が発展していったり、さらに学生さんから質問を頂いて、それに答えて、というやりとりを繰り返しているうちに、あっという間に90分間が過ぎてしまいました。
アサノ先生のリードが素晴らしいということもあるのですが、学生のみなさんの熱心な姿勢にもこころをうたれて、もう少し時間がほしかったとさえ感じました。
アサノ先生と学食へ!
講義が終わった後、アサノ先生とカフェテリア(生協の食堂?)へ。
大学を訪れた時の楽しみは、やっぱり学食ですよね〜。
かねてからカフェテリアで食べてみたかったのですが、ひとりでは入りづらかったので、とても嬉しかったです(上の写真は「パワー丼」です)。
学生のみなさんの感想や質問を読ませていただきました
大急ぎで食べ終えて、アサノ先生の研究室へ向かいました。学生のみなさんが感想や質問を書いたシートを読ませていただく為です。
メモをとりながら全てを読ませていただきましたが、いやあ、良かったです。ものすごく勉強になりました。10代後半から20代の感性というのは、その時期にしか無い素晴らしいものがあります。
質問が書かれていたものには、必ず全てに回答させていただきます。
アサノ先生からお電話を頂いて即答でゲスト講師を引き受けたものの、電話を切ってから改めて「このテーマは細やかにリアルに話さなければ、学生たちにとってかなり退屈なものになってしまうかもしれないなあ」と心配していました。
けれども、学生のみなさんの書いてくれたシートを読むと(ゲスト講師への社交辞令としてのお世辞は割り引いても)、フジノの投げたボールを確かに受け止めてくれたことを感じました。
そして、そのボールを強くしっかりと打ち返してくれた学生さんもたくさんいてくれました。
自らの人生を振り返っての想いを記してくれた学生さんもいて、その言葉に僕は率直に感動を受けました。
政治家ながら人前で話すのがキライな上にしゃべるのも下手くそというフジノですが、そうした表面的なことではなくて、想いをしっかり受け止めてくれた学生のみなさんにこころから感謝しています。
本当にありがとうございました。
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今日の講義でお話したことを政治家として実際に毎日貫いていくこと(「あらゆる立場の人々の24時間の生活の全てが『課題』である」という信念にもとづいて仕事をしていくこと)は、とても想像力が必要で、とても難しいことです。
何故なら、人は自分の人生しか生きることができないからです。
僕は、僕の人生しか生きられません。
あなたはあなたの人生しか生きられません。
人は自分が体験していることであっても、それを『課題』として意識することはとても難しいです。ましてや、他人が体験していることを『課題』として捉えることは、とても大変です。
それでも、それをやらなければならない
という責任が政治家にはあります。
「全ての個人的な出来事が公的な課題である」という考えを取るからには、1つの人生しか生きられない限界を知りながらも、いくつもの人生を追体験してその痛みを自らの痛みとして受け止める覚悟が必要です。
その想像力と共感をする力は、ややもすれば年齢を重ねるごとに弱くなっていきかねません。10代の頃からは信じられないくらいに体力の衰えと気力の衰えは進んでいくらからです。
そんな中で、学生のみなさんの純粋な想いに触れることで、改めて僕自身がエネルギーをもらうことができた気がします。これからもしっかりと自らの想いを貫いていきたいと感じました。
そして、アサノ先生にもこころから感謝の気持ちをお伝えしたいです。
今日の機会を作っていただいたことだけでなく、過去から現在に至るまでずっと僕に強い影響を与え続けてて下さったことに改めて感謝しています。
僕がまだ大学1年生だった頃にアサノ知事の存在を初めて知ってから、一方的な片思いを続けて20年くらいになります。
政治家ギライのフジノがたった1人だけ昔から変わらず尊敬しているのがアサノさんなのです。日本の障がい福祉を変えたヒーローなのです。
アサノさんが書いた文章を一生懸命繰り返し読んで、何百人もの聴衆を前にステージの上で講演するアサノさんの言葉をひとことも聞き漏らさないようにして、というような遠い雲の上の存在でした。
人生は本当にフシギなもので、こんなふうに間近で過ごすことができるようになるなんて、今でも信じられません。
学生さんの1人が「藤野議員のような政治家を増やすことが必要だ」とシートに書いてくれました。とても嬉しかったです。
その政治家フジノを生み出したのはアサノ知事です。アサノ知事の遺伝子は、政治家フジノの中にも受け継がれていると僕は信じたいです。
僕は「アサノ知事」の影響を受けた訳ですが、慶応大学SFCの学生のみなさんは「アサノ教授」の遺伝子を受け継いでいる訳です。つまり、僕にとっては同じ遺伝子を持つ仲間という存在なのです。だから、とてもシンパシーを感じています。
今日の講義の最後にもお話しさせていただきましたが、みなさんには、ぜひ政治・行政・福祉・企業などのあらゆる分野で活躍していただきたいです。その持てる能力をノブレス・オブリージュの精神で世の中の為にいかしてください。
アサノ先生、学生のみなさん、今日はありがとうございました!
*後日談*
アサノ教授のブログで、今日のゲスト講義について記して下さいました。ありがとうございます!