「医療的ケア」って何?
『胃ろう』を造っている高齢者の方々の数は全国で26万人にのぼると言われています(平成23年全日本病院協会調べ)。
特別養護老人ホームに入所している方の5.3%の方が『たん吸引』を必要としていて、9.9%の方が『経管栄養』が必要だというデータがあります。
その他にも、保育園、小中学校、特別支援学校、障がいのある方々の入所施設、高齢者の介護施設、医療施設、グループホーム、在宅などをはじめ、本当にたくさんの方々が『医療的ケア』が必要な状態で暮らしています。
この『医療的ケア』について、数年前からフジノは市長への一般質問や委員会での質疑をはじめ、この活動日記でも、何度も何度もとりあげてきました。
でも、具体的に『医療的ケア』ってどんなことか、あなたはイメージがわきますか?
...イメージ、わかないですよね。
フジノも父に『医療的ケア』が必要になるまで全く知らなかったですもん。そこで、改めてしっかりと説明してみたいと思います。
『医療的ケア』で最もメジャーなものは2つあります。
- 『たん吸引』
- 『経管栄養』
「たん吸引」って何?
今日は『たん吸引』について紹介しますね!
1.たん吸引
人の身体は、素晴らしい仕組みになっています。
息を吸って吐く『呼吸』をする時、空気と一緒にどうしてもホコリなどの異物やウイルスや細菌などを取り込んでしまうのですが、人の身体はそうした異物を体の外に排出するようになっています。
例えば、鼻毛。
まずこれがフィルターの役割をしています。鼻から息を吸うと、鼻毛フィルターのおかげで大きなホコリなどの異物は、体内に入りません。
次に、粘液。
鼻毛フィルターでカットできなかった小さなホコリや細菌は、鼻の奥(鼻腔)から粘液が出て、からみとります。これはいわゆる『鼻水』です。鼻水によって、異物は外に排出されます。
さらにそれよりも小さなホコリやウイルスなどは、ノドの奥の気管や気管支に生えている細かい毛(綿毛と呼びます。粘液に覆われています)に、からみとられます。それがいわゆる『たん』です。この粘膜が刺激されると咳が出て、体の外へと排出されます。
また、外に排出されない『たん』や唾液や鼻水は、無意識に食道へと流れていきます。ノドの奥にある弁のおかげで、気管から肺の方には流れ込まないようになっています。
こうして、肺は無菌状態に保たれているのです。この一連の動作を、人間は毎秒ごとに意識せずに行なっています。とても高度な作業です。
けれども、何らかの病気によって、このすごい仕組みが機能しなくなってしまうことがあります。
『たん』を吐き出せなくなってしまうと、うまく呼吸ができなくなって、呼吸困難や窒息に陥ってしまいます。
また、本来ならば食道に流れ込むべき『たん』や唾液や鼻水などが、気管から肺へと流れこんでしまうことがあります。
そうすると、本来は無菌状態であるべき肺に異物やウイルスが入り込んで肺炎になってしまいます。
このままでは死に至ってしまいます。
そこで、機械を使って体の外に排出するのが『吸引』です。吸引器という機械があります。
吸引器の先にストローがついていて(吸引カテーテルと呼びます)、それを鼻や口から差し込んで、唾液や鼻水やたんを吸い出すのです。
窒息や呼吸困難を防いで、肺炎を起こさないようにする。いのちを守る大切な行為。それが『たん吸引』なのです。
少しだけ、分かっていただけたでしょうか??