4.市長部局による性的マイノリティ支援の取り組みを強化する必要性について
今年度の人権施策推進会議の議題には『性的マイノリティの人権について』が加えられ、長年現場で支援に取り組んできたNPOの代表者が新たに委員に委嘱された。
しかし、実際に開催された人権施策推進会議では、事務局である人権・男女共同参画課は消極的な姿勢に終始し、性的マイノリティ支援には法的根拠が無い、本市に担当する主管課が無い、などの発言をしたり、事務局による資料の提供も無く、結果的に推進会議での議論も低調に終わった。
このまま何の支援策も進まなかった場合、新たに委員に加えられた方がスケープゴートにされてしまいかねないと私は危惧している。
市長部局による性的マイノリティ支援の取り組みを強化する必要性について、以下の5点を問う。
(1)性的マイノリティ支援の根拠は「横須賀市人権施策推進指針」ではないのか
本市は2007年に『横須賀市人権都市宣言』を行ない、2009年には宣言に基づいて「横須賀市人権施策推進指針」を策定した。その中で「性的マイノリティの人権」が人権課題であること、問題への認識を深め、的確な施策を検討し展開していくことを明記した。
この「指針」こそ、本市が性的マイノリティ支援に取り組まねばならない明確な根拠ではないのか。
(2)市長は、性的マイノリティ支援の根拠を明確化すべきではないか
事務局が述べたように、性的マイノリティ支援は根拠法が無い為に十分に取り組めないと言うのであれば、市長がその根拠となる位置づけを明確化すべきである。
①性的マイノリティ支援の担当部局を市長が明確に指定すべきではないか
②性的マイノリティ支援を本市の取り組みとして位置づける為の条例化を検討すべきではないか
③「(仮称)第4次横須賀市男女共同参画プラン」に性的マイノリティ支援を盛り込むべきではないか
根拠法が無くとも、国では「第3次男女共同参画基本計画」において性的マイノリティへの対応が盛り込まれている。
本市では現在「(仮称)第4次横須賀市男女共同参画プラン」の改定作業を行なっている。ここにも性的マイノリティ支援を盛り込むべきではないか。
(3)市長は、市長部局の性的マイノリティ支援の取り組みの現状をどう考えているのか
これまで本市は性的マイノリティ支援に熱心に取り組んできたと私は考えていたが、今回の人権施策推進会議を契機に改めて振り返ってみた。
すると、様々な取り組みを行なってきたのはあくまでも教育委員会と保健所健康づくり課感染症対策係であって、市長部局では無いことに気づいた。
同じ市役所という組織であるにも関わらず、教育委員会・保健所と市長部局との間で、問題意識や取り組みの成果や課題などが共有されておらず、何故ここまで乖離しているのかと強い疑問を感じた。
市長は市長部局の取り組みの現状をどのように考えているのか。
(4)市長は、性的マイノリティの当事者の方々とお会いする意思はあるか
教育長を筆頭に教育委員会が熱心に性的マイノリティ支援に取り組んできた理由を改めて考えた時、平成20年9月議会で私は教育長に対して性的マイノリティの当事者である学生たちと実際に会っていただきたいと提案した所、快諾していただき、実際に教育長・部長・課長が意見交換をしてくれた。さらに、この分野の第一線の研究者とも継続して対話していることに思いが至った。
一方、市長部局の取り組みの弱さは、当事者の生の声を聴いていないからではないか。
そこで市長に提案したい。
市長は、性的マイノリティの当事者の方々とお会いして、生の声に耳を傾ける意思はあるか。