今日は、横浜市中区の『波止場会館』へ向かいました。『神奈川県精神保健福祉審議会(第2回)』を傍聴する為です。
これも、ここ数年間フジノが追い続けている『医療計画』のカンケーの審議会です。
12月議会の直前で、準備に忙しくてたまらないのですが、それでもどうしてもフジノにとっては重要な政策の1つなので、傍聴しない訳にはいきません。身体はつらくてしかたがないのですが、行かなければずっと後悔するので、意地で行ってきました。
多くの県では『医療計画』に新たに加えることになった『精神疾患』について、新たにワーキンググループを立ち上げて素案を策定しています。
神奈川県の場合は、既存の審議会である『精神保健福祉審議会』をワーキンググループとして活用して、母体である『保健医療計画推進会議』と並行して開催されて、素案を話し合ってきました。ここでの議論をもとに『精神疾患』についての素案を確定して、母体である『保健医療計画推進会議』へ送られます。
ただ、本当にフジノが残念に感じていることは、ワーキンググループの開催がわずか3回しか無かったことです。9月5日に第1回、11月7日に第2回、そして今日ここでの話し合いで、最終回となります。
その理由として、県は、国の最終的な指針(精神疾患の医療体制の構築に係る指針の改正について)が出されたのが10月9日ととても遅かったことも理由に挙げています。
しかし、国の指針が遅くなることはいつものこと。
指針の完成版が出される前であっても、国が指針を作るまでに開かれた様々な審議会での議論をもとにして、積極的に県の素案づくりを早くから進めてほしかったです。
ワーキンググループの第1回が開催された後、10月中に県内の関係団体(約200ヶ所)に文書で意見照会を行ないました。
精神疾患に係る保健医療計画策定に関する意見照会送付先(合計193ヶ所)
- 県精神障害者連絡協議会
- NPO法人じんかれん
- NPO法人横浜市精神障害者家族会連合会
- 神奈川県精神科病院協会
- 神奈川県精神科病院協会非加盟医療機関
- 神奈川県病院協会
- 神奈川県精神神経科診療所協会
- 県薬剤師会
- 県精神保健福祉士協会
- 県看護協会
- 日本精神科看護技術協会神奈川県支部
- 神奈川県訪問看護ステーション連絡協議会
- 県精神障害者地域生活支援団体連合会
- 神奈川労働局(自殺対策委員宛)
- 保健福祉事務所
- 精神保健福祉センター
- 地域産業保健センター
- 神奈川産業保健推進センター
- 政令指定都市主管課
- 市町村障害福祉課等自殺対策主管課
- 精神保健福祉審議会の構成員
- 精神科救急医療調整会議・同部会の構成員
- かながわ自殺対策会議の構成員
- 自殺対策に係る庁内会議(県)構成員
- 認知症対策連絡協議会議構成員
- 精神医療センター
- 県立病院機構(病院事業課)
ワーキンググループでの2回の議論と、この意見照会で得られた回答を盛り込んで、素案が作られました。
今日示された素案では『精神疾患』はこんな構成で記述されています。
- 現状
(1)取り組み、指針・計画等
(2)精神疾患対策 - 課題
(1)予防
(2)治療・回復・社会復帰(地域生活)
(3)精神科救急
(4)身体合併症
(5)専門医療 - 施策
(1)予防
(2)治療・回復・社会復帰
(3)精神科救急
(4)身体合併症
(5)専門医療 - 目標
(1)予防
(2)治療・回復・社会復帰
(3)精神科救急
(4)身体合併症
(5)専門医療
『目標』の具体的な内容は、下の画像の通りです。
↓
今回初めて見た訳では無いのですが、この県の『精神疾患』の素案を見て、正直なところフジノは落胆しています。
まず圧倒的な分量の少なさについてです。これでは必要な指標を盛り込むことさえできません。
これは『精神疾患』についてだけではなく、5疾病全てについて、それぞれわずか6ページしかありません。現状・圏域の設定・連携の検討・課題の抽出・数値目標の設定・施策を全て6ページに押し込めているのです。これでは少なすぎます。
もちろん事務的な制約があることは理解しているのですが...。
国の審議会を追いかけ続けてきた中でフジノが感じたことは、「審議会で示されたあらゆる角度からの指標(医療機能ごとの指標、ストラクチャー・プロセス・アウトカム指標など)を盛り込んで毎年必ず進捗管理としてチェックを続けていけば、かなり精神保健医療福祉は変わっていくだろう」ということでした。
けれども、実際には上に載せた画像の通りで、目標は5つだけ。これを1年ごとに評価・公表を行なうのですが、この5つの目標だけで『精神疾患』についての保健医療体制が改革されていくとはフジノには考えられないのです。
例えば『予防』では、かかりつけ医(みなさんのまわりの内科医など)に「うつ病対応力向上研修」を受講する人数が平成24年度は1,122名なのを5年後には3,000名以上にすることが目標です。
でも、これだけが『精神疾患』の『予防』の目標としてふさわしいかと言えば、明らかに違います。
フジノも自殺対策を進めてきた中で、この目標と同じ「GP連携」(=かかりつけ医と精神科医の連携)の重要性を感じて取り組みとしてきました。
けれども、これだけしか目標にしない、というのは「違う」と考えています。
もっと多くの指標を目標として盛り込むべきです。
せっかく『医療計画』という武器が県にはあるのだから、最大限に活用していけばいいのに。
分量が多くなることを気にするのは『紙ベース』の資料作成の時代の発想に基づいている訳ですが、今の2倍の分量にしたとしてもそれらはインターネット上に掲載すれば良い訳です。量が多くなれば指標の管理も大変かもしれませんが、それが医療を変える為に必要なことならば、やるべきです。いや、やらなければならない責任があります。
終了予定の時間を過ぎても審議会は続いていましたが、フジノは市議会事務局から一般質問のことで連絡があり、残念ですが途中退出しました。
電話での連絡と資料のやりとりをメールでしなくてはならないので、とりあえず波止場会館の隣のカフェに入りました。
(仕事で波止場会館に来るたびに、景色がきれいで素敵なカフェもたくさんあるので「いつかプライベートで来てみたいなあ」と思いつつも、1度も叶いません。いつも仕事で来て、資料を読んだり作る為にカフェに入って、全然景色も目に入ってこないし、食べてるものの味も憶えてない...そんな感じばかりで残念。来年こそは時間を作って、プライベートでこのあたりに来てみたいです)
折り返しの電話を待つ間、行きの電車で読んでいた専門誌の最新号を読み返しました。書店に注文してようやく届いたので、市長への一般質問を作りながらも一生懸命読んでいます。
こうした精神保健医療福祉の業界の論文などを読んでいると、『医療計画』に『精神疾患』が加えられたことを強く歓迎する論調が多いです。それによって、ついに精神科医療の改革がスタートする、という想いでいる関係者は多いはずです(フジノもその1人です)。
でも、期待するだけではダメなんです。計画づくりにどんどん自ら関わっていかなければいけないんです。
フジノが今、実際の計画づくりの現場を見ている限りでは、膨らんだ期待はやがて完成する医療計画によって萎んでしまうことになると思います。期待を現実にするべく、精神保健医療福祉に関わるみなさんは、声をあげていかなければならないんです。
たしかに国の審議会では、改革に向けた方向が打ち出されました。でも、県が作っている実際の計画はどうでしょうか?
さらに、どんな計画が完成するのであれ、策定した後は、しっかりと実現に向けてチェックを続けていかなければなりません。
理想や理念は、現実のものに落としこんでいかなければなりません。さらに、毎日毎日の取り組みの積み重ねによって、実現していかなければなりません。さらに定期的にその取り組みの方向性が正しいものかどうかを検証して軌道修正していかなければなりません。
こうした地味で地道な作業こそ、改革を現実のものにしていきます。
フジノは、精神保健医療福祉に関わるみなさまに、この地味で地道な作業にどうか一緒に関わってほしいと強く願っています。どうかお願いします。
フジノは必死に情報を発信します。資料をどんどん公表します。みなさまはどうかそれぞれの立場から、声をあげて下さいね。
さて、明日も仕事は盛りだくさんです。
『議会運営委員会』と『議会IT化運営協議会』、さらに議案を事前に説明したいと教育委員会から連絡を受けたので、ヒアリング。市長への一般質問の原稿もまだ完成していないので、パソコンにもかじりつかなければなりません。
12月議会も大忙しですが、目の前の課題とともに、精神保健医療福祉の改革というライフワークにもしっかりと取り組んでいきます。
がんばります。