決算見込みでは約8億5000万円の歳入不足!
本日の教育福祉常任委員会で、健康部から報告がありました。
国民健康保険(特別会計)の2012年度決算の見込みについてです。
ふだん、決算は翌年9月議会で審議されますので、本来でしたら2012年度決算の確定値は、来年2013年9月にならないと数値が発表されません。
けれども、すでに『見込みの値』は分かっています。
極めて深刻な状況にあることがもはや現時点でも分かっている為、今回、10ヶ月早く報告されました。
下の資料の通り、2012年度決算では約8億5000万円の歳入不足となります。
「収入472億円」ー「支出480億」=▲8億5287万円です。つまり、8.5億円の赤字です。
そこで、フジノは健康保険課長と下のような質疑を行ないました。
教育福祉常任委員会でのフジノの質疑
フジノの質問
まずこのような早めの情報開示をしていただいたことを大変高く評価したいと思います。
ただ非常に深刻な事態であることは変わりありませんので、何点か伺います。
まず、「平成24年度決算見込みから約8億5000万円の歳入不足が見込まれる」との記述がありました。これはつまり非常に問題な状況に今あるということです。
これに対してどのようにこの歳入不足に対応するのか?平成25年度予算から繰り上げ充用等を行なうのか。
とにかく何らかのかたちで資金を確保しなければ、まず平成24年度を乗りきれないということだと思いますが、その点についてはどのように対応していかれるのでしょうか?
健康保険課長の答弁
平成24年度の決算見込みの結果、8億5000万円ほどの歳入不足が生じます。
この対応策は、平成24年度末において、1点としては一般会計繰入金を増額して頂く。もう1点としては平成25年度から繰入充用して頂くという形になります。
どのように対応していくかは、今後、財政課および副市長以上にご説明して、その対応について検討していきたいと思っています。
フジノの質問
今後の見込みについて伺います。
まず「歳出削減」から伺います。このままだと当然「平成25年度予算は組めない」という形になると思います。
そこで、記述の中でも「より一層の医療費適正化、収納率向上対策」というのはどの程度できるのか。「収納率向上対策」については長らく提案を頂いて十分取り組みを進めていることは理解しています。
「よりいっそうの医療費適正化」、こちらがどのようなことができるのか具体策というのはイメージされているのか、伺います。
健康保険課長の答弁
「医療費適正化対策」として、今年度から療養費に関してその適正化の為に『患者アンケート』を実施しております。
柔道整復の関係の接骨院等を実際に受診された方について、その施術の内容を「週に何回行ったのか」「どういう施術を受けたのか」「金額をいくらぐらいお支払いになったのか」というような形で適正な医療費になるように患者アンケートを実施しております。
また、医療費適正化については、従来からレセプト点検や医療費通知、ジェネリックの利用に際しての差額通知などを行なってきました。
あともう1つは特定健診受診率の向上です。平成23年度で21.9%と低いのですが、それに対する受診率の向上対策という形で、医療費適正化に努めてまいりたいと思います。
ただし、医療費適正化の効果は、なかなか計れない、やってみなければ分からない、やってどれだけ効果があがっているかという分析もなかなか難しい。
医療費は毎年毎年3.2%ほど増加しておりますが、それを食い止める手立てが今は無い、というのが現状です。
フジノの質問
今、お話いただいたものの中で、例えばレセプトチェックについて伺います。
レセプトチェックによって、重複して処方されている薬を削減するといったことはできるのでしょうか。
健康保険課長の答弁
本市では、レセプト点検員として4名の非常勤職員を雇ってレセプト点検をしています。
そこで出た疑義については国保団体連合会に送り直して、再審査という形で「適正な請求なのかどうか」「誤りがあるのかどうか」という形で点検を行なっています。
フジノの質問
レセプトチェックをより強化することができないのかを伺います。
現在、国保連合会に情報を出して請求の仕方が正しいのかどうかを横須賀市から情報を出しているという形になりますが、受診した方々が例えば複数の同一科を複数箇所受診していないかですとか、もう少し受診行動を変えることができないかという観点に視点を置いてチェックをできないのでしょうか。
その点についてはいかがでしょうか。
健康保険課長の答弁
委員ご指摘の通り、現在、頻回受診、何回も何回もかかる方、長期にかかる方、また医療機関を複数かかっていらっしゃる方等々いらっしゃいます。
現在は、そういった被保険者をリストアップして指導していくというような状況に実際なっておりません。
それは今後の大きな課題です。頻回受診、長期受診の抑制による医療費の適正化に向けて、何らかの対応をしていかなければならないと思います。
今後、県内被保険者、県および国保団体連合会と進めていく検討を今はしております。
フジノの質問
一部のまちではすでにそうした取り組みを行なっていると伺っていますので、ぜひ調整をしていただきたいと思います。
今、歳出削減のお話をしたのですが、僕自身は「歳出削減には限界がある」と思っています。
やはり「歳入を確保するしかない」というのが僕の結論です。具体的には「保険料の値上げしか無いのではないか」と考えています。
これはもう差し迫った話なので、平成25年度から値上げすべきだと考えています。
(中略)
値上げは避けられないとしても、何とか負担軽減は維持していただきたい。
それから可能な限り所得に応じた累進性を確保して、低所得の人は守られるようにしていただきたい。
この点については、方針としてぜひ維持していただきたいと思うのですが、いかがでしょうか。
健康保険課長の答弁
委員のおっしゃられた低所得者対策については、国の方もその方向に進んでおります。
国保の保険料負担について低所得者に対する対策を充実させていく。
まだ結果は出ておりませんが、現在も国の方で検討をしている状況ですので、保険料の値上げという改定にあたっては、国の施策に準じて、低所得者に対する軽減については実施していく考えであります。
この質疑でフジノも健康保険課長も共に述べているとおりで、『2012年度の国民健康保険の収支がマイナスになってしまったことへの対応策』は2つしかありません。
- 国民健康保険会計の『2013年度の収入』から『前借り』する(=繰上げ充用と呼びます)
- 市の『2012年度の一般会計』から『穴埋め』する(=法定外繰入金を増やす=税金で赤字を埋める)
1の場合(繰上充用)は、こんなイメージになります。
この方法では、2012年度に足りない8.5億円を2013年度の収入から前借りします。
ただ、来年2013年度には、今年度以上にさらに収入が減る見込みです。支出はさらに増える見込みです。そんな状況で8.5億円を前借りする訳ですから、翌2013年度には赤字の額がさらに拡大していきます。問題を先送りするだけの自転車操業に過ぎません。
2の場合(税金で穴埋めする=法定外繰入金を増やす)は、こんなイメージになります。
赤字8.5億円を『市の一般会計』から税金で穴埋めする方法です。
これは決して特別な方法ではありません。全国でほとんどの市町村が穴埋めをしています。横須賀市も2012年度予算では、一般会計から約7億円の穴埋めをしています。
フジノとしては、美術館や芸術劇場などのハコモノの赤字に税金で穴埋めをするよりも、医療の赤字に税金を使うことの方がより正しいと考えます。
税金はいざという時の為に大切に使うべきで、まさに今がその「いざという時」だとフジノは考えています。
けれども、結局のところ、1も2もその場しのぎでしかありません。やはり、保険料の値上げはもはや避けられません。
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このまちの財政の厳しさについて、ずっとフジノは訴えてきました。
今回、教育福祉常任委員会でのフジノの質疑を通して、来年には国民健康保険料を値上げせざるをえない危機的状況にあることがハッキリとしました。
これを一刻も早く市民のみなさまにお伝えするべきです。
そこで、健康保険課長に次のような質疑を行ないました。
教育福祉常任委員会でのフジノの質疑
フジノの質問
仮に、平成25年度から値上げするという方向になった場合、予算が可決されてから市民のみなさまに周知されるまでの期間が2ヶ月ほどしか無い。
今回こうして早く情報を出してもらったというのは重要で、この値上げの必要性について僕ら政治家は周知していかなければならない。
実際の値上げ金額が決まってから、周知期間はどうしても2ヶ月しか取ることができない。
そこでどうやって情報発信をしていくのか、周知をしていくのか。
現時点では値上げは仮定の話ですが、今の時点での周知方法の想定をお話し下さい。
健康保険課長の答弁
委員ご指摘のとおり、このままいきますと・・・(この部分はインターネット録画中継では聞き取れず)。
まず国からの諸系数が示された段階で収支の再検査をします。そこで金額を固めていきたいと思っています。
委員がおっしゃるとおり、一般会計繰入金で対応するのか、保険料で一部でも全部でも取るのか、賦課させていただくのかのどれかの形で、平成25年度第1回定例会(2月)で議会にお諮りをする形になると思います。
保険料の本算定は6月です。
6月に保険料の決定と共に値上げについての周知ははかれますけれども、それ以前に、議会でご承認いただいた後、4月あたまにでも『広報よこすか』等を通じて、保険料を値上げにせざるをえない理由について周知していきたいと今は考えております。
フジノの質問
値上げの金額を周知するのは6月以降にならざるを得ないことは承知しました。
ただし、値上げそのものの必要性=財政の厳しさについては、国保についてより強く発信できないでしょうか。
今回「広報よこすか」に「財政白書」と「財政基本計画の目標が全て達成」と出ていたのですが、非常に違和感を覚えました。
もはや値上げをせざるをえない状況に迫っているということは周知できないのでしょうか。
健康保険課長の答弁
この平成24年度の歳入不足および平成25年度の歳入不足について、今後どのような形で補填していくのかということは、先ほど言いましたように、財政当局および副市長、市長と検討していきます。
その方向性が出た段階以降でしたらば、そういった今の国保の現状を公表することはできると思います。今の国保の窮状を訴えるような周知はできると思っております。
事務方(=健康保険課長)の立場としては、ここまでしかできません。やはり、責任者である市長の判断が無ければ動けません。だからこそ、市長が責任をもって先頭に立ち、この財政危機を訴えていくことが必要です。
質疑でも述べたことですが、吉田市長は、『広報よこすか』で「財政基本計画の目標が全て達成されました」とまるで財政が良くなったかのように宣伝していますが、そんなことは全くありません。
もっとフジノのように、どんなに市民のみなさまに嫌がられることであっても現実をお伝えするべきです。それこそ政治家の義務だからです。
そこで、福祉部長に対してフジノはこのように質疑を行ないました。
フジノの質問
福祉部長からぜひ市長に要請していただきたいのです。
「広報よこすか」で財政基本計画については対応が十分できているというような、ポジティブなイメージが強く発信されました。
けれども実際には国保も保険料も上げねばならない。
介護保険料も3年後にはまた必ず上げねばならないし、上下水道料金・使用料も挙げねばならない。
消費税の増税も目前に迫っている。
市民生活がかなり厳しいところに追い込まれるのが、もう目の前に来ていて分かっている。
そんな中で、それでもどうしても値上げしなければならないものについては1つ1つ説明しなければならないと思うのです。
値上げの金額については当然議会の議決が必要ですけれども、この状況そのものについては、市長が記者会見等で発信していくこと自体はできるはずです。
「広報よこすか」に書かれているような中身を発信していくことよりも、むしろこの「厳しさ」を市民のみなさまに誠実に訴えることの方が必要だと思うのです。
市長は情報発信の機会が行政職のみなさんよりはより多くあるはずなので、こういった情報をどんどん外に出すように市長に要請していただきたいと思うのですが、いかがでしょうか。
福祉部長の答弁
国保財政、こういう厳しい状況ですが、市全体の財政ももちろん厳しい。
そういった中での高度の政治判断になろうかと思います。
これはまず副市長に報告をあげ、それからまた市長とも協議をし、財政にもそろばんを入れてもらう。
綿密な打ち合わせをして、どういう形で市民にお知らせするのがいいのかも、あわせて検討したいと思います。
市民のみなさま。
市の財政はとても厳しいです。
かねてから繰り返しフジノが訴えてきたように、上下水道は値上げをしなければ破綻します。介護保険料も2年後には値上げすることが確実です。さらに消費税が上がっていきます。
加えて、ここに記した通り、国民健康保険料も破綻しかけています。
それが現実です。逃げることはできません。
さらに厳しいことですが、フジノの見通しではこうした状況はもしかしたら2040年くらいまで続くかもしれません。
けれども、こどもたちの世代、孫たちの世代に今よりもまともな社会を手渡す為には、今の世代が歯を食いしばって乗り越えていくしか無いとフジノは考えています。
だから、一緒に乗り越えていってほしいのです。どうか、お願いします。
吉田市長、こうした現実の姿こそ、記者会見や街頭演説で市民のみなさまに伝えるべきことです。
逃げずに、現実を伝えるべきです。それが今あなたのやるべきことです。