昨日からけさ4時までかかって、市長への質疑の内容を記した『発言通告書』をようやく完成させました。先ほど、市議会事務局に提出して受理されました。
12月27日に開かれる臨時議会で、フジノは吉田市長に対して質疑を行ないます。
発言通告書の内容は下の通りです。
議案第150号・訴えの提起について
葉山町ごみ処理広域化脱退損害賠償請求控訴事件の第二審判決を受けて、本市は上告する為に議案第150号を提案したが、以下の数点について市長の見解を問う。
1.2012年1月の葉山町長交代は本訴訟を早期解決に向かわせる好機だったはずだが、その為に吉田市長はどのような取り組みをしたのか。
2012年1月の葉山町長選挙において山梨崇仁候補が掲げたマニフェストには、「ごみ処理」について「葉山町には最終処分場がありません。中間処理である焼却炉を含め、近隣自治体とのパートナーシップ、事業連携で安定的なごみ処理体制を再構築します」と記されていた。
つまり、ごみの単独処理を押し進めた森英二・前葉山町長の方針からの転換を明確に打ち出していた。
したがって、前町長時代に横須賀市・三浦市との間に起こった訴訟に対しても、継続したくないという考えであると推測できる。町長交代は2市1町にとって訴訟を早期に終わらせる好機だったはずである。
そこで以下の4点を問う。
(1)2012年1月に山梨崇仁氏が葉山町長に就任した後に、この訴訟に関わる問題について、吉田市長は葉山町長と直接に会って意見交換を行なったのか。
(2)意見交換を行なったのであれば、いつどのような形で行ない、どういった内容を話し合ったのか。
(3)意見交換をしていないのならば、その理由は何故か。
(4)葉山町長の交代後、本訴訟を早期解決に向かわせる努力として、吉田市長はどのような取り組みをしてきたか。
2.第二審判決が出た12月19日、横須賀市長を訪問した山梨町長の面談を拒否した理由は何故か。また、市長の対応に問題はなかったか。
第二審の判決が出た12月19日、葉山町長は横須賀市役所と三浦市役所を訪れた。葉山町長はその理由を「町として争う意思は無く、誠意を示そうとして訪れた」と報道陣に述べた。
しかし、横須賀市長は面談を拒否し、三浦市長は不在との理由で、どちらの市長ともに葉山町長と面談をしなかった。
市長という責任ある立場が面談を拒否したという事態は、多くの市民を驚かし、私自身も市長の対応に疑問を感じた。
そこで以下の点を問う。
(1)事前に連絡が無かった為に葉山町長との面談を横須賀市長は拒否したと報じられているが、それは事実か。
(2)12月19日に第二審判決が出るとのスケジュールは公然の事実であるにも関わらず、あらかじめ葉山町長(あるいは葉山町の事務方)から市長に面談してほしいとの打診は事前に一切無かったのか。
(3)12月19日の午後は、わずか数分間の面談が実現できないほど市長は過密なスケジュールだったのか。葉山町長の来庁前後の吉田市長の日程が具体的にどのようなものであったか、総務部長に問う。
(4)日程が理由ではなく、あえて面談を拒否したのか。もしそうならば、面談を拒否することで横須賀市長は葉山町長にどのような意思を示す意図であったのか。
(5)面談拒否を報道で知った多くの市民が、むしろ吉田市長の大人気ない対応に失望している現状をどう受け止めているか。
(6)葉山町長の訪問が突然の事だったとしても、あえて吉田市長は会う時間を割くべきではなかったか。
そもそも平成20年に葉山町がごみ処理広域化の枠組みから脱退した時、葉山町長の面会の求めに蒲谷前市長が応じることができず、副市長が会った。それをもって葉山町長は取るべき手続きを踏んだ上で脱退をしたと主張し、横須賀市は手続きを踏んでいないと主張してきたという過去の経緯がある(平成22年第4回定例会・民生常任委員会での環境部長による答弁を参照)。
こうした過去の経緯を考えれば、吉田市長の今回の対応は、前市長と同じ轍を踏んでいる。
しっかりと葉山町長に会って、対話の記録を残し、相手の良いようにこちらの言質をとらせない、という対応こそ必要だった。
つまり、市長はあえて葉山町長に会うべきだったのではないか。
3.有権者の負託という選挙結果に基づく政治情勢の変化を、司法が判断することの限界について、自らもマニフェストを掲げて当選を果たした吉田市長はどのように考えているか。
第二審の判決文13ページ6行目から9行目には「地方公共団体の施策決定の基盤を成す政治情勢の変化をもってただちに前記のやむを得ない客観的事情にあたるものと解すべきではない」と記されている。
しかし、そもそも選挙とは、有権者の負託を受けた新しい首長が自らの掲げた選挙公約やマニフェストに基づいて、それまで継続されてきた政策を転換する可能性があることが当然の前提である。継続されてきた政策を転換することで利害が生じるにも関わらず、選挙によって有権者の付託を受けた首長の決断には民意の裏付けという正当性が付与される。
そうした選挙によるダイナミックな政策転換こそ民主主義の根本的原則だが、それを司法が「やむを得ない客観的事情にあたるものと解すべきではない」と判断してしまうことは、司法の越権ではないか。また、選挙による有権者の選挙公約・マニフェストへの負託が軽んじられたと司法判断と言えるのではないか。
自らもマニフェストを掲げて当選を果たした吉田市長は、第二審判決文の当該部分について、どのように考えているのか。
4.訴訟を続けることは、三浦半島全体に不利益をもたらすのではないか。
葉山町・横須賀市・三浦市を含めた三浦半島一帯は、歴史的文化的なつながりだけでなく、経済的にも密接な関係にある。
さらに保健医療福祉においては、三浦半島一帯は1つの「2次医療圏」であり、1つの「障害保健福祉圏域」であり、1つの「高齢者保健福祉圏域」である。さらに「横須賀三浦圏域障害者自立支援協議会」「4市1町介護保険情報連絡会」、「三浦半島地区メディカルコントロール協議会」などの組織も協同で設置している。
1つの自治体では対応することが不可能な保健医療福祉サービスをこうした圏域で協力して対応しなければ、地域住民のいのちと暮らしは守れない。
にも関わらず、すでに四年間にわたって、となりまちと訴訟を続けていることは明らかに異常事態である。
(1)このような自治体間の訴訟は住民の想いとかけ離れており、上告していたずらに訴訟を続けることは、保健医療福祉をはじめとする三浦半島圏域で一体となって行なわねばならない取り組みにも悪影響を与えるのではないか。こうした懸念に対して市長はどのように答えるのか。
5.この訴訟は具体的に横須賀市民にどんな利益をもたらすのか。
上告をして訴訟を続けた末に、横須賀市民にどんな利益がもたらされるのか、全く見えない。街角でも、井戸端でも、市民は本訴訟を話題にもしないし、訴訟の内容を説明しても誰も上告など望んでいないのが現実の市民の姿である。
税金を投じてまで本訴訟を継続する必要性を市民のみなさまに対して、市長はどう説明するのか。
(1)上告しなかった場合、本市が受けられる賠償金額はいくらか。また、上告しなかった場合のこれまでの訴訟に関わる総費用はいくらか。
(2)上告して敗訴した場合、本市が受けられる賠償金額はいくらか。また、上告して敗訴した場合の訴訟に関わる総費用はいくらになる見込みか。
(3)吉田市長は、この訴訟を続けることが横須賀市民にどのような利益をもたらすと考えているのか。
(4)吉田市長は、上告しても敗訴した場合、横須賀市民に不利益を与えることになるとは考えていないのか。
以上です。
フジノは、そもそもこの訴訟自体が間違いだ、という考えです。
訴訟を行なう議案にも反対し、控訴する議案にも反対しました。もちろん今回の上告を求める議案にも反対します。
そして、訴訟そのものについてだけでなく、となりまちとの関係を改善しようという努力をしなかった吉田市長の姿勢に対して、強い憤りを感じます。
4年間にわたって訴訟が続いた異常事態を解決しようという努力が全くありませんでした。
政治・行政が自ら汗をかく努力を放棄して、司法にその判断を委ねることは、政治・行政の敗北です。
そもそも司法が解決してくれるならば、市長なんて存在する価値はありません。