新たな研究会スタート
今夜は、新横浜駅から徒歩10分の横浜市総合保健医療センターに向かいました。
新しく立ち上がる『かながわ精神科訪問看護&アウトリーチ研究会』に参加する為です。
夜の新横浜はとても寒く、道路の所々にまだ雪が残っていました。
『かながわ精神科訪問看護&アウトリーチ研究会』の代表・顧問は次のお2人です。
- 代表:松井洋子さん(さいとうクリニック・精神科認定看護師)
- 顧問:相澤和美さん(東京・地域精神ケアねっと)
実は、フジノはたまたま御二方ともご縁がありました。
相澤さんとフジノは『リカバリー全国フォーラム』の企画・実行委員会メンバー仲間で、2009年からご一緒させて頂いています。
相澤さんは精神科訪問看護のリーダー的存在で、とても分かりやすい入門書も書いて下さってます。ぜひご覧下さいね。
『これで大丈夫!精神科訪問看護はじめてBOOK』(相澤和美編、精神看護出版、2010年)
松井さんは、『リカバリー全国フォーラム2012』の分科会2『みんなで丸くなって話そう、リカバリー~医療の場でリカバリーを育てるには~』に、相澤さんとともに出演して下さいました。
さて、研究会の呼びかけ文です。
このたび、神奈川県周辺の精神保健医療福祉に関わる多職種および当事者が連携し、暮らしやすい街づくりのネットワーク、システムの実現をめざし、共に知り合い、学び合う機会を作りたいと考えました。情報交換や実践能力向上の機会とする為に、「かながわ精神科訪問看護&アウトリーチ研究会」を発足することになりました。人と人とをつなぐネットワークづくりは、お互いを思いやり、可能性を信じ、成長しあえることが大切で、なによりもその人の人柄や、深い人間性によるものが大きいと確信しています。
本研究会の活動理念は「誰もが無理せず、できることから・・・」仲間と共に支え合って、活動をすすめてゆきたいと考えています。精神保健医療福祉に関わる方、精神科訪問看護、アウトリーチに関心のある方など、どなたでも参加できます。
どうぞお気軽にご参加下さい。皆さまのご参加をお待ちしております。
この呼びかけに応えて、約30名が集いました。
あらゆる職種が参加
参加した方々の職種は様々で、看護師、精神保健福祉士、作業療法士、ケースワーカー、臨床心理士など。
ただ、政治家で参加したのは(いつもながら)フジノだけでした。
専門職のみなさんに囲まれて(いつもながら)アウェー感、たっぷりでした。
いろいろな機会に「多職種の連携が必要だ」と叫ばれるのに、そこには政治家がいつも存在していません。
これでは絶対にダメです。
政治家こそもっと現場の声をじかに聴きに行って、どんどん意見を交わさないといけないはずです。
次に、参加者の方々の勤務先はというと...。
- 神奈川県立精神医療センター芹香病院
- 北里大学医療衛生学部作業療法学専攻
- 横浜市立みなと赤十字病院
- 横浜市総合保健医療センター訪問看護ステーションみんなのつばさ
- 東横恵愛病院
- 在宅療養支援ステーションかえでの風
- 訪問看護ステーションACT-J
- 北里大学東病院
- 訪問看護ステーションKAZOC
- 横浜市立みなと赤十字病院
- 横浜市南区福祉保健センター
- 横浜市神奈川区生活支援センター
- うしおだ診療所
- 横浜市港北区生活支援センター
- 横浜舞同病院
- 久里浜医療センター
- 横浜市こころの健康相談センター
- 曽我病院
- すペーすあい
その他にもいらっしゃるのですが、フジノがメモを取りきれませんでした。
横須賀からは、フジノの他にお一人いらしてました。良かった!
実は、カフェトーク参加経験者が4人も居ました。つまり7人に1人の割合です!会場でお互いに初めて参加を知って、嬉しかったです。
ぜひ次回は、横須賀・三浦、県西部、県の全域からもっと参加して頂きたいです。ご関心のある方はぜひいらして下さいね。
今夜は第1回ということもあって、参加者全員の自己紹介(これまでの取り組み、今後取り組んでいきたいこと)を行なっただけで予定の時間を過ぎてしまいました。
次回のテーマ(横浜市独自の取り組みである『障がい者自立生活アシスタント』についてのミニレクチャーと、ディスカッション)を決めて、解散となりました。
今後の活動が楽しみです。
精神科訪問看護とは
せっかくの機会なので、『精神科訪問看護』についてご紹介しますね。
『訪問看護』という言葉の響きから「看護師さんが自宅/地域を訪れて医療的に診てくれる」というイメージが浮かぶと思います。
実は、訪問できるのは看護師だけではありません。
- 看護師
- 保健師
- 准看護師
- 精神保健福祉士(PSW)
- 作業療法士
多職種による『チーム』のイメージが近いかもしれません。
また、症状やクスリのことなどのいわゆる医療面の専門的な相談・支援を行なうだけではありません。その他にもいろいろな支援を行なってくれます。
訪問看護師の方々に実際に『提供しているケア』を調査した結果が下の図です。
このグラフから多い順に挙げていくと
- 力づける援助
- からだのケア
- 人づきあいに関するケア
- こころのケア
- 日常生活に関するケア
- 社会資源の利用に関するケア
「からだのケア」は2位ですが、それ以外のサポートの方が圧倒的に多いんです。
1位「力づける援助」、3位「人づきあいに関するケア」、5位「日常生活に関するケア」、6位「社会資源の利用に関するケア」といったことは、つまるところ、自宅や家庭や地域において、安心して日常生活を送ることができるようなサポートをしていくということですね。
さらに「家族への支援」も行なってくれるのも大きな特徴です。
こうしてみると、『精神科訪問看護』という言葉が与えるイメージと、実際の支援の内容はだいぶ違いますよね。
『精神科訪問看護』は、もっと身近なサポートをしてくれるものです。
もっと正確な姿が広くきちんと伝わったら、利用してくれる人も増えるのではないかなぁとフジノは感じています。
増加するステーション
もともと訪問看護は高齢の方々を対象にスタートしました。介護保険制度の導入と共に増えていって、今では『訪問看護ステーション』が全国に5,922ヶ所あります。
このうち『精神科訪問介護』を実施しているのは、59.6%です(2011年11月現在)。
以前に比べたら、自宅・地域で訪問看護を受けられる機会はかなり増えてきたと言えます。
医療そのものが病院中心から地域中心へ移行しつつある中で、精神科医療も地域中心に少しずつ移りつつあります。
横須賀市の状況
横須賀・三浦には『訪問看護ステーション』が合計19ヶ所あります。
このうち、『精神科訪問看護』をしているのは下の8ヶ所です。
- よこすか訪問看護ステーション(三春町)
- 湘南訪問看護ステーション(追浜町)
- 衣病訪問看護ステーション(小矢部)
- 衣病訪問看護ステーション長瀬(長瀬)
- 聖ヨゼフ訪問看護ステーション(緑が丘)
- せいれい訪問看護ステーション横須賀(長坂)
- 福井記念病院 外来訪問看護室(三浦市初声町)
- かしこ(長沢)
ステーションの数が増えて、利用して下さる方がもっと増えていくと良いなあとフジノは考えています。
今後の行方
フジノがここ数年追いかけ続けている『医療計画』においても、『訪問看護』は大切なポジションを占めています。
2013年4月からスタートする『医療計画』から、新たに『精神疾患』が計画に組み込まれます。
医療体制の構築の為には『現状を把握する為の指標』を調査しなければならないのですが、『精神疾患』の指標として『精神科訪問看護』も入りました。
指標 | 治療・回復・社会復帰 | |
ストラクチャー | 精神科訪問看護を提供する病院・診療所数 | 必須 |
プロセス | 精神科訪問看護の利用者数 | 任意 |
(2012年10月9日厚生労働省通知『精神疾患の医療体制の構築に係る指針の改正について』より)
「提供する側」と「利用する側」の数が指標として入れ込まれて、5年ごとに現状がチェックされていくことになります。
新しい精神保健医療福祉へ
下の図をご覧下さい。
研究結果からも、『精神科訪問看護』を利用した方が入院日数が減ることが明らかになっています。
誰もが地域でふつうに暮らしていかれる為に、『訪問看護』の存在はとても重要です。
こうした取り組みをさらに広げる為に、フジノも政治家として努力していきます。
どうか現場のみなさまも、一緒に広げていきましょうね。
そして市民のみなさまも一緒に、こうした活動を応援して下さいね!