4月1日から子宮頸がん予防ワクチンを「定期接種」として実施します
ついに予防接種法が改正されました。
新たに「子宮頸がん」「インフルエンザ菌b型(ヒブ)」「小児用肺炎球菌」のワクチンが『定期接種』に追加されました。
これまでは1年ごとの『特別な対応』として実施してきた子宮頸がんワクチンの接種が、予防接種法に基づく『恒久的な制度』となりました。
4月1日から横須賀市でも『定期接種』として3ワクチンの接種を実施します。
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フジノは「子宮頸がんの予防ワクチンを『定期接種』に加えるべきだ」と訴えてきました。
子宮頸がんの制圧を目指して活動をスタートしてから、もう5年が経ちます。
当時、日本ではまだ予防ワクチンが承認さえされていませんでした。
だから、まずはどうか1人でも多くの方に検診を受けてほしい、という受診勧奨の活動を続けてきました。
同時に、予防ワクチンが日本でも承認されるように活動に取り組んできました。
子宮頸がんに苦しむたくさんの人々の願いによって、ようやく今回の定期接種化が実現しました。
フジノにとっては、まさに長い活動の末の、政策の実現です。
子宮頸がんワクチンの副反応についての報道
けれども、手放しで喜ぶ気持ちは全くありません。
ここ1ヶ月間、杉並区で中学生に副反応が出たことをはじめ、被害者の会が設立されたことなどの多くの報道とともに、市民の方々からの不安の声が聴こえているからです。
子宮頸がんワクチン 中学生が重い副反応
杉並区、補償へ
子宮頸がんワクチン「サーバリックス」を接種した東京都杉並区の女子中学生(14)が、歩行障害などの重い症状が出て、1年3カ月にわたり通学できない状況だったことが、7日の区議会で明らかになった。
無料接種を行った区は「接種の副反応」と認め、補償する方針だ。補償額は未定。サーバリックスは3回の接種が必要。
母親によると、女子中学生は12歳だった2011年10月に区内の医療機関で2回目の接種をした。
その直後、接種した左腕がしびれ、腫れて痛む症状が出た。症状は脚や背中にも広がり入院。今年1月には通学できる状態になったが、割り算ができないなどの症状が残っているという。
厚生労働省によると、昨年8月末の時点で、全国で接種した延べ663万5千人のうち956人に副反応が起きているという。
失神が多いが「四肢の運動能力低下」「歩行不能」などで未回復の例もあり、副反応の発生率はインフルエンザワクチンの10倍程度という。
杉並区は10年7月、子宮頸がんワクチンの接種を全額無料化。
現在は全国1700以上の自治体で、国の補助を受けた接種事業が行われている。
国は定期接種を進める閣議決定をしている。
(斎藤智子)
その後、新聞・テレビを問わず、多数の報道がなされました。
2週間後には、『全国子宮頸がんワクチン被害者連絡会』が立ち上げられたことが報じられました。
2013年3月26日・毎日新聞より
この会の会長には、先述の杉並区の中学生の保護者の方が就任したそうです。
同じ日の毎日新聞では、このような記事も掲載されていました。
なるほドリ 子宮頸がんワクチン、重い副反応が出るの?
◇予防接種との関係は不明 国に被害者救済拡充と説明責任
なるほドリ:子宮頸(けい)がんのワクチンを予防接種した中学生や高校生に、重い副反応(ふくはんのう)が出たというニュースを聞いたよ。お母さんたちが被害者連絡会をつくったそうだけど、何だか心配だなあ。
記者:気持ちはよく分かるけれど、まずは事実を冷静に見ることが大事です。
Q:どういうこと?
A:中学生たちに出た副反応は、複合性局所疼痛症候群(ふくごうせいきょくしょとうつうしょうこうぐん)といいます。手足や肩などに痛みが生じ、歩けなくなるのが特徴です。
Q:ふーん。
A:こうした副反応が出たら、医療機関や製薬会社は国に事実を報告します。これを「有害事象報告(ゆうがいじしょうほうこく)」と呼びますが、すべてが薬との因果関係があるとは限りません。偶発的に生じた症状も含まれます。
Q:どれくらい報告があるの?
A:日本で現在受けられる子宮頸がんのワクチンは「サーバリックス」「ガーダシル」の2種類です。サーバリックスは09年12月の発売から昨年末まで約684万回接種され、88例(0.0013%)の重い副反応が、ガーダシルは11年8月の発売から約145万回接種され、13例(0.0009%)の重い副反応が報告されました。この中には因果関係が分からないものも含まれています。
Q:歩けなくなったこととワクチン接種は因果関係があるの?
A:分かっていません。厚生労働省安全対策課によると、この症候群はインフルエンザのワクチン接種の後や、献血、ペースメーカーの施術などでも起きています。発生率は100万〜150万人に1人くらいだそうです。自治医科大学付属さいたま医療センターの今野良教授のように「ワクチン成分との因果関係はない」と強く主張する声も多く、解明は難しいのが実情です。
Q:他の国では?
A:英国や米国など他の先進国でも、同じくらいの副反応報告があります。ただ、どの国も接種を中止してはいません。
Q:そうは言っても、被害者の救済は必要じゃない?
A:国による救済制度はありますが、因果関係がはっきりしないと、申請しても認められない例が多いようです。
Q:子宮頸がんワクチンの予防接種は、国の定期接種になるんだよね。大丈夫?
A:今国会で関連法が成立し、定期接種になって無料で接種を受けられるようになります。被害者を救済する仕組みをどう拡充するかが今後の課題。国は被害者の症状をよく調べ、国民に詳しく説明する必要があります。被害者の中にはワクチンの効果を疑問視する声もあるので、こうした疑問にもしっかり答えることが必要です。
(生活報道部)
賛否それぞれの立場から、こうした多くの報道が今もなされています。
ワクチンと副反応に対するフジノの考え
そもそも、あらゆるワクチンには副反応が存在する、とフジノは考えています。
例えば、厚生労働省のHPには予防接種健康被害救済制度の認定者数を報告する統計が掲載されています。
『確率論的』な意味で、『デメリット』(=副反応)を圧倒的に上回る『メリット』(=予防)があるからこそ、ワクチンは存在しています。
けれども、人間の人生は確率論ではありません。
わずか0.0009%の確率であろうと、実際に重い副反応が出てしまった方の人生は、大きなダメージを受けてしまいます。
たとえ何十万人にとっては『メリット』であるとしても、一方で、ある1人にとっては深刻な『デメリット』であることに変わりはありません。
そして、日本では多くの方々のこころにワクチンに対する嫌悪感が強くある理由は
『ワクチン被害』として知られる、国を相手に裁判を起こして長い年月をかけてようやく救済されるといった悲劇が繰り返されてきたからです。
フジノは、子宮頸がん制圧を目指して取り組んできた政治家として、1つずつ事実関係を調べながら、可能な限り多くの情報をきちんとお伝えしていくことが必要だと考えています。
ワクチンを推進してきた立場であればこそ、被害を受けた方々の声には誰よりもしっかりと耳を傾けて、被害の救済が迅速に行なわるように全力を尽くさねばならないと考えています。
このテーマについては「その2」へ続きます。