「子宮頸がんワクチンの定期接種化と副反応」について過去の記事はこちらです
「子宮頸がんワクチンに関するQ&A」を厚生労働省が発表しました
本日4月18日付けで、厚生労働省が『子宮頸がん予防ワクチンに関するQ&A』をホームページに掲載しました。
子宮頸がん予防ワクチンについて、現段階での『国の公式見解』にあたるものです。
ひとりでも多くの方々に読んでいただきたいと思いますので、その全文をこちらにも転載します。
子宮頸がん予防ワクチンに関するQ&A
厚生労働省健康局結核感染症課作成
Q1.
子宮頸がんにかかる人や死亡する人はどれくらいいるのでしょうか。
A1.
子宮頸がんの罹患数は9,747人(上皮内がんを含めると20,735人)(2008年)、
死亡数は2,737人(2011年)で、これらの数字は軽視できない数字です。
特に40歳未満の女性に限ると、罹患率は乳房に次いで2番目(上皮内がんを含めると1番目)、死亡率も乳房に次いで2番目に高いがんで、
若年層のがんとしてはその予防策は必要と考えられます。
Q2.
ワクチンは子宮頸がんの予防にどのような効果があるのでしょうか。
A2.
現時点では導入から間もないことから、子宮頸がんが減少するという効果の検証は困難ですが、
①子宮頸がんの原因であるヒトパピローマウイルスの持続感染を予防する効果
②がんに移行する前段階の病変の発生予防効果
は確認されています。
子宮頸がんの大部分を占める『扁平上皮がん』と呼ばれるがんについては、持続感染やがんに移行する前段階の病変を必ず経てがんになるものと考えられる為、
持続感染やがんに移行する前段階の病変を予防できれば、がんも予防できると考えられており、世界保険機関(WHO)においてもそのような評価の結果、このワクチンの接種を推奨しています。
Q3.
有効性はどの程度持続するのでしょうか。
A3.
新しいワクチンであることから、現在、確認されている予防効果の期間は最長9年程度ですが、
これまで有効期間は随時更新されており、今後も引き続き有効性の調査がされていく予定です。
① サーバリックス(グラクソ・スミスクライン) ※最長9.4年間の持続
② ガーダシル(MSD) ※最長8.4年間の持続
Q4.
ワクチンは子宮頸がんの原因ウイルスすべてに有効なのでしょうか。
A4.
ヒトパピローマウイルスのうち、子宮頸がん予防ワクチンが有効なウイルス型(16型、18型)は、日本の子宮頸がん患者の50~70%程度が保有していると報告されています。
Q5.
安全性は確立されているのですか。
A5.
ワクチンは生体にとっては異物であり、接種による副反応は避けられません。
この為、副反応報告について定期的に専門家に評価していただき、接種の判断材料となるよう、情報公開し、必要な安全対策を検討しています。
子宮頸がん予防ワクチンの副反応としては、注射部位の疼痛、発赤等のほか、
全身性の症状として、疲労、筋痛、頭痛、胃腸症状(嘔吐、下痢等)、関節痛、発疹、発熱等が報告されており、まれに、ショック、アナフィラキシー様症状等があります。
また、痛み、恐怖、興奮などに引き続く『血管迷走神経反射』と考えられる失神の報告もあります。
現在報告されている副反応は他のワクチンよりも報告頻度が高い傾向のものもありますが、その多くは『血管迷走神経反射』によると思われる一過性の失神によるものです。
定期的に開催されている専門家による会議では、これまでの発生状況を踏まえ、接種の中止等の措置は必要ないとの評価を受けています。
Q6.
子宮頸がん予防ワクチンを接種すると、不妊になるとの噂を聞きますがどうなのでしょうか。
A6.
現在までに専門家による審査がある学術誌等で、子宮頸がん予防ワクチンと不妊との関連を疑う報告は確認されていません。
Q7.
世界保健機関(WHO)の見解はどうなっているでしょうか。
A7.
2009年にWHOはヒトパピローマウイルスワクチンについて評価を行い、方針説明書(position paper)を公表しており、
発展途上国を含めた世界全体においてこのワクチンを使用するよう推奨し、国のワクチン接種プログラムに導入することの重要性が強調されています。
Q8.
各国での導入状況はどうなっているのでしょうか。
A8.
米、英、ドイツ、フランス、イタリア、カナダ等の先進各国において既に公的接種として導入されています。
(引用はここまで)
厚生労働省としては簡潔な文章を目指したのだと思いますが、もっと長くても良いから分かりやすい説明をした方がいいのに、とフジノは感じました。
フジノが繰り返し記してきた「ワクチンに限らず、全ての医薬品には副反応が起こりうるものです」という基本的な考え方が、厚生労働省のQ&Aにもしっかりと明記されたことは安心しました。
A5.
ワクチンは生体にとっては異物であり、接種による副反応は避けられません。この為、副反応報告について定期的に専門家に評価していただき、接種の判断材料となるよう、情報公開し、必要な安全対策を検討しています。
ワクチンに限らず、医薬品は、確率論的には『デメリット(副反応)』を圧倒的に超える『メリット(治療や予防などの効果)』があるからこそ、活用されています。
一方、確率論的にはどれほど低くとも「そもそも健康被害は起こりうる」のが前提です。
そこで、このブログでも紹介してきたとおりセーフティネットも作られています。
改正予防接種法によって、4月1日からはセーフティネットがより強化されました。
今後は、各医療機関・地方自治体の関係部局・厚生労働省がちゃんとそのセーフティネットを活かす運用を行なっていくことが重要な課題です。
健康被害が起こった時は、迅速に対応し、救済がきちんと行なわれるようにしなくてはいけません。
フジノとしては、この点を今後も引き続き注視していきます。