長井海の手公園あり方検討委員会へ
前回(5月20日)に続いて、『長井海の手公園あり方検討委員会』を傍聴しました。
ハコモノ3兄弟の三男坊、長井海の手公園。
現在の指定管理者であるファームとの契約が切れた後、2015年度からどのような体制で『長井海の手公園』を運営していくのか。
これがこの『検討会』のテーマです。
現地視察(1回)+会議(3回)の計4回にわたって開催されるのですが、今日はその3回目です。
事務局からの配布資料をもとに、検討会メンバーによる意見が出されました。
その資料を全てここに掲載します。
配布された資料の全文
【資料1】
長井海の手公園の運営見直しに係る基本方針
1.運営見直しの前提
(1)長井海の手公園のこれまでの運営の中で培ってきた良いものを伸ばし、さらに利用者ニーズにこたえるものを追加し、「子どもたちが、わくわくドキドキしながら元気いっぱいに遊ぶことができる」施設とする。
(2)運営手法についても検討し、費用対効果の一層の向上を目指す。
2. コンセプト
(1)三浦半島に位置する横須賀の西海岸の魅力である「みどり・海・夕日・富士山・食」を積極的に提供し、来園者に三浦半島を感じてもらう。
(2)今の良さを残しつつ、「横須賀ならでは」を加え、市外の人には「いつもと違う体験」を、市内の人には気軽な利用を提供する。
(3)日帰り利用型の集客施設から宿泊利用が可能な集客施設へ。
3. 公園の運営目標
(1)現状
年間来園者 50万人
園内消費額 1,000円(1人あたり)
(2)設定目標
年間来園者 60万人
園内消費額 1,500円(1人あたり)
4.各施設の運営方針
5.新たに展開する事業
(1)公圏内でのキャンプ体験
・ファミリ一層を対象
・滞在型利用により三浦半島をまるごと体験
(2)地産地消のレストラン
・地場産の食材や圏内の農園で生産された食材を積極的に提供
6. 拡充する事業
(1)平日来園者向けイベントの実施
・未就学児が楽しめるイベント
・大人も楽しめる音楽イベント
(2) 地域の活動につながるイベントの実施
・中学生や高校生による吹奏楽の演奏会
・小学生や中学生による発表会
・地域住民による発表会
7. 集客力向上に向けた施設のリニューアル
(1)日よけや風よけの設置
・日よけ等が少ない園内にパーゴラの設置や植樹を実施
・キッズガーデンやじゃぶじゃぶ池周辺にパーゴラを増設
(2)老朽化した施設(遊具、外周柵)の交換
・利用者の安全確保の為、老朽化した施設の交換は市が行なう。
・遊具交換時には人気のある新たな遊具を設置する。
(3)大型遊具の新設
・ファミリ一層の集客力向上
(4)キャンプ場の整備
・ウッドデッキ型キャンプサイトを25基〜30基程度整備する。
・各サイトにバーベキュー施設を整備する。
・利用料は宿泊8,000円、日帰り3,000円程度を想定。
8.入園料と駐車場利用料
(1)入園料は無料
・入園料を徴収するためには外周柵を容易に乗り越えられない高さにする必要がある。現在は高さ1.2m。
・散策などに訪れる人を考えると無料が妥当。
(2)駐車場料金
・上限額を市が設定する。
・立寄り型利用を促進するため入庫から2時間は無料とする。
(3)有料遊具等の利用料に共通一日パスの設定を検討
9.防災計画
(1)帰宅困難者の対応策
・繁忙期には1日に約1万5,000人が来園
・食料等の確保
・トイレ、休息施設の確保
・通信手段の確保
(2)地域住民の一時避難地としての役割
・事業者と地域、市による協定の締結
【資料2】
長井海の手公園の管理運営について
1.管理運営手法検討の考え方
(1)管理運営手法の検討方針
・公設民営により民間の力を極力活用できる方策を検討
・指定管理者制度と業務委託の併用も視野に入れる
(2)エリアごとの収益性
・収益性のあるエリア
レストラン、温浴施設、体験教室、おもしろ自転車、ゴーカート等
・収益性のないエリア
ホタル館、ビオトーフ、じゃぶじゃぶ池、多目的広場等
(3)一括管理と分割管理
・一括管理
一体感のある運営
収益性のあるエリアの収益により公園エリアの維持管理経費を削減
・分割管理
エリアごとの競争と協調
収益性のある集客エリアは独立採算制
公園エリアは業務委託や指定管理者制度
2.管理運営の考え方
(1)現状
・収入
指定管理料 4億円
園内売上げ 5億円
合計 9億円
・支出
管理運営費 7億円
その他経費 2億円
合計 9億円
・収支のバランスがとれており、来園者数も目標の50万人に達しているので、PFI事業として成立している。
(2)次期管理運営の考え方
・市としては次期運営では市の負担を極力少なくしたい。
・運営の見直しに係る基本方針で示した設定目標が達成されれば、計算上の指定管理料はO円になる。
60万人×1,500円=9億円
3. 管理運営手法の比較
(1)指定管理者制度
・施設の管理権限を包括的に委任する。
・市は施設設置者として業務について指示を行う。
・指定管理期間は市が設定する。
・施設の整備、大規模修繕は市が行う。
(2)PFI事業方式
・運営権設定による独立採算型施設の運営。
・運営権者となった事業者の自主性と創意工夫が尊重されるので従来に比べ運営における事業者の自由度が向上。
・運営権は抵当権設定や譲渡が可能。
(事業者は運営権の譲渡による資金回収が可能)
・事業者が初期投資を無理なく回収するために長期契約になる。
・市による初期投資がなく、施設整備は事業者が行う。
(3)指定管理者制度とPFI事業方式の違い
・競争性の確保
指定管理では運営権を設定する PFI方式に比べ事業者の初期投資が 少ないため参入しやすく、 応募事業者数が多くなるので競争性が確保される。
・事業者にとってのリスク
事業者にとってのリスクは運営権の対価 の支払い等の初期投資が多いPFI方式の方が高い。
・事業者の資金回収
どちらの方法も初期投資等の資金は管理運営期間内に回収するが、PFI方式では運営権の譲渡により事業者は資金の回収が可能となる。
・運営の自由度
PFI方式では運営権者である事業者の自主性と創意工夫が尊重されるので事業者主導の運営になる。
・施設整備
市が施設整備や大規模修繕等を行う場合は複数年度に分けて整備する場合があるが、PFI方式では事業者が資金を調達して整備するので短期間で整備が可能。
(資料の掲載は以上です)
絶対に税金の持ち出しを「半額以下」を実現すべき
6月議会での市長への質疑において、フジノはこう尋ねました。
「今まで見直すこともなく毎年4億円も支払ってきた指定管理料を、次の契約からはいくら減らせるのか?」
これに対して吉田市長は、
「必ず半分に減らしてみせる」
と答えました。
4億円の半分、つまり、2億円は指定管理料をカットする、という意味です。
フジノは、この市長の言葉を信じたい。
もしも、それが実現できるならば、中学校での給食導入を実現する為の『財源』に回したいからです。
『長井海の手公園』を運営する為に毎年4億円も税金を使うよりも、『中学校給食の導入』の方がフジノにとって政策の優先順位は上です。
1期目、吉田市長は全くハコモノ改革をやらなかった。
2期目、吉田市長は絶対に有言実行してほしい。
そして、こどもたちの健康と暮らしを守る為の『財源』を生み出してほしい。
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しかし、実際のところは配布資料を読んで、フジノには疑問ばかりが残りました。
何よりも、こうした文章に強い疑問を感じました。
現在の入園者数50万人(1人あたり消費額1,000円)が60万人(1人あたり消費額1,500)になれば、計算上の指定管理料は0円になる。
現在の指定管理者であるファームには毎年4億円も支払ってきた税金が、理屈上はゼロにできる、という意味です。
フジノはこれを読んで「おいおい、本気かよ」と感じました。
まず最初に感じた怒りは
「そんなに突然に集客力がアップできるのならば、今まで何故やらなかったのか」
というものでした。
そして次に感じた怒りは
「そんなに突然に来場者の消費金額がアップする訳ないだろう!」
というものでした。
介護保険料の値上げ、国民健康保険料の値上げ、下水道使用料の値上げ、消費税の値上げ、とこれからも値上げは続いていきます。
それとも、アベノミクスでみなさん突然に大金持ちになったのでしょうか?
東日本大震災の後、どうしたらこんなに楽観的な経営感覚を持てるのか...フジノには全く理解できませんでした。
一方で、市長に対して
「やれるものなら今すぐやってほしい」
と怒りを通り越した気持ちも感じました。
事務局の配布資料のように『長井海の手公園』がそんなにも優良なコンテンツならば、ぜひ『毎年4億円の税金の持ち出し』を『ゼロ』にして頂きたい。
ゼロがムリでも、吉田市長には6月議会で答弁したように、とにかく指定管理料を半分以下に絶対に減らして頂きたい。
そして、1期目の4年間ずっと垂れ流してきた税金のムダを、2期目の4年間こそ、こどもたちの為の『財源』に充てて頂きたい。
ぜひ市民のみなさま、注目し続けて下さい。