市長が全会派へ説明まわり
再選された吉田雄人市長は、こじれきっている市議会との関係を2期目は修復していかねばならないとの反省があるようです。
そこで9月議会を前に、全ての会派を順番に回って今後の取り組みの説明をしてきました。
人数の多い大会派から順番に回っていたようで、角井議員のブログでまずその取り組みをフジノは知りました。
8月29日の角井基議員のブログから一部引用させていただきます。
今日は、吉田市長から直々に『第2次実施計画』について説明をしたいというので、午前中1時間それに費やしました。
こうした形での説明は初めてのことで、吉田市長が議会対応を変えていきたいという気持ちの表れと受けとめてそれに応じました。
まず、今年度の『事務事業の総点検』を実施するにあたっての概要、そして、『第2次実施計画』を策定するにあたっての基本的な考え方について説明がありました。
(以下略)
この『会派まわり』もようやく終わったようです。
今日9月4日になって、会派には所属していないフジノたち3名への説明が行なわれました。
計画行政を否定する「事務事業の総点検」ならば、実施そのものに反対
まず、『事務事業などの総点検』についての説明がありました。
4年後(2017年)には、34億4000万円の財源不足が生じるとの説明がありました。
*ここには『国民健康保険』『介護保険』『上下水道』などの特別会計・企業会計は一切含まれていません。
この財源不足に対応する為に、横須賀市がこれまで行なってきた全ての事務事業を予算の細々目単位まで見直す『事務事業の総点検』を下のスケジュールで行なう、と説明がありました。
- 7月19日 取り組み方針の決定
- 7月23日 各部局に対する周知(部長会議)
- 12月下旬 各部局から提出された見直し計画書に対する部局ヒアリング・査定を予算編成と並行して実施
- 9月上旬 第3固定例会(取り組み経過報告点検の実施状況)
- 12月上旬 第4固定例会(取り組み経過報告見直し計画の内容)
- 2月上旬 第1固定例会(見直しの最終報告予算への反映状況)
もともと『事務事業の総点検』は歴代市長のもとでも毎年行なわれてきたことです。当然、この取り組みは吉田市長のもとでもやるべきことです。
しかし、フジノがとても問題だと感じることもありました。
『見直しの基本方針』として、このような記述がありました。
見直しの基本方針
実施計画、分野別計画など既定の方針・計画に基づく事務事業であっても、事業実績や事業効果を踏まえ、事業内容や実施方法の見直しを検討する。
行政はあらかじめ3年などの期間を定めて、実行すべき取り組みの目標値などを定めて『計画』を策定しています。『計画』に基いて事業を実施して、目標が達成されたか検証を行なっていくのです。
障がい福祉、介護保険、健康増進、地域医療などの社会保障をはじめ、あらゆる『計画』が定められており、毎年の予算もそれらの『計画』に基いて立てられているのです。
それを、吉田市長の今回の『事務事業の総点検』では基本方針として、既に定められた方針や計画に基づく事務事業であっても見直しを検討するというのです。
これでは計画を立てる意味が全く無くなってしまいます。
フジノは、この『事務事業の総点検』の基本方針には反対です。
行政計画は、市長がひとりで作るのではありません。
ほとんどの計画は、有識者を集めて約1年間も審議されて素案が作られます。市民のみなさまにパブリックコメントをお願いしています。そして、市議会でも何時間も審議をします。こうして行政の計画が完成するのです。
それを『事務事業の総点検』で一方的に『廃止』『削減』などが行えるのであれば、もはや行政計画の存在意義はありません。
計画行政そのものを否定するような『事務事業の総点検』となるのであれば、フジノは実施そのものに反対します。
第2期実施計画について
続いて、『第2期実施計画』の策定について説明がありました。
今後の策定スケジュールは下の通りです。
- 7月19日 取り組み方針の決定
- 7月23日 各部局に対する周知(部長会議)
- 12月下旬 各部局からの提出された計画書に対する各部局へのヒアリング・査定を予算編成と並行して実施
- 9月上旬 第3回定例会 第2次実施計画の策定について報告〉
- 2月中旬 実施計画(案)報告(予算説明会)
『第2期実施計画』での主な施策案の説明もありました。
吉田市長が「施策案の頭出し」として説明したのが以下の4本柱です。
1 子育て・教育環境の充実
(1)小児医療費助成の拡大
子育て世代の応援策として小児医療費助成を拡大します。
(2)保育園の環境改善
老朽化に伴う建て替えや保育環境の改善を図ります。
・老朽化した公立保育園の建て替え
・民間住宅供給にあわせた定数増
・幼児教育の充実をふまえた認定子ども園の整備
(3)学童保育の環境改善
小学校や他の公共施設に学童クラブを移設するとともに、保育料の軽減に努めます。
(4)小中学生の学力向上
「横須賀子ども学力向上フロジ、エクト」を積極的に進めて、本市の未来を支える人材を育てます。
・学力向上放課後教室の更なる充実など
(5)スクールランチの拡充
現行のスクールランチを拡大し、中学校給食のニーズに応えます。
(6)公園施設の見直し
本市は特色ある公園施設がたくさんありますが、「ソレイユの丘」や「くりはま花の国」などを、より一層、親子連れで楽しめるような公園にしていきます。
(7)子育て世代の定住促進
・「すかりぶ」の更なる充実
・子育て・教育環境施策の充実を図り、情報発信を強化
2 地域経済の活性化
(1)横須賀中央地区の再生
本市の消費の中心である中央地区の再生が本市経済の活性化の鍵になります。大滝町西友跡地の再開発、さいか屋跡地の再生、他の再開発実施に向けた積極的な支援を行います。
・大滝町2丁目再開発
・さいか屋大通り館跡地の再生
・他の再開発計画→事業化に向けた調査・検討費を計上
・中央地区のドル旅、歩行者天国の実施
(2)追浜地区の再開発促進
追浜駅前の再開発の実現に向けた支援を行います。
(3)商庖街の活性化
商庖街が自ら積極的に行動する活性化への動きを支援します。
・商店街が共同して行う、宅配事業を支援
(4) 新たな企業誘致策
大口利用者の新規水道加入金の免除制度を導入します。
(5) 観光協会のあり方の見直し
集客観光がより活性化するよう、協会のあり方を見直します。
3 健康の維持・増進
(1)国保健全化計画の着実な推進
医療費の1/2が生活習慣病に起因することを認識したうえで、国民健康保険の特定健診受診率をアップさせるとともに健康指導体制を充実強化して、生活習慣病の予防に努めます。
・特定健診受診率の向上と指導体制の強化
受診デー夕、レセプトなどの分析、保健師の配置
(2) 関係機関との連携
県立保健福祉大学と連携し、実効性のある取り組みを行います。
・認知症対策、健康栄養指導など
(3)健康教室や生涯学習の機会の拡充
健康に対する意識の向上と実践を図ります。
4 その他
(1)施設の長寿命化
公共施設を有効かつ効率的に使用するためのデータとして、「公共施設ファシリティマネジメント白書」を作り、これをもとに「施設の適正化計画」を策定します。
・施設の適正な維持管理に努めます。
(2)自治の推進
・自治基本条例
市議会の審議を十分にふまえた見直しを検討します。
・地域運営協議会
地域運営協議会の活動内容の充実と実施地域の拡大を図ります。
(3)三浦半島各市町との広域の連携
三浦半島が持つ自然環境、観光資源、利便性などの魅力とそれぞれの地域力を生かし、各市町が連携した事業展開をすることで相乗的な魅力の向上、地域の活性化を図ります。
・観光プログラムの開発
・有害鳥獣対策など
(4) 新しいごみ処理施設
更なるごみの減量化を進め、環境負荷の低い処理施設を長坂地区に建設します。
・2031年度の稼働を目指します。
市長選挙における広川さとみ候補の掲げた選挙公約がいくつも取り込まれていました。
広川候補の政策に共鳴して市長選挙を闘ったフジノとしては、市長選挙の得票状況から見ても
「吉田市長は、対立候補の政策もきちんと盛り込まんでいかなければ市政運営は不可能だ」
と考えてきました。
その点については予想通りでした。
この実施計画を作る意味はあるのか?
ただ、同時にフジノはかなり『シラけた気持ち』で説明を聴いていました。
何故ならば、『事務事業の総点検』において「計画に記された事業であっても見直しをかけていく」と市長自らが方針を打ち出したのです。
『第2期実施計画』そのものだって2014年までに作ったとしても、2015年からの『事務事業の総点検』で見直しの対象になるのです。
計画を立ててもそれがその年その年の財政状況によって場当たり的に廃止・削減されるならば、そもそも『第2期実施計画』を策定する意味がフジノには見えませんでした。
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明日から、ついに9月議会がスタートします。
フジノも市長に対して一般質問を行ないます。
そこでこの『事務事業の総点検』における基本方針で記された
実施計画、分野別計画など既定の方針・計画に基づく事務事業であっても、事業実績や事業効果を踏まえ、事業内容や実施方法の見直しを検討する
について、「撤回」あるいは「極めて慎重な適用」を求めていきます。
障がい福祉計画、介護保険運営事業計画など、毎回の計画づくりには、当事者のみなさんもご家族のみなさんも必死に活動をなさってこられました。社会保障・社会福祉の現状を少しでも良くしたいという想いがこめられた計画です。
そうした努力を全て水の泡にするようなことは、絶対にさせません。