8月末までの自殺による犠牲者数は、過去5年間で最少
毎月発表される統計データを見ながら、ずっと考え続けて、気がつくと深夜というよりも明け方になっていることがあります。
横須賀市の自殺による犠牲者数の最新のデータ(今年8月末までの速報値)をグラフにしました。
2013年1月から8月末までの自殺による犠牲者数、41人。
過去5年間のデータ(1~8月までの合計)では、今年が最も少ない犠牲者となりました。
もしかしたら今年は、横須賀市にとって、過去数年間でも最も少ない犠牲者にとどめることができるかもしれません。
11年前よりデータ開示は進んだけれど、まだ必要な情報は全く足りていない
グラフを見て、どんなことを感じましたか?
- 4月、自殺の犠牲者数が3月の2倍に増えています。
- 5月、さらに増えています。
- 6月、少し減ったものの、まだ高いまま。
- 7月、ようやく1~3月の水準に戻りました。
- 8月、再び増加しています。
あらゆる原因が想定できる為、どんな対策を取れば良かったのかと毎日考えずにはいられません。
フジノは、3月いっぱいで期限が切れる『中小企業金融円滑化法』のダメージを少しでもやわらげる為の対策を提案してきました。その提案を横須賀市はかなり実行してくれました。
けれども4~6月の増加をみると、『中小企業金融円滑化法』のダメージが出たのかもしれないと考えずにはいられません。
他の可能性もいくらでも考えられるのですが、あまりにもデータが無いので対策の取りようがありません。
フジノの手元には、自殺によって亡くなった方々の、年齢層、同居人の有無、職業だけしかデータが与えられていないのです。
性別も分からない。遺書の有無も分からない。
もっと一人一人の生きてきた姿が感じられるようなデータを、僕に与えてほしい。
そうしたら僕は、もっと有効な政策を提案できるかもしれないのに。
政治家に転職する11年前に比べたら、少しだけデータ開示がマシになりました。
でも、対策をすぐに打てるだけの情報は全く足りていません。
もしも許されるならば、ご遺族の方々のもとに訪れて、その声を聴かせていただきたい。それが叶わないのであれば、せめてもう少しまともなデータ開示を認めてほしい。
毎月の統計データの発表のたびに、少ない情報から可能な限り耳を澄まして聴こえてくる声があるのではないかと努力をしています。
新しい研究が発表されれば必ず目を通して、文献が出れば読んで、そこに有効な手立てが見いだせないかといつも目を凝らしています。
自殺対策に取り組んできた政治家として、そして何よりもひとりの人間として毎日感じていること
客観的には、5年間で最も少ないのは事実ですが
個人的には、1人でも犠牲になった方がおられる限りは、つらくてたまりません。
自殺対策に取り組んできて10年間、今もこれだけ多くの悲しみを前に自分の力不足を感じて、申し訳なさで苦しくてたまりません。
世界中の研究において「自殺対策の効果が出るには10年間がかかる」と言われてきて、僕は、10年間というスパンを1つの単位として受け止めようと努力をしてきました。
1秒ずつ流れていく時の中に身をおいて生身で生きている人間ですから、目の前で苦しんでいる人々や今この瞬間に苦しんでいる人々の力になれなければ、10年間という単位で成果が出ることを信じるのはとても難しいです。
それでも、ひたすら政策を提案してその実現を重ねていくことで犠牲者を減らせると信じて、1時間ずつ1日ずつ過ぎていく時を積み重ねてきたのです。
この気持ちを言葉にすることはとても難しくて、そして言葉にすることはたぶんムリなのだとも感じています。
だから、とにかく仕事として自殺対策に全身全霊をかけて毎日生きるしか無いと考えています。