「世界自殺レポート会議」シンポジウムへ
今日は、秋葉原UDXで開かれた『世界自殺レポート会議』シンポジウムに参加しました。
来年2014年9月の世界自殺予防デーに、WHOは初めて『世界自殺レポート(World Suicide Report)』を刊行することを決定しました。
WHOが「世界自殺レポート」を来年刊行します
何かの問題とその対策について、これまでの経過や現状や取り組みなどの実態を毎年公表するということは、とても大切なことです。
わが国では2007年11月から毎年『自殺対策白書』を発行するようになりました。
これは自殺対策基本法の第10条に以下の条文を盛り込んだからこそ、ようやく実現したのです。
第十条 政府は、毎年、国会に、我が国における自殺の概要及び政府が講じた自殺対策の実施の状況に関する報告書を提出しなければならない。
自殺対策に関する報告書をWHOが作成するようになることは、フジノにとって大変に歓迎すべきことで、高く評価しています。
世界各国から自殺対策の専門家40名が集結しました
こうしたWHOの動きを受けて、昨日おととい(12月16〜17日)の2日間、世界各国から40名以上の専門家が参加しての『世界自殺レポート会議』を日本で開催しました。
そして今日は、WHO、WHO西太平洋事務局、国立精神・神経医療研究センターの主催で、世界自殺レポート会議シンポジウムが開かれたのです。
フジノはこのシンポジウムに参加しました。
精神保健行動計画2013-2020
まず、Shekhar Saxena博士(WHO精神保健・薬物依存部部長)による講演『WHOの包括的な精神保健行動計画2013-2020と自殺予防』 が行なわれました。
WHOは、今年5月の第66回WHO総会において『精神保健行動計画2013-2020』を承認しました。
すでに2012年には『素案』も示されていましたので、フジノにとって目新しさはありませんでした。
ただ、世界規模でこうした合意が実現したことの意義をSaxena博士が重ねて評価するのを聴いて、やはり歴史的背景も文化も全く異なる世界の各国が精神保健という重要な課題であっても合意するというのは難しいことなのだなと再確認しました。
その目標は4つです。
WHO行動計画の2020年達成目標
- 国々の80%が精神保健政策・計画を整備または改訂する
- 国々の50%が精神保健関連法規を整備または改訂する
- 重度精神障害のサービス適用を20%増加する
- 国々の80%が2つ以上の有効な精神健康増進・予防プログラ
ムを保有する - 自殺死亡率を10%低下させる
- 国々の80%が精神保健の指標を定例的に収集する
これが2020年までに達成する目標です。
- 精神保健における効果的なリーダーシップとガバナンスの強化
- 地域を基盤にした、包括的で統合された、鋭敏に反応する精神保健と社会ケアサービスの提供
- 精神健康増進と予防戦略の実施
- 精神保健に資する情報システム、エビデンス、研究の強化
今後は、いかに目標実現の為の政策が実施できるのかが勝負です。
フジノはまだ完成バージョンの『精神保健行動計画2013-2020』を読み切れていないので、各国がこの目標値を達成できなかった場合にどのようなペナルティが賦与されるのか、また中間報告などのような形でPDCAサイクルを回していくのかなどについては承知していません。
とにかく実効性を高める取り組みが必要です。
続いてシンポジウム『日本の自殺予防総合対策と世界への貢献』が行なわれました。
- 「日本の包括的な自殺対策と国際的意義」自殺予防総合対策センター長 竹島正
- 「わが国の自殺予防対策の評価と課題」 神戸学院大学准教授 南島和久
- 「ヨーロッパにおける自殺予防プログラム-日本への示唆」Dr Ella Arensman, 国際自殺予防学会(IASP)会長
- 「オーストラリアの自殺予防対策-日本への示唆」 Dr Diego De Leo, オーストラリア自殺調査・予防研究所 (AISRAP) 所長
この後はディスカッションがあったのですが、フジノは次の予定がありましたのでここまでで中座しました。