(前回から続きます)
あなたにも一緒に考えていただきたい事柄をアンケートで問いかけています
介護保険は3年に1度、大きく制度が変わるのですが、必ずアンケート調査など様々な調査を実施することになっています。
ところで、アンケートという調査方法は『市民のみなさまの声を聴かせていただく』というツールであると同時に、『市民のみなさまに一緒に考えてほしいことをお伝えする』ツールでもあるとフジノは考えています。
アンケートの問いかけに1つずつ回答しながら、あなたはその問いかけを通してご自分の現状や想いについていろんなことを考えることになると思うのです。
そこで、今回の『第6期・介護保険事業計画』策定の為のアンケート調査には、『ぜひ市民のみなさまに一緒に考えていただきたい事柄』を新たな設問としていくつか追加してあります。
アンケート調査の新たな項目「看取り」について
今日のブログでは、その中で最も注目すべき項目だとフジノが考えているものを紹介します。
それは人生の最期にどのような『看取り』を望むのか、という問いかけです。
以下の文章は実際のアンケート調査で用いられた設問です。
本人が重い病気などで意思表示できない時、 家族や医師などの判断で医療行為が行なわれています。
しかし、当の本人の意思が反映されているかどうかは分からない為、 終末期医療の選択においては、 家族や医師などが悩みを抱える揚合があります。
- 間51 あなたが病気などで人生の最期を迎える時が来た揚合、延命治療 (心肺蘇生・ 人工呼吸 ・点滴による栄養補給など)を希望しますか。
- 延命治療を希望する
- 延命治療を希望しない
- 分からない
- その他
問51で「2.延命治療を希望しない」と答えた方におたずねします。
- 問51-1 ご家族は、「延命治療を希望しない」というあなたの意思を知っていますか。
- 自分の意思は書面に記載してあり、家族もそのことを知っている
- 自分の意思は書面に記載してあるが、家族はそのことを知らない
- 家族とは話し合っているので、自分の意思を良く理解してくれている
- 家族には自分の意思を伝えているが、理解してくれているかどうかわからない
- 家族は自分の意思を知らないと思う
- その他
- 問52 あなたが病気などで人生の最期を迎えるときが来た揚合、最期はどこで過ごしたいと思いますか。
- 最期まで自宅で過ごしたい
- 自宅で療養して、必要になれば医療機関に入院したい
- 医療機関に入院したい
- 老人ホームなどの施設に入所したい
- わからない
- その他
間52で「1.最期まで自宅で過ごしたい」または「2.自宅で療養して、必要になれば医療機関に入院したい」と答えた方におたずねします。
- 間52-1 それは、実現できると思いますか。
- 実現できると思う
- 実現は難しいと思う
- わからない
- その他
間52-1で「2. 実現は難しいと思う」または「3. わからない」と答えた方におたずねします。
- 間52-2 その理由は何ですか。
- 家族に介護の負担や手聞がかかるから
- 自宅で介護を受けられる居住環境が整っていないから
- 介護してくれる家族がいないから
- 在宅介護サービスが十分でないから
- 入院したほうがきちんと医療を受けられるから
- 訪問診療をしてくれる医師や看護師がいないから
- 急に具合が悪くなった時に不安だから
- 自宅で亡くなることに不安があるから
- お金がかかるから
- 家族の理解が得られないから
- その他
- 問53 あなたの家族が人生の最期を迎える時が来た揚合、どこで最期を過ごすことを薦めますか。
- 最期まで自宅で過ごすことを薦める
- 自宅で療養して、必要になれば医療機関に入院することを薦める
- 医療機関に入院することを薦める
- 老人ホームなどの施設への入所を薦める
- わからない
- 家族はいない
- その他
人は、必ず死にます。
それなのに、これまでわが国では死について語ることがタブー視されてきました。
近年では、自分の最期についての希望をあらかじめ記しておく『リビングウィル』などが浸透してきましたが、まだまだ家族みんなで食卓で話を気軽にできるほどにはなっていません。
ですから、このアンケート項目は、とても大切です。
あなたにも一緒にどんな死に方をしたいのか、考えて欲しいのです。
死に方をまっすぐに見つめることは、生きることをまっすぐに見つめることです。
もう目の前に『多死社会』が来ています。
その時、自宅でも亡くなることができない、病院でも亡くなることができない、施設でも亡くなることができない、つまり死に場所が無い『看取り難民』が全国で47万人にのぼるとされています。
現実は圧倒的なスピードで迫っているのです。
けれども人々のこころはそのスピードには着いていかれず、死について考えることを漠然と避け続けてしまうことが多いと思います。
でも、もうそれを避けてはいけないと思うのです。
このアンケートの設問には、そうしたフジノの願いもこめられています。
今回のアンケートの対象は60代以上の方々が対象でした。
けれども本来であれば、小さなこどもの頃から機会をとらえて常に全ての世代が考えていくべきことだとフジノは考えています。
このアンケートがそのきっかけの1つになることを願っています。