(前の記事より続いています)
まもなくスタートする『6月議会』で、フジノは今回も市長への一般質問を行ないますが、その内容をご紹介します。
市民病院の「院内助産」が実質的に廃止へ向かっている現状を改善し、改めて院内助産を再開・継続する必要性について
本市の産科医不足による『お産難民』の状況に対応する為に、妊産婦のニーズに応じた助産ケアの提供を目指して、本市は2007年10月、市民病院に『助産師外来』を開設した。
2010年11月には、常勤産科医がいない『院内助産』を全国2例目として市内外の注目を集めてスタートした。
母子保健におけるわが国の方向性を示した『健やか親子21』においても助産師の活用が明確に打ち出された。
お産満足度の高さが地域定住の要因の1つという研究もあった。
そうした中で、本市における助産師によるお産の満足度は極めて高く、2011年4月に『院内助産』による初出産がなされた時はプレスリリースも出すなど、『選ばれる病院』をビジョンとする『経営健全化計画』を打ち出した市民病院のシンボル的存在としても注目されてきた。
しかし…
(1)市民病院の「院内助産」が事実上、廃止に向けた準備がなされていることを市長は知っているのか
市民病院、うわまち病院をはじめ、市内の周産期医療の複数の関係者から
「市民病院の『院内助産』が事実上、廃止に向けた準備を進めている」
との声を私は聞かされてきた。
さらに、「8月には廃止を正式に発表する」と地域医療振興協会が内部決定した、との情報も複数の方々から寄せられており、単なる噂とは受け止められないと私は判断した。
【質問】
市長はこのような実態を把握しているのか。
(2)いつ、誰が、このような方針を決めたのか
『院内助産』の在り方については、2012年12月に『市立病院運営委員会』から出された答申書に
「院内助産の在り方について再検討されたい(院内助産継続の可否は、賛否両論であった)」
旨の報告があったのみで、その後どのような議論が本市と地域医療振興協会の間でなされたのか、市議会には全く報告されていない。
【質問】
それにも係わらず、『院内助産』の事実上の廃止に向けた動きは、いつ、誰が、このような方針を決めたのか。
地域医療振興協会と本市の間でどのような議論がなされたのか。
(3)「市立病院運営委員会」の答申書に対して、教育福祉常任委員会で私が行なった指摘を、本市は検討したのか
2013年第1回定例会の教育福祉常任委員会において、私は
「助産師の方々によるお産、経産婦の方々のお産を助産師の方々で進めていく、という文化をもう1度横須賀市に根づかせたい。
この答申書については賛成できかねる。
横須賀市としての方針は、ぜひ院内助産も継続していくという方向で進めていただきたい」
と指摘した。
【質問】
委員会での私の指摘を受けて、本市は何らかの議論を行なったのか。
(4)説明責任の完全な欠如を市長はどう認識しているのか
市民病院小児科の入院診療廃止問題の時と全く同じで、市長は市民全体への説明はおろか、最もダメージを受ける西地区の方々に今回もまた全く説明をしていない。
【質問】
『説明責任の完全な欠如』を市長はどう認識しているのか。
(5)指定管理の協定の中で設置を明記していたにもかかわらず全く開催してこなかった「管理運営協議会」だが、いつスタートさせるのか
市民病院小児科の入院診療廃止問題の議論の中で、意思決定のプロセスの透明化や明確化の為にも、市長は『管理運営協議会』の早期立ちあげを約束したが、その後の経過が全く報告されていない。
【質問】
いつスタートさせるのか。
(6)現在「院内助産」の為に勤務を続けている助産師をはじめとする医療関係者のみなさんに、どのように地域医療振興協会および本市は説明しているのか
『院内助産』は、助産師をはじめとする医療関係者の長期にわたる献身的な取り組みと深い責任感によって初めて実現した大切なものである。
それにも係わらず、こうした本市の不誠実な対応は、仕事への誇りを深く傷つけて離職へと追い込むもので、絶対に許されないものだと私は考える。
【質問】
現在、『院内助産』の為に勤務を続けている助産師をはじめとする医療関係者のみなさんにはどのような説明を行なっているのか。
(7)「院内助産」への誤解から出された廃止論への私の反論について
ア.市民病院の院内助産の「分娩件数の少なさ」を理由とした廃止論について
市立病院運営委員会の議論の中でも、『院内助産』による分娩件数の少なさを理由にした廃止論があった。
しかし、『院内助産』による分娩件数が少なかったのは、そもそも2012年に赴任した1名のみの常勤医師が婦人科領域を専門としていたが為に分娩を避けてきたという噂がずっと言われ続けてきた。
また、他の市内助産院がFacebookを活用するなど助産師による分娩そのものをしっかりと広報して啓発してきたにもかかわらず、本市も地域医療振興協会も院内助産および助産師による分娩を積極的にバックアップしてこなかったことこそが分娩件数の少なさの原因ではないかと私は考えている。
【質問】
この点について、市長はどのようにお考えか。
イ.異常分娩や弛緩出血などの緊急事態に対応する為には「常勤産科医」がいなければ対応できない、との意見を理由とした廃止論について
市民病院の『常勤産科医』の不足や近隣の産科医の協力が十分に得られないことを理由に、異常分娩や出産後の弛緩出血などの緊急事態に対応しきれない、だから院内助産を廃止すべきだとの意見がある。
しかし、今回の問題をきっかけに複数の周産期医療関係者に事実関係をヒアリングしたところ、
- 全国的に見ても、同じ2次医療圏にバックアップ病院があれば助産院は緊急事態にも対応できること
- 市民病院とうわまち病院が救急車で30分以内で移動できる距離にあること
- 2病院を同じ指定管理者が運営しており連携体制が取りやすいこと
などから『常勤産科医』の不足を理由とする廃止論は「あたらない」との意見が多かった。
【質問】
この点について、市長はどのようにお考えか。
(8)虚偽の求人を掲載し続けていることは法律違反にあたるのではないか
横須賀市ホームページの中に「市立病院の看護師・助産師募集」というコーナーがあり、最新の更新日は今年4月1日で、現在も助産師を募集している。
【質問】
市民病院での『院内助産』を事実上廃止する方向を進めているにもかかわらず募集を続けていることは、市が『虚偽の求人』を掲載していることになり、労働基準法(第15条・労働条件の明示)と職業安定法(第65条8号・虚偽の公告、虚偽の条件の提示)に違反しているのではないか。
(9)市民病院の院内助産の廃止への動きは即刻撤回し、現状を改善することに全力を尽くすべきではないか
市民病院の院内助産の廃止への動きは即刻撤回し、現状を改善することに全力を尽くすべきではないか。
(10)市民病院の院内助産院だけでなく、助産師そのものへの支援の取り組みを本市は弱めていないか
産科医不足により出産場所の確保が困難な『お産難民』の問題を受けて、市民が安心して子どもを産み育てることができるように、本市は2007年に『助産師支援事業』をスタートした。
しかし、産科医師数の若干の改善を受けて危機感が薄れたのか、今年2月に本市が発表した『第2次横須賀市行政改革プラン』において「助産師支援事業」を「見直し」の対象とした。
これに危機感を抱いた私は、3月10日の予算決算常任委員会教育福祉分科会でこども育成部長に対して
「横須賀市の助産師支援が弱くなっていないか。扱いが変わったのではないか変わってきているのか」
と質した。
国による診療報酬の改定や医療機能分化などの激しい変化の中で、医師の絶対数の不足や偏在は再び容易に起こりうる。
したがって、「助産師支援事業」は今後も積極的に継続していかねば、再びお産難民が大量発生しかねない。
【質問】
この点を市長はどう考えているか。
(次の記事に続きます)