全国の市町村で「学童クラブ条例」づくりが進んでいます
横須賀市では新しい『子ども子育て支援制度』を作る為の議論は、昨年2013年5月にスタートしました。
中でも『学童クラブ』は、新しい制度の目玉の1つです。
*学童クラブには様々な呼び名があります。学童保育、放課後児童健全育成事業、放課後児童クラブなども同じ意味です。
児童福祉法改正によって、全国の市町村は新たに『学童クラブ条例』を作らねばなりません。
その条例に盛り込まなければならない内容は、例えば、
- 職員の数
- 施設の面積
- 設置しなければならない設備
- 開所日数
- 開所時間
など、あらゆる事柄となります。
そこで昨年から今年にかけて、全国で一斉に条例策定の作業が行なわれています。
放課後児童クラブ設備・運営基準検討部会へ
横須賀市では、『放課後児童クラブ設備・運営基準検討部会』において、議論が行なわれてきました。
第1回(2013年12月26日) |
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第2回(2014年3月7日) |
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第3回(2014年4月25日) |
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第4回(2014年5月30日) |
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約7ヶ月間の議論を見守ってきましたが、ついにゴールが見えてきました。
フジノは今日、最終回となった第5回目のこの部会を傍聴してきました。
パブリックコメントへの回答を検討しました
今回の議事は下の通りです。
第5回(2014年7月28日) |
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これまでの検討部会での議論の結果を、市民のみなさまにパブリックコメントの形で報告しました。
そして、6月17日から7月7日まで市民のみなさまからご意見を募集しました。
『学童クラブ条例』他6件についてのパブリックコメントだったのですが、合計714件のご意見を頂きました。
このうち、『学童クラブ条例』についてのご意見が693件でした。つまり総意見の97.1%です!
市民のみなさまの『学童クラブ』に対する関心の高さがヒシヒシと伝わってきました。
特にご意見が多かったものを紹介いたします。
条例の中でうたわれている支援員の数の下限・児童数の上限・非常災害対策・衛生管理等の実現に要する費用について、財政支援をお願いする。
また、民間施設を利用するクラブの家賃補助・指導員の資格取得・研修受講に要する費用についても、財政支援をお願いしたい。
(128件)
指導員の処遇について、継続勤務と人材確保のため、何らかの賃金保障・身分保障をしてほしい。
具体的には、市の非常勤職員として雇用しクラブに派遣するとか、社会保険への加入費用や年功序列型の賃金体系の実現のための 財政支援をお願いしたい。これらのことを保護者負担で実現するには、負担が重すぎます。
また、支援員の資格が規定されましたが、 資格と処遇は一緒に考えてほしい。
(98件)
働く保護者のため、寂しい想いをしている子どものために高い利用料を利用しやすい利用料にするため、行政の財政支援をお願いする。
特に、小さいクラブほど運営収支が厳しいので、何とかしてほしい。
(55件)
運営方式について、保護者会運営は保護者の負担が大変なので、児童数に補助金が影響されない『公設』や『委託方式』を検討しても良いのではないか。
運営委員会を年4回程度開催してほしいとのことだが、関係者の負担は大変です。
(54件)
こどもが安全で快適に生活できるよう指導員の数を増員して下さい。
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指導員の配置基準について、児童の人数に応じた配置基準にして下さい。
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指導員の確保が難しく複数配置ができかねる現状があるので条文を訂正すべきだと思います。
人材が確保できない場合の対応について明記すべきではないのか。
(54件)
専用区画の面積について、「児童1人につきおおむね1.65㎡以上でなければならない」とされていますが、その規定により定員を超えてしまい待機児童を出さざるを得ず、クラブを分割せざるを得ないことも考えられます。
待機児童が生じないように基準に応じた学童クラブを増やして下さい。
(46件)
回答は、ほぼ事務局案どおりになりました
こうしたご意見に対して、どのように回答するかの『原案』は、事務局(横須賀市こども育成部)が作成します。
事務局原案に対して、検討部会メンバーが意見を出していきました。
しかし、根本的な内容の変更が必要な意見は、取り入れられることはありませんでした。
本当に残念です。
結果的に、決定された回答のほとんどの内容は
今回検討をした基準は、条例として市内全ての学童クラブ事業者に適用するものです。
その為、規定する項目や内容については、既存の学童クラブの存在を意識して、最大公約数的な項目や内容に絞らざるを得ませんでした。
市独自の項目や内容の設定については、今後の課題として、市にお伝えしたいと考えております。
といったものとなっています。
市の責任を明確に位置づけることや、新たな財政支出が必要となる補助や、学童クラブ全体の底上げになるような基準などは、全く新たに記されることはありませんでした。
重ねて、残念でなりません。
検討部会に参加しているメンバーは現場の方々、事務局であるこども育成部のメンバーも現場の実情を理解している職員ばかり…。
それがこのように現状維持に押し切られてしまうのは、何故なのか。
財政部による財政規律が厳しいのか。市長に学童クラブを改善する意思が無いのか。
いずれにしても、学童クラブ関係者のみなさまにとって、とても残念なパブリックコメント回答となりました。
新しい『子ども子育て支援制度』に位置づけられた学童クラブは、今までと一体何が変わったのでしょう。
まずは新制度の立ちあげに間に合わせることが「最優先」だったのだろう、と言わざるをえません。
フジノや学童クラブ関係者のみなさんの大半は、新たな制度に位置づけられたことを過去最大のチャンスと捉えて、学童クラブの質を向上させてこどもたちの暮らしを守りたい、という想いでした。
そうした切実な願いは、ほとんど叶わなかった形になります。
残念です。
条例骨子案も原案のまま、決定しました
議題2、学童クラブ条例の骨子案についても、原案どおりに決まりました。内容は下の通りです。
(仮称)放課後児童健全育成事業の設備及び運営に関する基準を定める条例 | ||||
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新しい条例では、こども1人あたりの面積1.65㎡を最低基準とします。
けれども、いきなりすべての学童クラブがこども1人あたり1.65㎡の面積が必要だと定めると、これを守れない事業者も出ます。
そこで、経過措置として5年間の猶予(5年間は1.65㎡以下でもOKと認める)を『横須賀市独自の基準』として認めることとしました。
これが骨子案の内容です…。
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もちろん、このあと9月議会で条例案の審議がなされます。
フジノとしては、こどもたちの暮らしがもっと根本的に守られるように全力を挙げて条例案の変更を求めていきます。