国の「自殺対策取組事例集」に横須賀市の自殺未遂者支援が掲載されました
内閣府自殺対策推進室は、2012年から毎年『地域における自殺対策取組事例集』を発表しています。
2006年に『自殺対策基本法』が成立、地方自治体はその責務として自殺対策に取り組まねばならないと明記されました。
第4条 地方公共団体は、基本理念にのっとり、自殺対策について、国と協力しつつ、当該地域の状況に応じた施策を策定し、及び実施する責務を有する。
しかしその後も、自治体によって取り組みに温度差がある状況がしばらく続きました。
ノウハウが無く、どのように取り組めば良いのか分からない、といった声もあがりました。
そこで、全国の取り組みを把握している内閣府自殺対策推進室が、積極的な活動をしている自治体の取り組みを『事例集』として発信しているのです。
今年も8月に『事例集』が発表されました。
「はじめに」から、『事例集』の意義を記している部分を抜粋して紹介します。
「はじめに」より抜粋
自殺対策の推進に当たっては、地域の実情を把握し、それを踏まえた効果的な対策を講ずることが重要です。
各都道府県・市町村において、『地域自殺対策緊急強化基金』を活用し、創意工夫を凝らした対策が進められています。
本書は、同基金を活用した事業の中から、他の地域の参考となると考えられる先進的事例を都道府県から推薦していただき、とりまとめたものです。
紹介している事例は、全部で53事例あります。
それぞれ現場の視点から、地域の特性、事業の背景・目的・内容、実施に当たっての運営体制、成果、工夫点、課題等について記載していただきました。
都道府県、市町村、関係機関、民間団体など自殺対策に取り組む皆様におかれましては、地域における自殺対策事業の企画、立案、実施、評価の各場面に
おいて、本書をご活用いただくことにより、より効率的で実効性のある取組が展開されるよう願っております。
この中で、『横須賀市の自殺未遂者支援』の取組が4ページにわたって掲載されました。
横須賀市の『自殺未遂者支援事業』は、2010年8月にスタートしました。
自殺・自殺未遂によって救急搬送された方のうち、横須賀共済病院救命救急センターに搬送された方とそのご家族が対象です。
保健所健康づくり課こころの健康係の精神保健福祉士が、搬送直後から積極的に介入し、退院後も継続して支援を行なっています。
介入・支援は、あくまでもご本人の同意が得られた場合のみなのですが、年々増加しています。
2010年 | 2011年 | 2012年 | 2013年 |
---|---|---|---|
7名 | 22名 | 30名 | 52名 |
自殺未遂へと追い込まれた方々が再び自殺へと追い込まれないように支援するとともに、ご家族の辛さも傾聴して心の負担の軽減に努めています。
2014年現在、本事業で支援した方々の再企図は無いことから、本事業の成果は大きい、とフジノは考えています。
『事例集』への掲載をきっかけに、こうした取組が全国的に広まっていくことをこころから願っています。
また、他の事例を横須賀も参考にして、できることに積極的に取り組んでいきたいと思います。
8〜10月に実施する横須賀市の取り組み
その他にも横須賀市では、いくつもの取り組みを行なっています。
今日発行された『広報よこすか』8月号に掲載されている、8〜10月開催の事業を紹介します。
まず、自死遺族の方々への支援です。
『自死遺族相談会』は2007年から、『自死遺族の分かちあいの会』は2008年からスタートし、現在に至ります。
『相談会』は、1対1でじっくりお話しして頂ける場です。『分かちあいの会』は、同じ立場の方々(ピア)が集う場です。
フジノ自身も遺族の立場で、『分かちあいの会』に2年近く参加させていただきました。
悲しみに追い込まれている時にはプロの専門家(ドクターや看護師や精神保健福祉士など)の支援を受けることで、とにかくダメージを減らすよう努めることが必要だと思います。そうした方は、事前申し込み制で1対1でじっくりお話して頂ける『相談会』をぜひご利用下さい。
悲しみから少し回復して外出ができるようになったら、ぜひ『分かちあいの会』にご参加下さい。僕は、同じ立場の方々の声に、たくさん涙を流しつつも、何故かホッとする気持ちを感じたものです。それが『ピアの力』なのだと思います。
●
続いて、『研修会』です。
『講演会』は2007年度から、『研修会』は2010年から毎年開催しています。
関心のある方はどなたでも参加できます。事前申し込み制ですので、コールセンターまでお申し込みをお願いします。
●
最後に、支援者向けの『ワークショップ』です。
こちらは20名限定で、事前申し込み制です。
●
また、9月10日の世界自殺予防デーには『街頭キャンペーン』も実施する予定です。
これからも、自殺へと追い込まれる方をひとりでも減らせるように、全力で取り組んでいきます。
ただ、政治・行政だけが全力を尽くしても、自殺を減らすことはできません。
あなたの気づきがあって、初めて誰かの苦しみに気づくことができます。
あなたの一言によって、あなたの大切な誰かは大きな苦しみからふと逃れることができるのです。
どうか、あなたの力を貸して下さいね。