自死遺族の支援を考える講演会を神奈川新聞が報じてくれました
8〜10月の横須賀市の自殺対策の取り組みについて、先日このブログでお伝えしました。
その取り組みのうち、神奈川新聞が『自死遺族の支援を考える講演会』(8月20日開催)について報じてくれました。
草山記者、ありがとうございます!
全国自死遺族総合支援センターの南部節子さんが講演されます
当日、講演を行なってくれるのは、南部節子さん(NPO法人全国自死遺族総合支援センター事務局長)です。
南部さんは『かながわ自殺対策会議』の委員も務めて下さっていることもあって、今もしばしばお会いします。
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2005年、本格的な国の自殺対策はまだスタートしていませんでした。
当時、自死遺族は、大切な人を亡くした悲しみに加えて、社会からの偏見によって苦しめられていました。
例えば、ガンや脳卒中で配偶者を亡くした方は、お通夜や葬儀や四十九日法要などの機会をはじめ、様々な機会に周囲の人に悲しみを語ることができます。
語ること・聴いてもらうことを通して、喪失の苦しみや悲しみから少しずつ回復をしていく『喪の作業』をすることができるのです。
けれども、自殺によって大切な方を失った遺族は、そうした機会は与えられることはありませんでした。
自殺は恥だという偏見やタブー視、特殊な死を隠さねばならないといった気持ちに囚われてしまい、家族や親戚にさえ自殺だという事実も語れずにきました。
取材を受けた自死遺族の方々のコメントがテレビで放送される時は、顔はモザイクで隠されて、名前は匿名にされました。
社会も、マスメディアも、そして遺族自身も、自殺って言えなかったのが2005年当時でした。
そんな中、南部さんは公の場で、実名を明かして顔を出して、その体験を語ったのです。
本当にとても勇気がいることだったと思います。
けれども、南部さんを筆頭に、全国の自死遺族の方々が少しずつ勇気を振り絞って、行動を始めたのです。
そして全国で署名活動を繰り広げて、ついに『自殺対策基本法』を生み出すことができたのです。
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『自殺対策基本法』が成立して、少しずつ全国に自殺対策が広がっていくにつれて、フジノ自身は『自らの体験』を語ることをやめました。
法制化の実現は、フジノにとって『弔い合戦』の1つの到達点でした。
決してゴールではありません。それでも確かに1つの到達点でした。
自殺へと追い込まれたいのちと引き換えに自殺対策基本法が作られたのだと、僕は1つの役割を果た終えたのだと感じつつあるからです。
けれども、法制化から8年が過ぎた今も、南部さんは語り続けています。
しかも、個人の『喪の作業』として語るのではありません。
自殺とは縁もゆかりも無いたくさんの人々を前に、公の場で語るという作業です。
『語り続けること』は、とてもエネルギーのいることです。
そんな南部さんを端から見てフジノは、時に心配になることもあります。
けれども、語り続けることが南部さんの使命なのかもしれません。
フジノが政治家として自殺対策に向き合い続けることを選んだように、南部さんはピアの立場(全国自死遺族総合支援センター事務局長として)語り続けることを選んだのだと思います。
そんな南部さんの講演を、ぜひ一人でも多くの方に聴いていただけたらと願っています。
2006年の法制化が実現した後も、全国の自殺に対する偏見やタブー視が完全に無くなった訳ではありません。
その日がやってくるまで、まだまだ南部さんもフジノも活動を続けていくのだと思います。
8月20日、どうかみなさま講演会にいらして下さいね。
よろしくお願いします。