家庭的保育事業(保育ママ)等の基準を定める条例に反対しました
フジノにとって、4年前の家庭的保育(保育ママ)利用中に4ヶ月の乳児が亡くなった事件は決して忘れることができません。
それまでフジノは『保育士の人材確保』に強い関心があったのですが、大きくスタンスを変えるきっかけとなりました。
『保育の質』を守り向上させる政策に徹底して取り組み始めました。
本日の本会議で、家庭的保育事業(保育ママ)などの基準を定める条例が新たに定められる議案が採決されました。
最終的に議会全体では可決されたのですが、フジノは反対しました。
そして反対理由を討論として壇上から述べました。
以下にご紹介します。
議案第70号・家庭的保育事業等の設備及び運営に関する基準を定める条例制定について反対する立場から討論を行ないます。
僕は『小規模保育事業B型』に反対しています。
反対の理由は、『保育の質』の低下を懸念しているからです。
どれほど保育のプロである保育士の皆さんが全力を尽くしても、それでも乳幼児の死亡や事故が起こります。
現状では、保育施設で発生した事故について、全治30日以上のけがや死亡に関しては、発生場所や発生状況を自治体が厚生労働省に報告する制度が設けられています。
しかし、そのデータは単に集めて公表されているだけで、事故が起こった原因の分析や再発防止策には活用されていない現状があります。
そこで、ようやく今年9月9日に、内閣府、厚生労働省、文部科学省が合同で有識者会議を開き、『保育事故再発防止データベース』を新たにつくり、専門家が事故原因の究明や再発防止策を考える案が提案されました。
このように、保育の現場での事故の原因究明や再発防止策は、いまだ全く進んでいない現状があります。
かつて、2010年9月に、本市内の家庭保育福祉員が保育中の生後4カ月の男の子が亡くなるという痛ましい出来事がありました。
現在も御遺族と本市との間では訴訟が継続しております。
当時、僕は御遺族であるお母様からじかに悲しみの声をお聞きしました。
それ以来、家庭保育福祉員に限らず、保育所での保育など、あらゆる保育の質を上げることをみずからの大切な課題として取り組んできました。
教育福祉常任委員会在籍中は、繰り返し、『保育の質』を高めるための提案を行ってきました。
しかし、今回の国の子ども・子育て支援新制度では、『保育の量』を拡大することが最優先されています。
小規模保育事業にはA、B、Cの3つの類型がありますが、職員全員が保育士でなくてもよいB型があります。
繰り返しますが、保育のプロである保育士の皆さんが全力を尽くしても、乳幼児の死亡や事故が起こるのです。
プロではない方々を保育の場に配置することは『保育の質』を下げることであり、僕は認めません。
国の基準では、保育従事者のうち半数以上は保育士とするとありますが、今回の議案第70号、条例案中の第31条、職員では、保育従事者のうち、4分の3以上は保育士とすると国基準を上回るものとしました。
その理由は、委員会での質疑によれば、『保育の質』の確保の為とのことでした。
しかし、それでも、短大や専門学校にて2年間の養成課程と国家試験の合格を経て初めてなれる正式な保育士とは異なり、その他保育に従事する職員を4分の1配置すれば良い、という職員配置基準には納得できません。
その他保育に従事する職員になるには、市長が行う研修を修了した者とされており、明らかに保育のプロである保育士との差があります。
したがいまして、『保育の質』を高めることが子どもたちの幸せにつながるのだと信じてきた僕にとって、この小規模保育事業B型を認めることはできず、したがって、その基準を定めた条例案にも反対します。
条例案は可決されてしまいました。
けれども条例がどうなろうと、『保育の質』を高める為の取り組みは絶対にこれからも続けていかねばなりません。
フジノはこれからも『保育の質』を高める為の政策提案を続けていきます。
そうすることだけが、亡くなった須田颯生ちゃんに対してこのまちの政治家としてできる唯一の償いだと思うからです。
こどもを喪う悲しみははかりしれないものがあります。
流産・死産・新生児死亡など、世間には全く知られていない悲しみがたくさんあります。
フジノはどのひとつの命に対しても誠実に向き合っていきたいです。