精神保健医療福祉改革の現状と課題を厚生労働省の方から伺いました
夜は、大学院での聴講の為に青山一丁目に向かいました。
2014年度前期に続いて中村秀一先生の講座『社会保障の政策形成の最前線Ⅱ』を受講しています。
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国際医療福祉大学院の玄関にて
今夜のゲスト講師は、冨澤一郎さん(厚生労働省 社会・援護局 障害保健福祉部 精神・障害保健課課長)です。
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今夜の講義のタイトル
精神保健医療福祉改革を実現したくて政治家に転職したフジノにとっては、まさにど真ん中の分野です。
進まない精神保健医療改革
厚生労働省キャリアの方であっても、精神保健医療福祉改革が10年経ってもほとんど進んでいない現状に、憤りを感じておられることがよく伝わってきました。
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冨澤一郎先生の講義
制度改革についてはフジノも常に追いかけているので、講義の内容そのものは知っていることばかりでした(すごい上から目線でごめんなさい)。
- 入院した患者さんがなかなか退院できない。
→精神科病院側は常にベットが満床で無いと利益が確保できない、という弊害 - 外来の患者さんが増えている。
この現状は、10年前から全く変わりません。
フジノには怒りしかありません。
長く入院させる日本の精神科医療は、人を不幸にする
あらゆる機会に繰り返し書いてきたことですが、フジノは大熊一夫さんをヒーローとして尊敬してきました。
日本もイタリアのように精神科病院を廃止すべきだと考えています。精神疾患・精神障がいは地域での生活の中でしか治せないと考えています。
実際に、今日の講義でも示された下のデータを見て下さい。
平成23年に入院した新しい患者さんのうち、1年以内に退院できなかった方は5万人にものぼります。これは他の病気では考えられない多さです。
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ある年に入院した方が1年以上入院する数は、5万人にものぼります
退院するまでどれくらいかかったか、その期間の長さによって、社会復帰できた人の割合がぐーんと下がってしまうこともハッキリとデータに表されています。
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入院期間別の退院した方々のその後の状況
1年未満に退院できた方のうち、70%が家庭・社会復帰できています。
しかし、下のグラフに注目して下さい。
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1年以上、さらには5年以上の入院期間ののちに退院しても、社会復帰ができていない…。
入院期間が1~5年の方のその後というのは、「他の精神科病院へ転院した」「精神科病院の中で別の科に移った」「死亡した」が55%にものぼっています。
つまり、『1~5年の入院期間の方々』は、半分以上もの方々が『家庭・社会復帰できていない』のです。
さらに『入院期間が5年以上の方々』は、「他の精神科病院へ転院した」「精神科病院の中で別の科に移った」「死亡した」が75%にものぼっているのです。
つまり、『5年以上の入院期間の方々』は、75%もの方々が『家庭・社会復帰できていない』のです。
精神疾患に対して、長期入院は弊害ばかりだとフジノは考えています。
一刻も早く退院をし、家庭・地域社会での生活に戻ること・働くことこそが精神疾患を治し、リカバリーにつながるのだとフジノは考えています。
(*これはフジノの主張であって、決して厚生労働省の考えでも富澤障害保健課長のお考えでもありません)
厚生労働省に遊びに来て自由に意見交換してほしいと言われて感激しました
フジノにとって、厚生労働省の取り組みは生ぬるい、精神科病院の利益を(結果的に)守ってばかりいる、という想いがあります。
けれども、今夜の講義で1つだけ嬉しかったことがありました。
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長期入院精神障害者の地域移行に向けた具体的方策の今後の方向性
冨澤課長のお話でひとつ嬉しかったのは、
「精神医療サバイバーの広田和子さんが、厚生労働省の私のところによく遊びに来て、精神保健医療福祉の現状について意見交換していくんですよね〜。こんなふうにみなさんもふらりと遊びに来て、意見交換してほしいんです」
なんてエピソードを話して下さったこと!
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構造改革によって実現される病院の将来像(イメージ)
広田和子さんとは仲良しですし、「あいかわらずアクティブだなぁ」と感心しました。
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改正された精神保健福祉法の概要
そして、まさか厚生労働省のキャリア、しかも課長が「ふらりと遊びに来て意見交換してください」なんて言って下さったこと自体に感動しました!
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とてもユニークな冨澤課長!
そんな方が厚生労働省に居て下さることが本当にありがたいです。