横須賀市役所の全ての課長職を対象に「性的マイノリティに関する研修」を行ないました
昨日の『パネル展示』に続いて、良いニュースをお伝えできて嬉しいです。
横須賀市がまた一歩、前に進みました。
今日は、市役所の全ての課長職を対象にした『性的マイノリティに関する課長職研修会』を行ないました。
横須賀市の課長職30数名が一同に介して、『性的な多様性に関する研修』を受けたのです。
何故「課長職」をターゲットにした研修なのか?
これまでも横須賀市は『性的な多様性に関する研修』を、官民問わず、あらゆる方々を対象に実施してきました。
横須賀市が行なってきた研修の一部
- 市民向け
- 相談業務を担当する市職員向け
- 幼稚園・保育園・小中学校・高校・学童保育の職員向け
その他にも多数、実施してきました。
けれども『課長職』を対象にした研修は、初めてです。
市民のみなさまにとって『課長』というのはどんなイメージでしょうか?
行政における『課長職』とは、単なる中間管理職ではありません。その担当課の条例・予算など全てについて重要な判断を下せるのが『課長』なのです。
部局長は、その部局の職員のマネジメントや、さらに市全体の政策の調整をメインにしています。
つまるところ、『課長』こそが『現場において政策を前に進めていく上で最重要なプレーヤー』なのです。
その課長職のみなさんが『多様な性』について理解を深めることは、横須賀市役所のあらゆる政策判断の際に『多様な性』の観点が加わるということです。
だから、ものすごく大きな意味があるのです。
ただ、課長職というのはすさまじく忙しい。全員を集めて研修をするということはなかなか難しく、これまでは実現できませんでした。
それが今日、ついに実現したのです。
とても素晴らしいことです!
全部局の合意を取り付けてこの研修を実現させた『市民部人権・男女共同参画課』は、本当にご苦労が多かったことと思います。ありがとうございました!
研修の内容は、横須賀の現実をもとに具体的な内容が語られました
講師は、NPO法人SHIP代表の星野慎二さんです。
『性的な多様性』のいわゆる一般論は、すでに横須賀市の課長職のみなさんはほとんど理解しておられます。
(すでに横須賀市は『人権施策推進指針』を作成しており、市役所の職員はみな、毎日の業務の中でこの『指針』を参考にしながら業務に取り組まねばなりません)
今日は、横須賀市の取り組んできた施策、横須賀のこどもたちの現状をもとに具体的なお話がなされました。
例えば…。
昨年、県立横須賀高校に通うやぎしゃんが高校の文化祭で自らのセクシャリティをもとに2日間、ワークショップを行なったことをお伝えしました。
また、そのやぎしゃんをNHK『エデュカチオ』が取材し続けて、昨年10月には全国に放送された様子などをお伝えしました。
多様な性の子どもたち 大人はどうすれば? 投稿者 lgbtnijinokokoro
ちなみに、『エデュカチオ!』は前回の放送が好評だった為に、さらにパート2を作成して放送しました。
多様な性の子どもたち・パート2 大人にできること 投稿者 lgbtnijinokokoro
横須賀在住のやぎしゃん(番組の中では勝法さん)がスタジオで尾木ママ・東山紀之さんとともに語り合いました。
*再放送が2月7日(土)12:00〜12:29にNHK・Eテレであります!観てくださいね!
フジノは、こうしたアクションが横須賀発で全国に広がっていっていることをとても誇りに感じます。
●
もちろん明るい側面のお話だけではありません。
「異性愛が当たり前」という前提で作られている日本社会の中で、自傷行為に追い込まれてしまったり、自殺の犠牲になった方々についても語られました。
また、学校教育の現場や家庭での適切な理解が深まっていない為に、こどもたちが苦しんでいることも具体的な事例をたくさん語っていただきました。
「自分のことを知りたい」と願うのは誰もが当然に考えることです。
自らのセクシャリティと同じセクシャリティの人々と出会いたくても出会えない。出会う為の手段が、現状ではインターネットでの『出会い系サイト』しか無い。
そこでの出会いが、「友人を得たい」「自らのことをもっとちゃんと知りたい」という本人が求めているものとは異なることが多いです。
つまり、単に一過性のセックスを強いられることがしばしばあるのです。
こうした状況を変えたくて、横須賀市では『10〜20代のみを対象にした出会いの場』を2ヶ月に1回、開催しています(『CafeSHIPポートよこすか』です)。
また、性同一性障害の性自認を持つ方々が、海外からインターネットでホルモン剤を取り寄せて服薬して、副作用に苦しんでいる事例なども語られました。
性同一性障害のこどもたちが性別適合手術を受けるには、大きなハードルがたくさんあります。
何よりもまず親の同意が必要となるので、親にカミングアウトできないこどもたちは、そこでまず苦しんでいます。
そして親に全く話すことができないままに、医師にもきちんとかかることも全く無いままに、自分でインターネットでホルモン剤を買ってのんでいまっているのです。
ホルモン療法は、本当に細やかな診断に基づいたクスリの処方が必要なのです。そうした専門的な診察が無いままにただホルモン剤だけをのめば、望んだ身体の変化は得られないどころか、うつ症状や精神科的な疾患を持つことが多いです。
本当に厳しい現実がたくさんあります。
また、HIVへの感染についても横須賀の事例をもとにお話して頂きました。フジノのまわりにもHIVポジティブの方が何人もいらっしゃいます。
先進国の中でHIVキャリアが増えているのは、日本だけです。
みなさんが知らないだけで、実際にはたくさんの方々がHIVキャリアとして暮らしています。
行政ができることはもっとたくさんある
星野慎二さんから、我ら政治・行政の改善すべき事柄が具体的に提案がありました。
すでにフジノが市議会で提案しているものもありましたが、どんどん実行に移していかねばならないことがまだまだたくさんあります。
医療・福祉の現場をはじめ、住宅政策における扱い、婚姻などをはじめ、たくさんあります。
今日の講習が、現場に毎日向き合っている課長職のみなさんのこころの奥深くにどうか届いていますように、フジノは強く願っています。
課長職のみなさん、一緒に変えていきましょう!
横須賀はすでに全国から注目される『性的な多様性』を保障するために努力しているまちです。
でも、まだまだ足りません。
もっともっと変えていくことができます。
どんなセクシャリティであろうと、みんなが自分らしくあることが自然にできる、希望を感じられるまちに変えていきましょう。
●
激務の中で研修を受けて下さった課長職のみなさん、今日はありがとうございました。
また、課長を送り出してくれた部局長のみなさん、ありがとうございました。
そして、今日の実現に尽力して下さった市民部人権・男女共同参画課のみなさん、本当におつかれさまでした。
これからも横須賀市が全国のお手本になれるように、フジノはどんどん取り組みを前に進めていきます!