「過労死防止学会」が立ち上がりました
本日ついに『過労死防止学会』が設立されました。
1年間に100人を超える方々が過労死・過労自殺に追い込まれている、極めて異常な社会=日本。
グローバル化や不況や経営難などを言い訳にして、経営者たちは人を人として扱わずにうまく利用し使い捨てにしています。いまだに19世紀のような雇用労働状況にあります。
大切な人のいのちを守りたい。そんな当たり前のことが現在の日本では、困難です。
そこで、ご遺族をはじめ、弁護士・医師・研究者・ジャーナリスト・組合関係者・活動家など『過労死・過労自殺』を無くしたいという強いを持つ方々が集まって、今日の学会立ち上げに至りました。
すでにNHKのニュースでも報道されたので、ご存知の方もいらっしゃるかもしれません。
5月23日現在、会員は195名。今後さらに増えていく見込みです。
今日は、規約案の提案と審議・幹事の選出・2015年度予算などが決定されて、正式に発足となりました。
来年5月下旬には2016年度の総会も開催したいという方向でいます。
設立記念シンポジウムが開かれました
今日は、学会の設立を記念してシンポジウムも開かれました。
『急がれる過労死の調査研究と防止対策〜いま何が問われているか〜』
- 報告
- 『過労死のない社会の実現をめざす遺族の願いと防止法の課題』
寺西 笑子(過労死を考える全国家族の会代表) - 『過労死の根因とこれからの課題』
熊沢 誠(甲南大学名誉教授) - 『ここ最近の日本における企業情勢と職場のメンタルヘルス』
加藤 敏(自治医科大学精神医学教室教授)
- 『過労死のない社会の実現をめざす遺族の願いと防止法の課題』
- 討論
- ノース・スコット(大阪大学人間科学研究科教授)
- 岸 玲子(北海道大学環境健康科学研究教育センター特任教授)
- 西谷 敏(大阪市立大学名誉教授)
- 東海林 智(毎日新聞記者)
- 全体討論
(敬称略)
会場となった明治大学駿河台キャンパスの1123教室は、150人以上びっしりと埋め尽くされ、関心の高さをヒシヒシと感じました。
総会での質疑や自由な意見交換の場では、「他の長年の歴史を持つような学会と比べてこんな運営で大丈夫なのか」という心配の声や、「今裁判をやろうとしている人々にすぐに役立つような事例などをもっと参考にできるように今すぐやるべきではないか」という即効性ある取り組みを求める意見も出ました。
けれども、今ようやく過労死・過労自殺を防ぐ為の大同団結がここに実現したのです。
例えば、学会の代表的役割をして下さっている寺西笑子さん(全国過労死を考える家族の会・代表)は、だんなさまを1996年に過労自殺で亡くしておられます。つまり、20年がかりでようやくここまで辿り着いたのです。
そうしたみんなの想いが長い時間をかけて活動を繰り広げて、ようやく昨年に議員立法で『過労死等防止対策推進法』につながり、今日のこの学会につながったのです。
だからどうか焦らないで、一歩ずつ一歩ずつ、みんなができることをそれぞれに持ち寄って、力をあわせて、この学会を大きく育てていきましょう。
みんなでがんばっていきましょうね。
あさっての過労死等防止対策協議会では大綱案が決まる予定です
あさってには、厚生労働省により『過労死等防止対策協議会(第5回)』が開かれ、いまだ十分な議論は尽くされていないままに『大綱案』が決定されてしまいます。
フジノはもちろんこの現場にも立ち会ってきます。
過労死・過労自殺の防止の為に、いち地方自治体(横須賀)からしっかりと始めねばならないこともたくさんあります。
そのひとつとして『公契約条例』『ディーセント・ワーク条例』の横須賀版をぜひ作りたい、と考えています。