どんな時も対話を続けることが必要だと信じて「日韓未来対話」に再び参加しました
今日は、東京・渋谷の国連大学へ向かいました。
『認定NPO法人言論NPO』と韓国のシンクタンク『East Asia Instuitute(東アジア研究院)』が主催する『第3回・日韓未来対話』に参加する為です。
明日6月22日は、日韓の国交正常化50年を迎えます。
そしてまさに今日、日韓の外務大臣が会談を行なっています。日本の岸田文雄外務大臣と、韓国の尹炳世(ユン・ビョンセ)外務大臣が外務省飯倉公館で会談をしています。
韓国の外務大臣が来日するのは、なんと4年ぶり。
日本と韓国は隣同士の国なのに、近年は政府同士の対話がかなり難しい状況に陥っています。
しかし、政府と政府の関係がどれほど冷え込もうとも、隣国の国民との対話は常に続けていくことがとても大切だとフジノは信じています。
だからこそ、このような状況の中で開催される『日韓未来対話』には大変重い意味があると感じています。
主催団体『言論NPO』にお招きいただき、おととし開催された第1回に参加しました。
昨年の第2回は韓国ソウルで開催されたので、パニック障がいもちで飛行機に乗れないフジノは参加を断念しました。
今年は再び日本での開催となり、改めてお招きにあずかりましたので、喜んで参加させていただきました。
満席の会場、充実した議論でした
今日のテーマと、合計30名のパネリストは以下の通りです。
日韓両国の未来に向けたビジョンと相互協力
- セッション1
テーマ:日韓の共同世論調査に見る、両国民間の基礎的理解 - セッション2
テーマ:日韓関係はお互いの国にとって本当に重要なのか? - パネリスト:
【日本側】
浅尾慶一郎(衆議院議員、日韓議連幹事)
出石直(NHK解説主幹、元ソウル支局長)
小倉和夫(国際交流基金顧問、元駐大韓民国大使)
川口順子(明治大学国際総合研究所特任教授、元外務大臣)
工藤泰志(言論NPO代表)
小松浩(毎日新聞社論説委員長)
近藤誠一(近藤文化・外交研究所代表、前文化庁長官)
阪田恭代(神田外語大学国際コミュニケーション学科教授)
添谷芳秀(慶応義塾大学法学部教授)
西野純也(慶応義塾大学法学部准教授)
深川由起子(早稲田大学政治経済学部国際政治経済学科教授)
藤崎一郎(上智大学特別招聘教授、前駐米国大使)
山本和彦(森ビル株式会社特別顧問、森ビル都市企画株式会社代表取締役社長)
吉岡利代(ヒューマン・ライツ・ウォッチシニア・プログラム・オフィサー)
【韓国側】
カン・チャンス(KTB投資証券アドバイザー)
キム・セヨン(セヌリ党国会議員)
ソンウ・ジョン(朝鮮日報国際部部長)
ソン・ヨル(延世大学校国際大学院院長)
シン・ガクス(国立外交院国際法センター所長、元駐日本大使)
ヨム・ジェホ(高麗大学総長)
オ・ヨンファン(中央日報東京総局長)
イ・スクジョン(東アジア研究院院長、成均館大学国政管理大学院行政学科教授)
イ・ワォンボク(徳成女子大学学長、漫画家)
イ・ウォンジェ(希望製作所所長)
チョン・ジェジョン(ソウル市立大学韓国歴史学教授)
チョ・セヨン(東西大学国際学部特任教授、前外交部東アジア局局長)
チェ・ジェチョン(新政治民主連合国会議員)
*フジノのパソコンに正しい漢字が出ない為、大変失礼とは存じますがカタカナ表記にさせていただきました*
まず第1セッションでは、『言論NPO』と『東アジア研究院』が定期的に行なってきた世論調査をもとに議論が行なわれました。
この世論調査だけでなく、いろいろな新聞が世論調査を行なってはここ数日、報道しています。例えば下の画像は昨日の朝日新聞です。
どの新聞の論調も、両国民の中に相手国に対する危険な認識の食い違いが広まっている、という大きな問題が指摘されています。
けれども今日のこの会場での議論は、そこだけにはとどまりません。
週刊誌や書籍では『反韓・嫌韓』あるいは韓国側の『反日感情』をことさらにセンセーショナルにとりあげます。それは、明らかに売上アップの為のものです。
しかし、細かく世論調査の内容を多岐にわたって検討していくと、全く違う分析ができてきます。
つまり、政府と政府との間には、大きな溝があります。また、マスメディアの間にもことさらにその溝を煽る風潮があります。
けれども、政府レベルではなく、市民レベルではそんなふうには考えていないとハッキリと読み取れることができます。
まず、日本側のデータをみると、「今は望ましくない状況で心配だ」「関係を改善すべき」「お互いの国民感情そのものは悪くない」と感じている人々は合計70%を超えています。
続いて、韓国側のデータをみても、全く同じ傾向がみられます。
さらに大切なことは、たった1回きりの世論調査の結果だけを読んで大騒ぎをするべきではないということを参加者はみな述べておられました。
過去50年間の日韓の世論の動きをみると、それは明らかにいくつもの世論形成の要因がみられるからです。
つまり、反日世論や反韓世論といったものは、政府と政府との間で相互に努力がなされて環境の変化があった時には、大きく改善されているし、逆の場合(例えば現在など)には大きく悪化しているからです。
ただ、そうした政府間の動きに連動した世論(あえて言うならば表面にあらわれる世論)と、いち市民・いち民間人の心情における本音ベースの世論はまた異なることも分かります。
例えば、実際に韓国や日本を訪れたことがある・知人友人がいる場合には、友好的な回答(友好的な態度)が増加している傾向が明らかです。
さらに、逆に実際には訪問した体験が無い人の回答は、相手国への感情が悪いものになっています。
お互いにお互いの国を訪れて、お互いに交流しあうことで、日韓の民間レベルの感情は大きく改善するものなのです。
実際に、グローバル経済における今、政府の対応とは無関係に民間企業では交流せざるをえない状況が日常化しています。
他にもデータからポジティブな要素はいくつもみられました。
日韓ともに、若い世代であるほどお互いに友好的な態度が強いことも明らかになっています。
世論調査の後に新聞の大きな見出しになったり雑誌のセンセーショナルな見出しにとらわれずに、いち市民の想いは人と人との基本的なコミュニケーションによって大きく好転していくものなのです。
フジノはここに大きな希望を感じます。
だからこそ改めて今日のブログのはじめに記したとおり、民間レベルでの国際交流・民間外交をどんな時も根絶やしにすることなく、ずっとずっと継続していくことが大切なのだと信じているのです。
そして、日韓の未来のこともみんなできちんと考えていくことを諦めてはいけないのだと信じています。
明日を祝おう。そして次の50年をさらに良い未来にしていこう
さらに興味深いデータもいくつもみられました。
日本と中国、韓国と中国、それぞれの距離感についてです。
日本人は、中国よりも韓国を身近に感じています。
しかし逆に韓国人は、日本よりも中国を身近に感じています。
この事実を日本はもっと直視すべきです。
韓国の経済的なつながりの深さは、実際には日本よりも圧倒的に中国の方が大きいのです。
日本の雑誌メディアやネット上の一部では『反韓・嫌韓』をことさらに騒ぎ立てていますが、相手国の人々はそうした日本をスルーしつつあることも知るべきです。
●
けさの毎日新聞にとても興味深いインタビュー記事があり、今日の『日韓未来対話』でもとりあげられました。
日韓国交正常化の交渉を行なった当時の韓国の元外務大臣・孔魯明さんの言葉です。
当時、国交正常化について韓国の国民感情としては「反対」がほとんどでした。
それでもあえて韓国政府が国交正常化に乗り出した想いが語られています。
50年前の日韓関係と、2015年の今の日韓関係では明らかに良い方向に変わりました。
歴史認識や領土問題などいくつもの課題はあります。
けれども、孔元外務大臣の言葉のように、『日韓未来対話』においても、次の50年をより良いものにしていこうという決意が多く語られました。
そして、それを実現するのは政府だけではありません。
フジノは、いち市民の行動・想いこそが国際関係を変えていくと信じています。
日本と韓国でお互いの国を訪れる人を増やし、ともに学び合い、交流しあっていくことが必ず未来を良くしていくことにつながると信じています。
明日の国交正常化50周年をぜひみんなでお祝いしましょう。
そして、一歩進んでは後退するかもしれない両国の関係であっても、それでも一歩ずつ前に歩むことを諦めないでいきたいです。
●
来年の『対話』は韓国での開催でしょうからフジノは参加できませんが、これからもずっと参加を続けていきたいです。
また、ふだんのくらしの中でできるたくさんのことを大切に、民間外交・国際交流に貢献できることがあれば、積極的にこれからも取り組んでいきたいです。