「療養病床の在り方」の議論がついにスタートしました
ついに始まりました。
『療養病床』の在り方を検討する厚生労働省の審議会が今日スタートしました。
フジノにとっては「またも、ついに始まったか」という気持ちです。
そもそもフジノが『療養病床』の存在を初めて知ったのは、父の脳卒中による入院が始まりでした。
当時は
「父と同じように慢性期の医療的ケアが必要な方々がみんな居場所が無くて苦しんでいる。ご本人とご家族の為に『現実』を変えねばならない」
という想いから、様々な活動に取り組みました。
- 誰もが安心して入院できるように療養病床(『医療型』『介護型』とも)を増やしていく必要性(数の側面)を感じました。
- ふつうの病床と比べると圧倒的に医師・看護師の数が少ない『配置基準』を見直す必要性(質の側面)を感じました。
- しかし、2006年から国は『介護療養病床』を廃止するという方針でした。フジノはこれに反対を続けてきました(→実際には全国に反対が多く廃止は2017年まで延期されています)。
- 『療養病床』を増やせないのならば、医療的ケアが必要な方々を『特別養護老人ホーム』や『グループホーム』でも受け入れられるように介護職員の医療的ケアを可能にする法律改正の必要性を感じました。
- けれども、そもそもご本人の想いは「『療養病床』でも『特別養護老人ホーム』でもなく『自宅』へ帰りたい」のだから、『在宅療養』が実現できるように『地域包括ケア』を徹底的に進めていく必要性を感じました。
様々な取り組みを続ける中で、少しずつ視野が広がりました。
これは『療養病床』というひとつの『医療の機能』の問題ではなく、『クオリティ・オブ・ライフ』『クオリティ・オブ・デス』『エンド・オブ・ライフ・ケア』の問題なのだと理解しました。
こうして父の入院から十数年を経た現在に至るまで、ずっと関心を持ち続けるテーマとなりました。今も強い関心を持ち続けています。
2017年の法改正に向けた「提言づくり」が検討会の目的です
今日、厚生労働省(国)がスタートした審議会は、この『療養病床』の在り方を議論します。
フジノが「またも」とはじめに書いたのは、この議論は何度も形を変えて繰り返し続けられてきたからです。
今回設置された『検討会』の具体的な内容は、超高齢社会の今、『慢性期』の医療ニーズに対応できる医療・介護サービス体制を実現する為に具体的にどのような改革をしていくべきなのか、その選択肢を整理することです。
ここでの提言をもとに、2017年に法律を改正する予定です。
今日は、初回だったこともあり、参加した委員メンバーの顔合わせと自由に意見を述べ合って終わりました。
次回以降の本格的な議論もしっかりとフジノは追いかけていきます。
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配布された資料から、数点を引用してご紹介します。
まず、目的と検討する事項についてです。
目的
- 本年3月に定められた地域医療構想ガイドラインでは、慢性期の病床機能及び在宅医療等の医療需要を一体として捉えて推計するとともに、療養病床の入院受療率の地域差解消を目指すこととなった。
- 地域医療構想の実現のためには、在宅医療等で対応する者について、医療・ 介護サービス提供体制の対応の方針を早期に示すことが求められている。
- 一方、介護療養病床については、平成29年度末で廃止が予定されているが、 医療ニーズの高い入所者の割合が増加している中で、今後、これらの方々を 介護サービスの中でどのように受け止めていくのか等が課題となっている。
- このため、慢性期の医療ニーズに対応する今後の医療・介護サービス提供体制について、療養病床の在り方をはじめ、具体的な改革の選択肢の整理等を行うため、本検討会を開催する。
検討事項
- 介護療養病床を含む療養病床の今後の在り方
- 慢性期の医療・介護ニーズに対応するための(1)以外の医療・介護サービス提供体制の在り方
続いて、論点のたたき台(事務局である厚生労働省が出したもの)です。
具体的な改革の選択肢の整理等にあたってご議論いただきたい論点(たたき台)
- 慢性期医療の在り方について
今後の超高齢社会では、複数の疾患を持ち、医療と介護のニーズを併せ持つ高齢者が増加していくが、慢性期医療には急性期医療とは異なる役割があること等を踏まえ、今後の慢性期医療の在り方についてどのように考えるか。例えば、次のような視点について、どのように考えるか。
・ 病気と共存しながらQOLの維持・向上を目指す医療
・ 病気を治すだけでなく、本人や家族の意向も踏まえ、患者の生活全体を視野に入れた「治し、支える」医療
・ 尊厳をもって人生の最終段階を迎えることを支える医療 等 - 慢性期医療の提供体制等の在り方について
(1)医療提供側に求められる機能の在り方
今後の慢性期医療の在り方を踏まえ、医療提供側に求められる機能には、どのようなものがあるか。(2)医療提供形態の在り方
上記(1)の機能を果たすための医療提供形態の在り方としては、「療養病床のように、 医療スタッフを内包して提供する形」と、「在宅医療のように、住まいを拠点として医療を 外から提供する形」に大別されるが、それぞれの提供形態の在り方や、選択肢を考える上 での条件等(患者像等)についてどのように考えるか。(3)療養病床における医療等の在り方
上記(1)(2)の論点も踏まえつつ、療養病床において主として対応することが求めら れる患者像についてどのように考えるか。また、患者像を踏まえた療養病床における医療の在り方について、どのように考えるか。 その際、例えば、次のような視点や慢性期医療の役割等を踏まえて、どのように考えるか。
・ 病気と共存しながらQOLの維持・向上が図られるよう、在宅復帰や在宅生活の継 続を支援する
・ 継続的な医学管理を行い、人生の最終段階においても穏やかな看取りを支える 等さらに、上記を踏まえた以下のような論点について、どのように考えるか。
1 人員体制の在り方
2 施設や設備の在り方
3 制度上の位置付けの在り方(医療法、介護保険法、報酬制度等)
4 基盤整備計画上の位置付け(医療計画、介護保険事業計画)や施設等の整備に対する財政支援の在り方(4)療養病床以外の医療・介護サービス提供体制の在り方
切れ目なく、医療・介護サービスを提供する上で、療養病床における医療等の在り方も踏まえ、慢性期の医療・介護ニーズに対応するための、療養病床以外の医療・介護サービス提供体制の在り方について、どのように考えるか。
明日以降、どうか新聞各紙やメディアがこの検討会とテーマについて取り上げてくれることを願っています。
市民のみなさまにとって、かつてフジノがそうであったように体験するまでは自分にとっては縁のない遠い世界のお話に過ぎません。
けれども、もしも自分と自分の家族にふりかかった場合(この先、2050年までは誰の身にもいつでも起こるでしょう)、本当に重要なテーマだということを誰もが痛感させられることになります。
日常生活の中では極めてマイナーで、誰も関心を持たないことがらです。
けれども、2025年〜2050年を見据えていくのが仕事のフジノにとっては、最重要政策のひとつです。
反対すべきことには徹底して反対していくとともに、これからの『エンド・オブ・ライフ・ケア』『クオリティ・オブ・デス』の在るべき姿を求めてしっかりと議論がなされるようにしていきたいです。
これからも情報発信をしていきます!