*文章が途中までなのですが、掲載します*
神奈川県・WHO共催のシンポジウムへ
今日は、横浜・日本大通りの産業貿易センターへ向かいました。
神奈川県とWHO(世界保健機関)が共同開催したシンポジウム
に参加する為です。
このシンポジウムは、さらに厚生労働省・経済産業省・内閣府の3府省が後援をしています。
2期目の黒岩知事は『未病』という概念の活用と、『特区』を活用した最新のテクノロジー技術の発展を、海外にアピールしてきました。
昨年2014年11月には、WHOにも黒岩知事は訪れており、それがきっかけで今日のシンポジウム共催にいたりました。
国の政府とWHOではなくて、いち地方公共団体である神奈川県とWHOがじかに提携してイベントを開催した、ということはとても珍しいです。
そこで、今日のシンポジウムがどのようなものになるのかを知りたくて参加しました。
黒岩知事の基調講演
まず、黒岩知事の基調講演です。
『神奈川県の超高齢社会に対するビジョン』
神奈川県知事 黒岩祐治
実際の内容は簡単なプレゼンテーションで、4つのことが語られました。
まず第1に『未病』という概念の説明です。
ただ、フジノは「黒岩知事が『未病』という概念にこだわりを持ちすぎていること」に強い違和感があります(黒岩知事の1期目と全く同じ構造です)。
さらに2期目に入ってからの黒岩知事は『未病』を『ME-BYO』と英語にして世界に発信をスタートしました。
『健康長寿・健康寿命の延伸』『生活習慣病予防』などを徹底的に進めていく上で、確かに『ひとことで言い切れる新しいキーワード』は重要かもしれません。
けれども、超高齢社会への突入に直面する世界各国が求めているのは『未病』という概念そのものではありません。
そうではなくて、神奈川県が特区を活用して連携しているサイバーダイン社をはじめとする、日本の介護ロボットなどの最先端かつ優れた新たな科学技術だとフジノは考えています。
『未病』という概念にこだわりすぎるあまりに政治的に足元をすくわれて、健康長寿をすすめるという重要な取り組みそのものが停滞させられないか、強い不安をフジノは感じています。
つづいて、第2に『未病を治し、健康長寿社会を目指す』という理念の説明です。
第3に『未病を治す為の、最新のテクノロジーの紹介』です。
「これこそが世界各国から最も求められているものだ」とフジノは考えています。
『味の素』の『アミノインデックス』では、少量の採血をすることだけであらゆることが分かるようになります。
血液中のアミノ酸濃度を測定することで、健康状態やさまざまな病気の可能性を明らかにする2種類(AICSとAIMS)の解析サービスです。
2015年8月現在では、胃がん・肺がん・大腸がん・前立腺がん(男性のみ)・乳がん・子宮・卵巣がんのリスクスクリーニングが可能です。また、栄養不足のリスク・内臓脂肪蓄積リスク・脂肪肝リスク・食後高インスリンリスクの測定が可能です。
つまり、ほんのちょっとの血液だけで『生活習慣病リスク』『がんリスク』が分かるという優れた技術です。
TOTOの新たなトイレの技術では、ウォッシュレットで尿の量や出方をデータ化して調べることができます。
ひとはみな毎日トイレに入る訳ですが、そこでのおならやおしっこを自動的に測定して、体調や生活習慣病リスクや疾病リスクが分かる、というすごい発想です。
すでにこの技術は実現化していて、帰宅してからインターネットで調べたのですが、販売もスタートしているようです。
こうしたテクノロジーが全ての家庭に普及してくれれば、フジノが必死に推進しているような『特定健診の受診』に市民のみなさまにわざわざ足を運んでいただく必要も減っていきます。
第4に、『神奈川県がこれまで行なってきたこと、これから行なっていくこと』です。
WHO上級政策アドバイザーによる基調講演
2つ目の基調講演はWHO側からでした。
『グローバルヘルシーエイジング〜私たちにとって意味するものとは?〜』
イズレネ・アラウジョ・デ・カルバーリョ氏
WHOエイジングアンドライフコース上級政策アドバイザー
「エイジフレンドリーな環境(どう訳せば良いのかな。。。高齢になろうとも暮らしやすい当たり前の環境づくり、だろうか)を創るのがWHOの重要な目標だ」と述べておられました。
その為に
- 年齢差別との戦い
- 自律性の確保
- あらゆる政策と政府のすべてのレベルにおける健康な高齢化
が必要だとのことでした。
WHOでは『高齢化と健康に関するワールド・レポート』という報告書を発行しています。
「ここで述べられているWHOの目指す姿と、神奈川県による『ヘルスケア・ニューフロンティア』はとても似た考え方だ」とイズレネ氏は述べていました。
同感です。
これから世界全体が超高齢社会を乗り越えていく為の政策パッケージは最終的にいくつかに収斂されていくのだと思いました。
(このワールド・レポートの日本語概要版はこちらからご覧になれます)
健康長寿に投資をするということは未来を創るということ、との言葉が繰り返し述べられました。全く同感です。
特別講演
『超高齢社会を支えるロボットテクノロジー』
筑波大学大学院教授 山海嘉之
セッション「神奈川県発のME−BYOプロジェクト」
続いて、神奈川県の顧問を務めている宮田俊男氏(日本医療政策機構エグゼクティブ・ディレクター、内閣官房健康・医療戦略室戦略推進補佐官)から神奈川県の取り組みの説明がありました。
「黒岩知事の考え方はオバマ大統領の考え方と同じ」とか、とにかく黒岩県知事に対するヨイショ発言が多く、聴いていてあまり意味の無い講演でとても残念でした。
宮田氏の講演で初めて知ったことが2つありました。
まず第1に、神奈川県庁主体で『ライフイノベーションセンター』を作っていくそうです。
そこには、臨床研究、医療機関、さらにファンドにも入ってもらうとのこと。
第2に、さらにオリンピックが開催される2020年に、ライフイノベーション特区の川崎・殿町と羽田空港の間の海に橋を渡す計画があることを知りました。
これには少し驚きました。
パネルディスカッション「高齢期を住み慣れた地域で生活するために」
○パネリスト
・WHOエイジングアンドライフコース専門官
アン・マルグリート・ポット (Dr. Anne Margriet Pot)
・WHOエイジングアンドライフコース上級政策アドバイザー
イズレネ・アラウジョ・デ・カルバーリョ (Dr. Islene Araujo de Carvalho)
・筑波大学大学院教授 山海嘉之
・セントルイス大学医学部教授 ジョン・モーリー (Dr. John Morley)
・国際高齢者団体連盟(IFA)国際事業部長
グレッグ・ショー (Mr. Greg Shaw)
・メキシコ国立老年医学研究所長
ルイス・ミゲル・グティエレズ・ロブレド (Dr. Luis Miguel Gutierrez-Robledo)
・リエージュ大学教授
ジャン・イーブ・レジンスター (Dr. Jean-Yves Reginster)
・アフリカ人口保健リサーチセンター
イザベラ・アボデリン (Dr. Isabella Aboderin)
等
エイジング・イン・プレイスを誰にとっても当たり前にする為に
どの方のどの講演や発表もとてもベーシックな内容でした。
実際のところ、地域包括ケアを重要政策としているフジノにとって『予想を上回るもの』はありませんでした。
どれもとても『基本的な概念』ばかりです。
でも、この普及こそが最も難しいポイントなのです。
専門家や現場の関係者は誰もが『エイジング・イン・プレイス』『健康長寿』『地域包括ケア』などの理想を当たり前として実現すべく、毎日その実践に向けてがんばっています。
けれども、それが本当に必要とされるご高齢の方々やご家族、さらにはご高齢になる前の30〜50代の若い世代の人々には、ほとんど浸透していないのではないか、と感じるのです。
フジノはすでに3年前の一般質問でも『エイジング・イン・プレイス』をテーマに質疑をした時、全く同じ感想を述べています。
一部の自覚的な方を除けば、エイジング・イン・プレイスなどの概念も知られていません。
2015年の今、その重要性はますます高くなっています。
- もっともっと伝えていくこと。
- 理解していただくこと。
- そして、健康長寿な超高齢社会を無事に乗り切れる政策を実現すること。
これらは、フジノたちこそやらねばならない仕事です。
その意味で、『黒岩知事の発信し続ける姿勢そのもの』は(まだまだ県民に浸透しているとは思えないけれど)大切なことだと感じます。
(『未病』という概念にこだわりすぎるのも、あまり意味が無いとも感じます)
『保健』『予防』『ヘルスケア』あるいはどんな単語を使っても良いのですが、2025年〜2050年の超少子・超高齢・多死社会を乗り越えていく為にはこうした取り組みをひとりひとりの個人が実践していかねばムリなのです。
けれども個人がいきなり生活様式(ライフスタイル)を変えることはできませんし、そこには政府をはじめとする政治行政と産学官民連携でのあらゆる取り組みによる支援が必要です。
改めて、自らの責務を深く痛感させられたシンポジウムでした。
後日談:10月22~23日に「未病サミット」が開かれました
10月22~23日に「未病サミット」が開かれました。
専門家のみが参加可能でフジノは行くこともできなかったのですが、とても関心がありました。
当日の様子を神奈川新聞が報じてくれました。