「第6回療養病床の在り方等に関する検討会」へ
7月15日に第1回がスタートした『療養病床の在り方等に関する検討会』ですが、早くも今日で6回目の開催となりました。
前回(第5回)で『新たな選択肢の骨格』について議論が行なわれました。
これを受けて今回は『たたき台(案)』が事務局(厚生労働省)から提案されました。
ただ、フジノからすると『新たな選択肢』と言いながらも
厚生労働省の『介護療養病床』を廃止したいという今までの主張を、単に『新たな選択肢』に置き換えただけではないか
という疑念がどうしても拭えずに今に至っています。
確かに『介護療養病床』には欠点と言うべきものがあります。
例えば、本当に多くの方々が長期間にわたって暮らし続けている『社会的入院』状態にあることや、実際には『看取り』までなされていること(死亡退院と呼びます。自宅への退院よりも死亡退院の方が多い)や、個人のプライバシーが守られにくい(尊厳ある暮らしとは言えない)現状があることなどです。
事務局案ではこうした点を改善できないかという提案もなされています。
けれども、フジノは思うのです。
そもそも多くの方々が『介護療養病床』で生涯を終えねばならないのは、何故か。
それは、終の棲家である『特別養護老人ホーム』で受け入れられるだけの介護人材を確保できていないからではないか。
本来ならば住み慣れた我が家に帰って最期を迎えたいと誰もが願っているけれども、訪問看護・訪問介護を十分に受けて自宅で暮らせるようなサービスを提供出来るだけの医療人材・介護人材が圧倒的に不足しているからではないか。
この根本的な問題を解決しないままに、『新たな選択肢』という名前の『別の施設』を作っても何も解決しないのではないかとフジノは考えているのです。
つまり、抜本的に『医療人材・介護人材を確保できる為の改革』を進めなければ『介護療養病床』を廃止しても何も解決できない、とフジノは考えざるをえません。
今日の『検討会』では、委員のみなさまからは『たたき台案』に対して「反対」の論調の声は特にありませんでした。
そのことがフジノには理解できませんでした。
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いち市議として、フジノは自分のまちでいろいろな取り組みを進めてきました。
例えば、『特別養護老人ホーム』において気管切開・経管栄養(胃ろう)をしている方々をもっと多く受け入れていかれるように、介護職員の方々に質の高い研修を受けていただいています。
また、『定期巡回・随時対応型訪問看護介護』サービスを提供できる事業所を増やしていく為の取り組みも進めてきました。
同時に、市と医師会との積極的な協力のおかげで、『在宅療養』を受けられる人数を増やす為の取り組みも進んできました。さらに現実に『在宅での看取り』の数もかなり増えてきました。
つまり、厚生労働省が指摘するような、病院を退院しても『特養』にも入れず『自宅』にも帰れない為に『介護療養病床』で死ぬまで暮らす人々が多い、という現実を改善する努力に務めてきました。
そして、『介護療養病床』には本来の目的を実施してもらえることを目指しているのです。
フジノは『介護療養病床』は必要な存在だと考えています。廃止すべきではないと考えています。
厚生労働省が示している『たたき台(案)』によって、本当に人々の『住まい』として『介護療養病床』が生まれ変われるのか、確信が持てないままだからです。
この議論はまもなく終わり、やがて2017年の法改正につなげるのだと言われています。
本当にそれで良いのか、今日の検討会の傍聴を終えてもフジノの疑問は消えないままでした。
後日談:4時間後には日経新聞に記事がアップされました。早い!
長期入院病院の転換先、2つの新モデル提示 厚労省
厚生労働省は25日の検討会で、長期入院の高齢者向けベッド(療養病床)を持つ病院の転換先として、2つの新たな施設のモデルを示した。
医師が常駐して必要な治療を施せる医療型の施設や、医療機関と併設する住宅型施設を創設する。既存の介護施設も含めて、転換先を病院自ら決めてもらう。医療サービスを必要な人に絞り込む。
年明けにも議論をまとめる。同省の社会保障審議会医療部会や介護保険部会で施設基準や介護保険と医療保険のどちらを適用するかを詰める。2017年の通常国会に関連法の改正案を出す。
長期入院ベッドは、治療の必要性が乏しいのに、介護施設が見つからなかったり、家族が介護できなかったりして利用する高齢者も多い。医療費が膨らむ一因となっていることから、一部は17年度末で廃止して、他の施設に移行することになっている。
施設案は医療を提供できる介護施設や、医療機関に隣接するサービス付き高齢者住宅のような施設を想定しているもようだ。この日の検討会では施設案に対して目立った反対は無かったが、「所得が低い利用者の負担に配慮してほしい」といった声が出た。