厚生労働省「これからの精神保健医療福祉のあり方に関する検討会」へ
今日は、新年に入って初めて厚生労働省に向かいました。
『第1回これからの精神保健医療福祉のあり方に関する検討会』が開かれました。
この『検討会』はとても重要です。
2013年に『精神保健福祉法』が改正された時に、以下の『検討規定』が盛り込まれました。
附則第8条・検討規定
政府は、この法律の施行後3年を目途として、新法の施行の状況並びに精神保健及び精神障害者の福祉を取り巻く環境の変化を勘案し、医療保護入院における移送及び入院の手続の在り方、医療保護入院者の退院による地域における生活への移行を促進するための措置の在り方並びに精神科病院に係る入院中の処遇、退院等に関する精神障害者の意思決定及び意思の表明についての支援の在り方について検討を加え、必要があると認めるときは、その結果に基づいて所要の措置を講ずるものとする。
つまり、2017年までにいくつかのテーマを議論した上で精神保健福祉法を改正しなければならないのです。
その議論をする場が、この『検討会』なのです。
「今後のスケジュール」と2つの「分科会」
今日は第1回ということもあり、実質的な議論はありませんでした。
座長(樋口輝彦さん)と座長代理(山本輝之さん)を選び、今後の進め方とスケジュールが報告されました。
第2回は当事者団体・関係団体からヒアリングを行ない、第3回以降は2つの『分科会』に分かれて議論をスタート。議論がある程度まとまったところで、再びこの全体会でとりまとめ、夏頃に終える、とのスケジュールが示されました。
2つの『分科会』と議論する予定のテーマは下の通りです。
- 医療保護入院等のあり方分科会(仮称)
- 医療保護入院における移送及び入院の手続等の在り方
- 医療保護入院者の退院を促進するための措置の在り方
- 入院中の処遇、退院等に関する精神障害者の意思決定及び意思の表明の支援の在り方
- その他
- 新たな地域精神保健医療体制のあり方分科会(仮称)
- 精神病床のさらなる機能分化
- 精神障害者を地域で支える医療の在り方
- 精神疾患に係る医療体制の在り方
- その他
これらの説明や報告が行なわれた後は、検討会メンバー30人が自由に意見を述べ合いました。
今度こそ議論を反映した「法改正」を行なうべきだ
メンバーには、フジノの知人も複数加わっています。
充実した議論になることを心から願っています(なるはずです)。
そして、厚生労働省と政府は、今度こそ日本の精神保健医療福祉の改革を本当に前に進めてほしいと思います。
「今度こそ」と書いたのは、実はこうした『検討会』が開かれたのは初めてではないからです。何度も名前を変えて繰り返されてきました。
もちろん毎回、議論がしっかりとなされ、改革に向けた提言が記された報告書が作られてきました。
しかし、その提言が法改正にきちんと反映されてきませんでした。
前回2013年の精神保健福祉法改正も、そうでした。
こうした過去の経緯があるので、
「今回もまた長時間かけて議論と報告書作りだけで、どうせ改革は実現しないのではないか」
と邪推してしまうのです。
例えば、100年以上続いた『保護者制度』の廃止が報告書では求められました。
しかし、実際の2013年精神保健福祉法改正では『名前』だけ保護者制度は廃止されましたが、実質的には保護者制度と変わらない『現実』が今も存在しています。
議論をして改革を求める報告書が作られても、それが法改正につながらなかったのです。
これでは何の為の審議会なのか?
強い怒りと、深い悲しみを感じたことを憶えています。
特に、『医療保護入院』と名付けられた『強制的な隔離・収容』が日本では法律で認められています。
精神疾患以外の病気において、合理的な理由が無いまま、個人の人権がないがしろにされ、自由が奪われることはありません。
まさに異常事態が放置され続けているのです。
その他にも、『障害者権利条約』を批准しておきながら放置されたままの問題はいくつもあります。
人が人として当たり前に生きて暮らせる社会は、いまだ精神保健医療福祉においては全く実現していません。
特に精神科医療は、本当に医療なのか。
市民の方からのお話を聴く中で、その疑問を感じる瞬間が今もたびたびフジノはあります。
そうした問題を一刻も早く正さねばならない。
その為の議論、その為の法改正にしなければなりません。
今日始まった『検討会』ですが、過大な期待は持たず、けれども絶望せずに、注視していきたいです。