「地域包括ケアの事業マネジメントを考える」最終回
今日は、東京・青山の『国際医療福祉大学大学院』へ向かいました。
15回にわたる『地域包括ケアの事業マネジメントを考える』(中村秀一教授と堀田聰子教授)も、早いもので最終回となりました。
フジノはこの数年間、地域包括ケアについてかなり学んできました。
それでも今回の講義シリーズを聴講して
「横須賀での地域包括ケアの実現の為に、学ぶべきことはまだまだ終わりがない」
と改めて感じさせられました。横須賀の取り組みに全国の好事例をどんどん持ち帰るのがフジノの仕事です。
今夜も素晴らしい実践を学びました。
今夜の講師は、『社会福祉法人こうほうえん』の理事長である廣江研さんです。
「社会福祉法人の経営の質」を徹底的に高めてきた廣江研さん
廣江研さんは、鳥取と東京で福祉事業を営む社会福祉法人の理事長です。
2000人規模の大きな社会福祉法人です。
こどもから高齢の方まで全ての人々を対象に、生まれてから保育〜看取りまで行なうその取り組みは、『地域』からも『社会福祉業界』からも高い評価を受けています。
しかし、廣江さんの取り組みへの評価はそれだけにとどまりません。
むしろ、経済産業省や『公益財団法人日本生産性本部』などの経済界からも高く評価されていることに特色があります。
何故ならば、徹底して『介護サービスの質』を高める為に絶え間なき組織改革を続けてきたからです。
ここまで徹底した例をフジノは他に知りません。
2001年9月、福祉業界初となる法人全体での『ISO9001』を取得しておられるように、経営の観点を全面的に導入した法人経営を行なっている姿勢が高く評価されているのです。
2010年には、『サービス産業生産性協議会』から『ハイ・サービス日本300選』に選ばれました。
第9回の受賞対象として『介護・福祉の領域』で選ばれたのですが、この『300選』で社会福祉法人が受賞したのは『こうほうえん』が初めてでした。
2013年には経済産業省から全国の社会福祉法人で唯一『おもてなし企業経営選』に選ばれました。
2014年度には『日本経営品質賞』を受賞しました。
ここで絶対に誤解していただきたくないのは、経営改革・組織改革というと単なる効率性重視や利益重視に受け止められてしまいがちですが、『こうほうえん』は全く違います。
常に『介護の質』を高める為に、組織全体としてとにかくひたすら改革を続けてきた、そのことが『こうほうえん』の最大の特徴だと評価されています。
- おむつゼロ
- 身体拘束ゼロ
などは、15年近い実践の積み重ねがあります。
フジノの父は植物状態だったこともあり、12年間の闘病生活中は常におむつを着用していました。そうした現実と比べると、『こうほうえん』のすごさは身にしみて分かります。
また、フジノがこれまでたくさん見学してきた特別養護老人ホームや介護老人保健施設などと『こうほうえん』が違うところは、『職員の方々が小走りにならない』という点が象徴的かもしれません。
これは、なかなかできないことです。
2000人規模の法人ですが、『こうほうえん』は『人財』こそ命と捉えて、離職も極めて低く、イノベーションも常に起こっている様子が感じられました。
ただ、講義では1時間半しかありませんのでエッセンスしか分かりませんでした。
フジノは介護人材・福祉人材・医療人材の不足(離職)に常に答えを求め続けてきました。
「人材不足なんて『こうほうえん』では起こさないし起こらない」とおっしゃる、廣江理事長の経験に裏付けられた自信たっぷりの語り口をもっと学びたいと思いました。
『こうほうえん』に2年以上かけて取材した井上邦彦さん(ライター)のルポが出版されているので、後日必ず読むことに決めました。
(*後日追記:購入してすぐに読み終えました。『こうほうえん』の取り組みがさらによく理解できました。本当におすすめです)
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こうして、半年間の講義が終わりました。
今回は単に『地域包括ケア』の成功事例にとどまらず、事業マネジメントに革新的な取り組みを行なっている法人・地域の事例をたくさん学ばせて頂きました。
ここでの学びはは、必ず横須賀の地域包括ケアの実現に向けて活かしていきます。
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中村先生、堀田先生、半年間ありがとうございました。