横須賀の「条例」と「プラン」に「性的な多様性の観点」が盛り込まれていない現状を変える為に
横須賀市には『男女共同参画推進条例』という条例があります。
『誰もが性別にかかわらず個人として尊重され、あらゆる分野における活動に男女が協力し、互いに個性と能力を発揮し、その利益を享受できる社会を実現する為』に制定したものです。
この条例を実現する為に具体的な道筋を定めたのが『男女共同参画プラン』です。
しかし、この条例とプランには『大きな欠点』があります。
性別は、男と女の2つだけではありません。
もはやそれは自明の理です。
したがって昨年12月議会において、フジノは下のように一般質問を切り出しました。
1.「性的な多様性」の存在を前提とした観点から男女共同参画推進条例」の見直しと「第5次男女共同参画プラン」策定の作業等を行なう必要性について
本市では『男女共同参画推進条例』の見直しと『男女共同参画プラン』の改定を定期的に行うことで、時代の流れに沿った理念と施策を盛り込んできました。
ただ、これまでは世の中には男性と女性の2つしか性別が存在しないという「男女二元論」の前提で『条例』も『プラン』も策定されてきました。
けれども、これまでも数年間にわたって市長と質疑を通して明らかにしてきたとおりで
そもそも性とは男女の2つだけではなく、多様性に富むものであることが現在では自明の理となっています。
現在の本市の『条例』と『プラン』では、現実に存在している性的マイノリティとされる方々の存在が全く触れられていません。
したがって今後の改定作業ではこの観点の導入が不可欠だと僕は考えています。
『条例』は定期的な見直しをしなければならないと附則に定められています。
『プラン』は5年ごとに新しく策定されます。
そして、まさに改定作業がスタートするところなのです。
フジノは『共生社会』の実現を目指す立場から、『性的な多様性の観点』に基づいた『条例』と『プラン』の全面的な見直しを強く訴えました。
「市民意識調査」に「性的な多様性の観点」を盛り込むと市長も答弁しました
『プラン』策定に先立って必ず『市民意識調査』を実施することになっているのですが、来年度(7月〜9月)に調査が実施される予定です。
この『市民意識調査』の結果は『プラン』に反映されるので、大変重要です!
そこで、12月議会の一般質問では、いくつもの提案をしました。
以下のように提案し、市長からも前向きな答弁を得ました。
フジノの質問
世田谷区と杉並区では性的マイノリティに関する認知の有無、人権侵害の有無など市民の意識を調査する為のアンケートを実施しました。
この結果報告書をじっくりと読んでみたのですが、区民の方々の意識の現状、さらに今後の課題が明らかになり、これから取り組みを進めていく上で両区にとって大変有効な調査だったのではないか、と僕は高く評価しています。
本市では『男女共同参画プラン』の策定に当たっては、毎回、あらかじめ「市民意識調査」を実施してきました。
この結果分析を『プラン』策定に反映させていることからも、大変に重要な調査だと受け止めてきました。
そこで、市長に伺います。
【質問】
来年度実施予定の『市民意識調査』では、従来の「男女共同参画」に関する設問だけではなく、「多様な性が存在する現実を反映したプラン」とする為にも「性的な多様性」に関する情報提供と意識調査を行なうべきではないでしょうか。
お答え下さい。
市長の答弁
次に、『男女共同参画プラン』の策定にあたっての『市民意識調査』において、性的な多様性に関する情報提供と意識調査を行なうべきではないかとのご質問を頂きました。
『性的な多様性』が認められつつある中、行政の取り組みも今後様々な性の在り方を意識して進めていく必要があると認識しています。
『性的な多様性』に関する情報提供についてはすでに取り組みを始めているところです。
今後『男女共同参画における市民意識調査』においても、『性的な多様性』に関する設問を加えることについて『審議会』の意見等を踏まえ、検討してきたいと考えています。
【一問一答でのやりとり】
フジノの質問
では続いて、『市民意識調査』について1点伺います。
『杉並区政モニターアンケート』および世田谷区が実施した『男女共同参画に関する区民意識実態調査の報告書』は読んでいただけたでしょうか?
市長の答弁
全部は読んでいませんが、ある程度の質問内容は押さえています。
フジノの質問
市長からすでに「次回の『市民意識調査』の設問については検討していきたい」と前向きなご答弁を頂いていますが、これら両方の調査をみると、かなりいろんな事が見えてきたと思うんです。
横須賀市においてもこれを僕が「絶対にやるべきだ」というふうに考えるのは、横須賀市が横須賀市なりに出来る範囲で一生懸命やってきたこれまでの約8年近くのいわゆる性的マイノリティとされる方々への支援がどの程度市民のみなさまに浸透しているか、客観的に知る良いチャンスだと思うんですね。
言うならば、「初めての『性的マイノリティに関する施策の行政評価』が『市民アンケート』で初めて成される」という位置付けにもなるのかな、というふうに思っていますので、ぜひこれは必ず加えていく方向で進めていただきたいというふうに思いますが、いかがでしょうか。
市長の答弁
言葉に対する認知度や、理解の進み具合というのが把握できるような設問は用意したいと思います。
ここまでが昨年11月27日のブログ記事で報告したことのおさらいです。
本日「男女共同参画審議会」が開かれて、新たな『プラン』作りがスタートしました!
ここからが今日、市民のみなさまにお伝えしたい『新しい報告』です。
『プラン』策定を議論する為の『男女共同参画審議会』が今日、開催されました。
『プラン』の策定は、このスケジュール案に沿って進められていきます。
2つの審議事項が示されました。
今回の市民意識調査は、『市民』『市職員』『自治会・町内会長』『高校生』『市内事業所』の5つを対象に実施します。
対象 | 市民 | 市職員 | 自治会 町内会 |
高校生 | 市内 事業所 |
---|---|---|---|---|---|
対象者数 | 3000人 | 600人 | 365団体 | 1000人 | 700社 |
「性的マイノリティに関する設問」が新たに加わったアンケートの骨子案が示されました
アンケートの骨子案が示されました。
やりました。
まさにフジノが12月議会で提案した通りの方向性が示されました!
次に「市職員」を対象にしたアンケートの骨子です。
次に「町内会・自治会」を対象にしたアンケートの骨子です。
次に「高校生」を対象にしたアンケートの骨子です。
次に「事業所」を対象にしたアンケートの骨子です。
大いに議論が起こりました。そして、フジノの提案を超える意見も出ました!
骨子案をもとに議論がスタートしました。
口火を切ったのは、金井淑子委員(元・立正大学教授)です。我が国のフェミニスト研究をリードしてこられた第一人者です。性的な多様性に関しても詳しい方です。
「私は『性的マイノリティ』に関する設問を入れることには賛成ですが、大変デリケートな問題です。他の委員のみなさまは『時期尚早』だとお感じになりませんか?」
これに対して野坂孝子委員(国際ソロプチミスト横須賀・会長)が
「私は大賛成です。世間でもやっと大きく取り上げられるようになってきた今、大きな意義があると思います」
とお答えになりました。
高橋恭子委員(神奈川県立保健福祉大学・教授)からも、強い賛成意見が出されました。
他の委員の賛同の声を受けて、傍聴席にいたフジノには、金井委員が笑顔になったように見えました。
そして、改めて金井委員から
「いわゆる『性的マイノリティ』について『市民意識調査』を設問に加えるには、まずこの審議会メンバーの正しい認識を共有しないといけません」
と、LGBTQに関するミニレクチャーが行なわれました。
その後に出された意見は、建設的なものばかりでした。
- 今回事務局が提出した骨子案では、5つの市民意識調査のうち、市民を対象にした調査だけに『性的マイノリティ』に関する設問が記されている。何故、他の対象の調査に入れないのか?
- 『性自認』が起こるのは早い子は小学校低学年であり、『性的マイノリティ』に関する設問は絶対に高校生向けの調査にも入れるべきではないか?
- 5つのどの調査にも、性別を問う設問がある。しかし「男」「女」しか選択肢が無い。性的マイノリティに関する設問を加えるならば、そもそも性別を問う設問を男女だけにするのはおかしくないか?
その他にも様々な積極的意見が交わされました。
やはり提案して良かった。フジノは意を強くしました。
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6月に、次回の男女共同参画審議会が開かれます。
ここでは今日の議論をもとに、具体的な設問が決定されることになります。
今後の男女共同参画審議会の動きに大いに期待したいと思います!