ずっと訴えてきた「米軍人との離婚によるひとり親の支援」
横須賀には米軍基地があって、常に数千人のアメリカ人がこのまちに暮らしています。
人と人とが出会えば、恋愛もするし結婚もするしこどもも生まれます。
そして、離婚もします。
ただし、日本人同士の夫婦とは違って、異なる歴史や文化の背景を持つもの同士が離婚・離別する場合、多くの場合に大きなトラブルが起こりうる...。
その結果、フジノが訴えてきたように「米軍人等との離婚・離別によって泣き寝入りに追い込まれているひとり親」が多数存在しており、「その生活の厳しさを救済する公的な組織の立ち上げが必要」なのです。
こうして市議会において、質疑を繰り返し行なってきました。
米軍人との離婚によるひとり親の困難解消を目指した、これまでのフジノの質疑
- 2014年12月議会・生活環境常任委員会での質疑
米軍人との離婚の大変さ、離婚後の生活の厳しさを救済する公的組織の立ち上げ - 2015年予算議会・本会議での質疑
米軍人・元米軍人との離婚・離別で泣き寝入りに追い込まれているひとり親世帯への支援の必要性について - 2015年6月議会・本会議での質疑
米軍人等との離婚・離別をはじめとする、国際離婚・離別のひとり親・プレひとり親家庭に対して、本市は積極的な情報提供と支援をしていくべきではないか
2回の質疑を終えた後、ようやく行政が一歩動き出しました。
その経過報告が下の文書です。
2回にわたって開催された庁内会議(部長・課長クラス、課長・係長クラス)の結果は、こんなものでした。
- 米軍人との離婚によるひとり親だけを対象とした支援は現実的でない
- 今後、相談を受けた際に円滑に対応ができるよう情報を整理・共有する
- 必要に応じて、随時、協議の場をを開いて対応を合わせる
「こんな結論では、実際に苦しんでいるたくさんのひとり親の方々が救われない」とフジノは考えました。
そこで昨年6月議会において、3度目の質疑をあえて行ないました。
それから半年間、表立った動きは何もありませんでした。
当事者団体「よこすかひとり親サポーターズひまわり」と、市の基地対策課・市民生活課・こども青少年給付課の意見交換が行なわれました
しかし、今年に入ってすぐ、ようやく1つの大きな動きがありました。
2016年1月7日、なんと
- 政策推進部 基地対策課
- 市民部 市民生活課
- こども育成部 こども青少年給付課
と
『よこすかひとり親サポーターズひまわり』との意見交換が開催されたのです。
実はこれ、横須賀市政始まって以来、初めてのことです。
こども家庭福祉部門と、基地対策部門と、市民相談部門が一堂に会して、ひとり親当事者団体と意見交換を行なったのは、本当に初めてで画期的な出来事です。
ようやく動き出しました!
本日、フジノは基地対策課とこども青少年給付課に対してヒアリングを行ない、議事録を資料請求しました。
その議事録が下の通りです。
「米軍人との離婚によるひとり親」議事概要
- 日時:平成28年1月7日(木)15時~17時
- 場所:市役所301会議室
- 出席者:
- 『よこすかひとり親サボーターズひまわり』Aさん(事務局長)、所属会員1名
- 政策推進部基地対策課・B課長補佐
- 市民部市民生活課・C課長、D課長補佐
- こども育成部こども青少年給付課・E課長、F係長
- 議事概要
市民生活課C課長とこども青少年給付課・E課長は、冒頭でA事務局長とあいさつを交わしたのち退席し、あとは実務者同士で行われた。
① ひまわりが把握する現状の課題- 離婚時、相手やリーガルサポートから言われるままに横須賀で離婚合意書を作成したものの、州のファミリーサポートセンターでは米国の裁判所で作成されたものでないと有効ではないため、養育費をもらうことができない。
- 「児童扶養手当は離婚をしていないと受給できないから」と、養育費の手続きが完了する前に安易に国内で離婚をしてしまう。
- リーガルサポートは米軍人とその家族をサポートすることを目的としている為、離婚後は家族ではなくなってしまうことから、サポートが受けられなくなってしまう例が見受けられる。
- 米軍人と離婚後に、米国の各州法に合致した養育費を確保する手続きに詳しい弁護士がいない。
② ひまわりから横須賀市への希望- 離婚後に養育費について確保する手続きをすることは困難だが、離婚前であれば養育費を受け取れるよう取り決めがしやすいので、それまでは安易に離婚をしないこと、また米国の裁判所による離婚合意書でないと州のファミリーサポートセンターで有効ではないこと、夫の行方を追うためにSocialNo.を控えることなどを対象者にアナウンスしてほしい。
- 先々でよいが、養育費を受け取るための手続きに必要な資金(裁判所への手続きや弁護士に相談するなどの費用など)を貸付する制度を検討してもらいたい。
- 米国は養育費について厳しく、さらに相手が軍人であることから、養育費をもらえるようになる可能性は十分あるため、返納できると思う。
- 基地のリーガルオフィスの関係者に、離婚前に養育費について手続きをするよう対象者に促してほしい。
- 『ひまわり』とリーガルオフィスの関係者との対話の場を設けてもらいたい。
- 英語が読めれば離婚についての手続きができる場合があるが、米軍人と離婚をする人の多くは英語力が不十分であるため自分では手続きできずにいるので、英語力を持った者のサポートがほしい。
③ 市側の発言- 離婚後に相談に来る傾向が強く、離婚前に相談に来る人は少ないが、もし離婚前に相談があれば、きちんと養育費を含めた手続きをしてからの方がよいと案内することは可能だが、その聞の生活が保障されるケースは至極まれではないか。
- 貸付については扶助費の削減にもつながるとは思うが、養育費をもらえないことになってしまった場合は、貸付金によりさらに本人の生活を困窮させてしまう恐れがあり、慎重に検討した方がよいと考える。
- 『ひまわり』とリーガルオフィスの関係者との対話の場を設けることは難しい。
- 水際で食い止める目的で、横須賀基地で行っている教育プログラム等何らかの方法により、独身の米軍人に、米軍人との離婚後に養育費の確保等の問題で困っている人がいることをアナウンスできる機会がないか考えてみたい。
- 言語面についてのサポートは、『国際交流協会』などに相談をしてみてはどうか。
この意見交換について、フジノの評価は『保留』です。
ヒアリングの際に、基地対策課長もこども青少年給付課長も「この意見交換を1回で終わらせるつもりはありません。今後も継続していきます」と強調してくれました。
この1回目の意見交換は「単なる顔合わせでありスタートに過ぎない」とフジノは受け止めています。
まず、今後の動きをしっかりと見極めたいと思います。
フジノは今も米軍人等との離婚・離別に苦しむ方からの相談を受けています。
当事者団体である『よこすかひとり親サポーターズひまわり』も本当に熱心に動いてくれています。
『横須賀市がやるべきこと・できること』はたくさんあります。
これからも具体的な提案をどんどん行なっていきます。