(前の記事から続いています)
館内の様子を写真で紹介します
では、続いて『館内』の様子を写真でご紹介いたします。
菊池寛さんの小説『不壊の愛』の中に、『婦人会館』の過去の様子が記されています。
(このボードは市民の方が寄贈して下さったものです)
不壊の愛
菊池 寛
「私は、数年来毎夏、湘南大津に避暑してゐる。
毎年定まって、同じ家を借りてゐる。
その家は庭が少しもないのだが、その家の二階から見下ろす隣家の庭が、芝生を一杯に植ゑた、西洋風の美しい庭園なので私はいつも、
『この家は、庭はちっともないが、お隣の庭を自分の家の庭だと思ってゐたら、それで間に合ふ。』
と、云ってゐる。
隣の邸は、三百坪ばかりの広い庭だのに、建物はごく小さく、わづかに四間か五間かの平屋が、庭の一隅に、小ぢんまりと建ってゐる丈だった。
しかし、それはそこに住んでゐる老人夫婦には、充分な広さであった。
夫婦は子無しであるらしく、夏海に行っても子や孫らしい家族は見かけなかった。
老人の姓は、松波謙介と云った。
もうすっかり白髪になってゐたが、雄偉と云ってもよい堂々たる体格であった。
老妻の方は小柄な上品なお婆さんで、目鼻の整った、若い時はどんなに可愛かったであろうと思はれる老女であった。」
こうして菊池寛さんにも愛されたのが、ここ『婦人会館』なのです。
横須賀市の所管になってからは、地域コミュニティの拠点として貸し館をしてきました。
囲碁や将棋をするグループ、裁縫やお花の教室など、いろいろな方々がここに集い、交流し、生きがいを見つけてきました。
まずは1階の様子です
それでは1階の様子です。
玄関から左側は、後年になって増築されたものです。
明治四十年からのオリジナルの建物は、玄関から右側の部分になります。
関東大震災、東日本大震災を乗り越えてきました。
最終日ということで職員のみなさんも片付けに忙しかったのですが、フジノがお邪魔すると手を休めていろいろなお話を聴かせて下さいました
毎日の出来事、東日本大震災の日、大吹雪の日など、様々な出来事を聴かせていただきました。いかに『婦人会館』が愛されてきたのかを改めて感じさせられました。
これまでずっと『婦人会館』を守って来て下さった職員のみなさまに対しても、「閉館・廃止を止められなくて申し訳ございませんでした」と深くお詫びをしてまいりました。
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