本日「コンボ」が厚生労働省へ要望書を提出しました
フジノが理事を務めている『認定NPO法人地域精神保健福祉機構(通称コンボ)』は、長年にわたって、抗精神病薬と突然死の問題に取り組んできました。
そして今日6月21日、厚生労働省に対して要望書を提出しました。
それは、
抗精神病薬ゼプリオンの利用者がなんと85人も亡くなっている問題について
です。
記者会見も行ないました。
ゼプリオンとはどのようなクスリか
ゼプリオンは、『飲み薬』ではなくて『注射』です。
精神科医療だけではなく、あらゆる慢性疾患の世界では、毎日服み続けなければならないクスリのわずらわしさや服み忘れによる危険性を避ける為に、効果が長く続く注射をするタイプのクスリが開発されてきました。
4週間に1回注射をする、という治療スケジュールです。
ゼプリオンは、2013年11月にヤンセンファーマ社から発売されました。
「1回注射をうつと、約1か月間その効果が持続する」という抗精神病薬です。
「コンボ」は常にクスリのチェックを行なっています
『コンボ』は、いろいろなクスリについて常にチェックを行なっています。
例えば、『医薬品医療機器総合機構(通称PMDA)』のホームページを使えば、公開されている副作用の報告書を読むことができます。
リカバリーを目指す『コンボ』の大切な取り組みの1つです。
ゼプリオン発売から4ヶ月半で死亡17名、厚生労働省も「ブルーレター」発出を指示しました
さて、このゼプリオンについてです。
発売からわずか4か月半の2014年4月時点で、なんと死亡者数が17人になっていることが分かりました。
その為、2014年4月17日、厚生労働省はヤンセンファーマ社に対して『安全性速報』(ブルーレター)を出すよう指示しました。
下が実際に出された『ブルーレター』です。
そして、亡くなられた14名の方々についての情報も公開されました。
つまり、監督官庁である厚生労働省・発売元であるヤンセンファーマ社をはじめ、ゼプリオンを使用する精神科医はみな特に注意して使用しなければならないクスリだと注意喚起がなされたのです。
「ブルーレター」が出されてから2年、死亡者は6倍に増えていました!
『コンボ』は、ゼプリオンについても定期的なチェックを続けてきました。
その結果、昨年2016年5月31日時点で、死亡者数がなんと83人へ増加し続けていることが分かりました。
6月中旬頃には、死亡者数は85人になったことも分かりました。
『ブルーレター』が出されたにもかかわらず、2年間で6倍もの死亡者が出てしまったことになります。
『コンボ』として、これ以上、亡くなってしまう方が増えないように本日、要望書を提出することにいたしました。
厚生労働省への要望項目は5つです
要望項目は下のとおりです。
- ゼプリオンは他の抗精神病薬に比べて、死亡者数が突出して多いのは何故なのか明らかにしてください。
- ゼプリオンの使用全例の調査をして下さい。
- 類似の成分であるインヴェガとコンスタ及び、ゼプリオンと同じ抗精神病薬の持続性の注射剤と比較してこのような差が出るのは何故なのか明らかにして下さい。
- 安全性速報(ブルーレター)が出されているにもかかわらず、現在に至るまで改善が見られないのは何故なのか明らかにして下さい。
- これ以上、死亡者が他剤と比較して著しく増えないように、日本精神神経学会等の専門家と共に使用している当事者や利害関係のない第三者を含めた外部委員会の設置、使用状況を把握するための使用者全員の調査等、当該企業に対して少しでも死亡者数を減らせるような対策を講じるよう指導して頂き、且つ適切な行政としての対策を取って下さい。
この要望書の根拠はいくつもあります。
例えば、似ているクスリと比べたデータがあります。
ゼプリオンの死亡者数は飛び抜けています。
また、『薬剤別月別死亡者数』、『4剤の発売日から同期間の死亡者数比較』もご覧下さい。
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ゼプリオンと死亡者数の多さの問題については、読売新聞医療部記者の佐藤光展記者も報じてくれています。こちらもぜひご覧下さい。
厚生労働省がしっかりとした対応を取ることを強く要望します。