あなたにも「盆踊りの既成概念」ってありますよね
親しい知人から、『大船観音発酵夏祭り』の存在を教えて頂きました。
その方から
「フジノさん、私は昨年参加してみて『盆踊りの既成概念』が破られました」
と言われて、ものすごく関心を持ちました。
『日本三大盆踊り』や『日本三大祭り』を開催している有名なまちで生まれ育った方で無ければ、つまり、フジノのようにふつうのまちで生まれ育った人ならば、
みんながぼんやりと
「『盆踊り』ってだいたいこんな感じだよね」
というイメージ=『既成概念』があると思います。
例えば(これはあくまでもフジノの例えばです)・・・
『盆踊りの既成概念』ってこんな感じ?
- 夏が来ると『こども会』のこどもたちのよる手書きのポスターが電信柱に貼られるようになって、町内会の回覧板で回ってきて『盆踊り』の日程を知る。
- 町内会の役員の人たち(友達のお母さんたち)が、夜店の担当(焼きそばや焼き鳥の販売など)をやってくれてる。
- 小学校のこどもたちも中学校のこどもたちも学校から「なるべく盆踊りに参加しましょうね」と言われて、踊りに参加するとお菓子がふるまわれる。
- やぐらの一番奥の輪で、浴衣姿で本気で踊ってくれているのは、地域のご高齢の方々だけだったりする。
- 以前は大きなやぐらに踊る人の輪も二重三重になっていたのが、人口が減って、やぐらの規模も少しずつ小さくなっている。
そうした既成概念を打ち破った夏祭りとはどんなだろうか。
しかしインターネット上を検索しても、ほとんど情報はありません。
昨年開催時のFacebookページと、動画1本と、参加した方の感想が記されたいくつかのブログだけしか発見できませんでした。
Facebookページには、これしか詳細が書いてありません。
菌も人も発酵するおまつりを開催します。
13時開場
発酵ワークショップや発酵屋台
子ども縁日 など
17時半〜生唄生バンドによる盆踊り大会を予定してます(20時終了)☆
☆平日ですが皆様のおこしをお待ちしております☆
『詳細』じゃないですよね(苦笑)
1分半の動画だけじゃ分からないから、現場に行くことにしました!
昨年(第1回)の様子を、平野隆章さんが撮影して動画を公開しておられます。
2015年8月5日 大船観音 発酵夏祭 盆踊り from Takaaki Hirano on Vimeo.
これを観る限り、生演奏をバックにこどもから大人までガンガン踊りまくっている、という様子が感じられます。
でも、『既成概念』が打ち破られるまではいきませんでした。
「実物を体験しなければ分からない」と感じたフジノは、今夜、大船に行ってきました。
大船観音発酵夏祭2016へ
JR横須賀線を使うことの多い横須賀市民にとって、大船駅が近づくにつれて見えてくる大船観音様はとても日常的な光景ではないでしょうか。
でも、丘の上の観音様までは幼い頃にのぼったきり。
フジノが大人になってから登ったのはたった1回、2年半前のことでした。
大船駅改札を出ると案内板があるのでそれに従って歩くと、すぐに観音寺へ登る坂の入り口に到着します。
急な上り坂ですが、音楽も聴こえてきて心が高鳴ります。
さあ、到着しました!
スタッフをしている友人とも合流できたので、さっそく案内していただきました。
縁日エリアはものすごい人出でした。横須賀から出店も!
下のタイムスケジュールにそって、あらゆる場所でイベントが行なわれています。
メイン会場は、観音様の前(ここで踊りまくるようです)と、たくさんのお店が出ている縁日エリアと発酵ブースです。
それにしても縁日エリアは混んでました!
広くて2ヶ所に分かれていたのですが、
嬉しかったのは、横須賀からも出店があったことです!
- SHOKU−YABO(もはや説明するまでもない超有名な芦名のカフェ)
- 野ざらし荘(坂本の階段の上に今年新たにできたギャラリーです)
フジノは『野ざらし荘』のお店で、しそジュースと野菜丼をいただきました。
どのお店も個性的。しかも販売している方も買う方もめちゃくちゃ楽しそう。
確かに、町内会の役員が毎年順番で受け持って行っている夜店とは、かなり違います。
もっともっと観ていたかったのですがキリが無いので(本当にそれぞれのお店に個性があるので見ていると時間が足りません)、足早に観音様に向かいました。
観音様の中へ
階段をのぼると観音様が佇んでいました。
盆踊りの第一部が終わると、人々はそれぞれに談笑をしたり、こどもたちは駆けまわったり、楽しそうにしていました。獅子舞のようなお神輿もやってきました。
お味噌をつくっているグループの方々が、観音様の体内でお味噌を熟成させています。観音寺さんの懐の深さも素敵ですが、ここで作られたお味噌はきっと美味しいでしょうね〜。
お味噌の瓶は見られなかったのですが、中でいろいろなお話を伺うことができました。
今日はここで読経も行なわれたそうです。
観音様の前で誰もが踊り狂っていました
観音様を出ると、日が落ちていました。
第2部の盆踊りを前に、少しずつ人々が縁日エリアなどから戻ってきました。
発酵盆踊りの第2部スタートです!
炭坑節もバンドの生演奏、サックスも入っているのですが全く違和感なし。ワクワクします!
その様子をツイキャスで動画中継してみました。
ここでフジノのスマホのバッテリーが切れそうだったので中継をやめてしまったのですが、本当にすごかったのはここからでした!
踊る人々がみんな本気なのです。
「誰もが心の底から踊りたくて踊っている」
と感じました。
その様子は日本の盆踊りというよりもブラジルのサンバのようでした。まさに「熱狂的」という表現がピッタリだと感じました。
ここにいるのが若者だけだったら、
「『クラブ』みたいだ」
と感じたかもしれません。でも、そう感じなかったのは、こどもから若者から大人から高齢の方までみんなが楽しそうに踊り狂っていることです。
こどもも大人も浴衣姿の人が多いのですが、仕事帰りのワイシャツ姿で踊っている大人もたくさんいました。
誰もが踊れるように、事前に17時から踊りの教室も行なわれていました。だから、みんなが踊れる訳ですね。
しかし、フジノがふだんこんな熱気に満ちた光景を観るのは、アーティストのライブぐらいでしょうか。
でも、ライブはそのバンドなりアーティストを好きな人だけの集団です。ここにいるのは、バラバラな人たちです。年齢もカンケーありません。
すごいな。
これは本当にすごいなあ、と思いました。
「こんな夏祭りが日本中に広がったらいいな」と願いました
確かに友人が紹介してくれたように
「去年参加してみて、『盆踊りの既成概念』を打ち破られた」
という言葉の意味がとてもよく分かりました。
でも、1時間踊りを観ながらフジノは考えていました。
本当は、これこそが『盆踊りの原点』なのではないだろうか、と。
誰もが踊りたい。歌いたい。楽しみたい。
お仕着せじゃない。町内会の順番だから参加させられているんじゃない。お菓子がもらえるから踊らされているのではない。
ここにいる誰もが、ここにいたいからいるのだ。参加したいから、参加しているのだ。踊りたいから、踊っているのだ。
フジノは42才の青二才なので、盆踊りが発祥した遠い過去の日々の歴史を学んだことはありません。
けれどもきっと、もっと原始的な欲求に突き動かされるように人々は踊って楽しんで、そして、亡くなった身近な大切な人たち(やご先祖さま)のことを想ったのではないだろうか。
主催をしてくれた方々と少しだけお話することができました。
過去を否定することもなく、町内会型の夏祭りを否定することも決して無く、温故知新ともいうべき想いを語ってくれました。
自分たちだけのやり方が正しいと考えてはおらず、いろいろな立場の人・いろいろな年齢の人々と協力しあいながら作っていっている、とのことでした。
とても素晴らしいことだと感じました。
自分の暮らすまちでも、いや日本全国でこういうお祭りが広がったらいいなと感じました。
来年、ぜひ関東近辺にお住まいの方は『大船観音発酵夏祭』に足を運んでみてください。本気でオススメです!