予算決算常任委員会全体会でフジノは代表監査委員に質疑を行ないました
本会議が終わった後、続けて『予算決算常任委員会・全体会』が開かれました。
決算審査のスタートです。
まず会計管理者からの説明が行なわれて、続いて代表監査委員から『決算審査意見書』等について説明がありました。
フジノはここで『横須賀市による市民病院(指定管理者=地域医療振興協会)に対する貸付』に関して、問題提起を行ないました。
なんと議会のチェックが全くできない方法で、現在まで7年にわたって(決算は前年度のものなので6年間と表現します)『無担保』で8.5億円〜12億円も貸付を行なってきたのです。
議会はノーチェック(チェックしようがない)、市民のみなさまの税金が損なわれかねないハイリスクな状態です。
この横須賀市の手法は極めて問題で、絶対に改善が必要です。
以下に、代表監査委員に行なったフジノの質問です。
予算決算常任委員会・全体会での質疑
フジノの質問
病院事業会計について数点伺います。よろしくお願い致します。
『病院事業決算書』の26ページをお願い致します。26ページは、バランスシートの『注記』にあたります。
『注記』5番の『その他の注記』において、『病院間資金融通の処理方法』について記載がなされています。
市民病院およびうわまち病院間の資金融通は病院事業会計内での融通である為、病院間融通消去として資産・負債から相殺・消去されています。
この病院間資金融通が消去されていると、本来の単一の病院の経営状況が見えないのでは無いか、というふうに受け止めました。
監査にあたっては、元データもチェックすることはできたのでしょうか。
代表監査委員の答弁
『資金融通』につきましては、原局の方から説明を受けておりますし、『例月出納検査』の方でもそのような説明を受けておりますので、内容としては把握しておりましたが、記載としてはこのような形で、従来からやっておりましたものですからこ、のような形を踏襲させていただいておるということでございます。
フジノの質問
実際には両病院間でどの程度の規模の資金融通がなされていたか、教えて頂けたらと思います。
代表監査委員の答弁
2億5000万円と承知しております。
フジノの質問
ありがとうございます。
続いて、『横須賀市地方公営企業決算審査意見書』の105ページをお願い致します。
同じく『病院事業会計』について、特に市民病院について伺います。
具体的な記述としては、市民病院に対して、本市が短期資金の貸付を12億円行なっている。この点について伺います。
所管の常任委員会に所属をしておりまして毎年予算書・決算書を観てきたのですが、お恥ずかしながら短期貸付12億もしていることに今回初めて審査意見で気付きました。
この『短期貸付』については、監査委員のみなさんも問題視をされていて『審査意見』にも記載をされています。
まず質問としては、年度内に返還をしてしまっているのでバランスシート上には一切表れてこない。
ただ、実質的には年度内に返還をしておいて、また翌年度に貸付をしている。これは『短期貸付』に見せかけた『長期貸付』、つまり『固定負債』なんではないか、というふうに受け止めるんですが。
あるいは『運営交付金』を市は出してないようにみせかけて実際には12億円も出している。つまり虚偽ではないかというふうに受け止めるんですが、監査委員はどのようにお考えでしょうか。
代表監査委員の答弁
この12億円につきましてですね、『運営交付金』として出しているというふうには理解はしておりません。
『運営交付金』は『運営交付金』の協定によって計算して交付したりしなかったりしているでしょうけれども、
確かについ先程、新聞で『短コロ』であるとかそういう表現でもって、言ってみれば『長期貸付金』が『短期貸付金』の形を取っている、とそういう記事がございました。
そういう意味では確かに年度内で貸して年度内で返してもらうという意味で、表面には出てこないけれど毎年、長い期間を見ればずっと12億円貸しているではないか、実質的な意味ではおっしゃるとおりでございますが、
これも地方公共団体の従来からの慣行としてずっと行なわれてきていると。
それについて特段、違法ということにはなっておりませんので、実質面から観るとおっしゃるとおり『長期貸付金』のような形になりますけれども、これをどうするのか、国・県・市町村の関係者が協議して、これからどういう処理が良いのかということが検討されるものだと思っております。
フジノの質問
率直なご意見をありがとうございます。
もし分かれば教えて頂きたいのですが、これは年度内に返還がなされているということなんですけれども、3月末日の1日前とかに返還をされて、BS(貸借対照表)に載らないようにしているのでしょうか。
代表監査委員の答弁
詳しい日時は私も承知しておりませんけれども、年度末ということでだいたい3月31日よりも前、1週間程度位ではないかと思っております。
フジノの質問
今のお答えを伺い、先程のご答弁を伺うと、昨今問題になっている実際のところは『固定負債』である『長期貸付』であるものを短期で借りていると見せかけて年度末近くに返済をしてまた年度当初に借り入れる。
実際には『運営交付金』が出ているのと変わりないんではないかというふうに感じられました。
「これはあってはならない」と部局に今後の審査では聴いていこうと思います。
代表監査委員にもう1点伺います。
『審査意見』において、このことの危険性について触れられていただいており、「安全性の確保について定めが無い」と。「協会との指定管理に係る協定に何らかの規定を付すべきではないか」というふうにおっしゃっていただいております。
これは、本市にとって安全性を確保する為にどのような規定が、例えば不動産や何らかの担保をつけよというような文言が望ましいのか。どのような協定に文言を付すべきというふうにお考えでしょうか。
この点を伺って質問を終わります。
代表監査委員の答弁
12億円という多額の金額でありますからその担保を求めたいという気持ちがありましてですね、このような表現をさせていただきました。
それは建物であるとか土地であるとかそういう物の担保を求めるのか、それとも預金に質権を設定するのかいろいろ方法はあると思いますが、私どもの方からこういう方法でと具体的に申し上げませんけれども、何らかの担保を取るべきだろうとこういう趣旨で表現をさせていただいたところであります。
フジノの質問
ありがとうございました。
質疑応答は以上です。
本当に残念なことなのですが、この問題は会計の知識が無いとなかなか分かりづらいのです。
もしかしたら市民のみなさまにとって、この問題の重要性が伝わらないかもしれません。
けれども、市民のみなさまからお預かりしている大切な税金が、12億円も失われる可能性がある重大な問題なのです。
横須賀市が取っている方法は「単コロ」による「赤字隠し」の可能性があります
フジノは会社員時代に財務部にいました。
決算書も作ってきましたし、監査法人による監査にも立ち会ってきました。
さらに、今回の質問にあたって、複数の公認会計士の方々(ひとりは企業の監査に精通している方、もうひとりは地方公営企業法の監査に精通している方)にアドバイスを求めましたが、やはり「不自然だと言わざるをえない」とのことでした。
フジノは、横須賀市によるこの会計処理は絶対にあってはならない、と考えています。
全国で「単コロ」は問題になっています
代表監査委員が答弁で教えてくれたように、ここ最近の新聞で大きく『単コロ』が問題として報じられていたようです。
さっそく帰って調べてみると、朝日新聞の調査記事が掲載されていました。
一夜貸し・単コロ…85自治体、会計操作2336億円
全国各地の自治体で、経営難に陥った出資法人などへの貸付金が回収できていないのに、翌年度の予算で穴埋めして返済されているように見せる会計操作が横行している。
朝日新聞が今年度予算を調べ、85自治体で総額約2336億円の処理が判明した。
操作を繰り返すことで貸付金を回収できないことによる財源不足が隠され、「つけ」が将来に回される形となる。
総務省は解消を求めている。
会計操作は「オーバーナイト」(一夜貸し)と「単コロ」(単年度転がし)と呼ばれる2通り。
総務省の調査に実施していると答えた自治体を朝日新聞が情報公開請求や取材で調べ、個別に額や事情を精査した。
出資法人は自治体が資金を出して運営されている地方公社や第三セクターで、公有地の取得やレジャー開発、中小企業への制度融資などを行っている。
オーバーナイトは出資法人などが金融機関から年度末に資金を借り、全額を自治体にいったん返済。翌年度に自治体が再び法人に資金を貸し、それをもとに銀行に返済する。3月31日から4月1日につなぎ資金として借りることが多く、利子もかかる。
北海道や神戸市など84自治体が計約1646億円を実施していた。
単コロは決算作業のために年度をまたいで資金の調整ができる「出納整理期間」(4〜5月)を利用。翌年度の財源を充てて、年度末に返済があったように処理する。岡山県が約411億円、北海道は約279億円を行っていた。
岡山県ではすでに2015年に取りやめています。
こうした不正会計捜査が全国で行なわれていることも許されません。
フジノとしてはまずこれからスタートする部局別審査で厳しく追及していきます。