教育福祉常任委員会で問題提起をしました
今日は、教育福祉常任委員会でした。
いつもながらフジノは持ち時間をフルに使って様々な質問を行ないました。
その中から
という質問を、ご紹介します。
残念な出来事が起こってしまった経緯について
何故この質問が大切なのか。
それは、とても残念な出来事が起こってしまったからです。
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約10年前に『性的な多様性の保障』に取り組み始めたフジノは、まず何よりも『こどもたちの心と命を守ること』を最優先に考えました。
そして、最も長い時間を過ごすことになる『学校現場』での差別・偏見・スティグマを無くすことを最優先に考えました。
そこで、全ての教職員に対する性的マイノリティに関する研修を実施すること、専門の相談窓口の存在をこどもたちに周知すること、教室や図書館に多様な性に関する本を置くこと、などの提案を行なってきました。
熱心な先生方の多い横須賀市教育委員会では、そのフジノの想いに応えて積極的に取り組んできてくれました。
全国的にも先駆的だと評価された、『性的マイノリティに関する教職員研修』を実施してきてくれました。
2013年12月は単発でしたが、まず幼稚園・小学校・中学校・高校の教職員向けに研修を開催しました。
2015年度と2016年度には、教育研究所が開催している『夏の教職員向け研修』に新たなプログラムとして『性的マイノリティに関する研修』を開催しました(こどもたちの夏休みに、先生方は教育研究所でたくさんの研修を受けるのです)。
2年間続けて実施した結果、
「夏の研修は一定の成果が出て役割を終えた」
と教育研究所長は判断して、2017年度(今年度)は方針を変更しました。
新たに教職員として採用された全員に対して行なう『初任者研修』のプログラムに『性的マイノリティ』についてを加えたのです。
これによって、横須賀では全ての新人教職員は性的な多様性について研修を受けて学校現場に出ていくことになりました。
このまちで『SOGI』に関する提案をひとりきりで約10年間提案し続けてきたフジノとしては、教育委員会の動きを高く評価してきました。
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・・・しかし。
夏に開かれた中学校演劇発表会で、とても残念なことが起こりました。
演劇部の生徒が悪いのではありません。
台本に差別的なセリフが連呼されるシーンがあったのに、それを部活の顧問は何も疑問に感じなかった。
大人が何も言わずにそれを当たり前のことと扱えば、こどもたちはそれを当たり前のことと受け止めるのは当たり前のことです。
こうして差別的なセリフが放置されたまま、練習は続けられました。
残念なのは、顧問の先生だけではなく、発表会当日に至るまでには、演劇に携わる市内の教員たちの目に何度も触れる機会があるのに、誰も何も疑問に感じなかったことです。
そして、発表会当日。
たくさんの児童生徒やその保護者の前で、セクシュアリティに関する差別的なセリフが連呼されたのです。
悲しかったです。
会場に居たこどもたちや大人たちの中にも、多様なセクシュアリティが存在しています。傷つけられた方も居られたはずです。
同時に、とても残念でなりませんでした。
何故なら、この出来事が意味をしているのは、『これまでの研修には効果が無かった』ということです。
全国的に先進的な取り組みをしていても、それが現場の隅々に至るまで浸透していなければ、意味がありません。
こうした事態を2度と起こさない為に、改めて強い問題提起を行なうことを決めました。
「初任者研修」だけでなく「全世代の教職員」が性的マイノリティに関する研修を受けるべき
もちろん今日の質疑を迎える前にも、現場とも教育委員会ともやりとりをしてきました。
しかし、いち顧問の先生や校長先生の問題にされてしまいそうだったのですが(フジノに謝罪に来ると言われましたがお断りしました)その対応は違うと思いました。
やはり、研修は初任者研修だけではなくて、全世代の全ての教職員を対象としなければならないのだとフジノは考えました。
以下が、委員会での質疑応答です。
フジノの質問
教育委員会に伺います。
『SOGIに関する教職員向け研修』を『初任者』だけではなくて、年次研修であらゆる世代の教職員に対して行なっていただけないかという質問です。
中学校演劇発表会がこの夏にありました。
その中で、性的指向・性自認の多様性を大切にする観点に立つと、いわゆるゲイの方々に対する不適切なせりふが何度も連呼されるシーンがありました。
そのセリフが無ければ劇が成立しない訳では無く、何故このようなセリフがある台本を読んだ顧問の先生が気づかずに練習を続けてしまったのか。
そして、当日の発表に至るまで指導に関わった、多くの教職員の方々が関わっている訳ですが、そのセリフの問題点に誰一人として気づかなかったことに、僕は強いショックを受けております。
願うならば、当日の発表会におられた児童・生徒たちの心が傷つかなかったことを祈るばかりです。
この指摘を受けて、教育指導課長はすぐにアクションを取ってくれました。
改めて『学校校長会』や『横須賀市中学校演劇研究部会』での発表会の振り返りの場で、この件について取り上げることを約束してくれました。
ただ、この出来事によって、改めてこれまで本市教育委員会が全国に先駆けて取り組んできた取り組みが、一人一人個々の教職員までは浸透していなかったという現実がわかりました。
そこで、教育研究所長に伺います。
前任の教育研究所長に当たる方(注:今年4月に異動)と、今年3月の教育福祉常任委員会で、
僕は、これまで2年間続けて実施してきた『教育研究所』が行なっている『教員研修事業』において、性的マイノリティーについて、2017年度(今年度)も実施するかを質問しました。
その際、前所長は「2017年度は実施しない」と答弁されたのですが、その理由として、「教職員の周知については、深いところでは昨年度で少しけりがついたかな」と御答弁されております。
加えて、「ただし新規採用されていく教員については必ず伝えていかなければならないものですので、教員研修の中では入れてございます」とお答えになりました。
残念ですが、前所長の思いに反して、深いところまではけりがついていなかった。
個々の教職員までは浸透していない現実があると感じています。
改めて、今回の出来事を受けて、新規採用された教員の基本研修で実施するだけでは足りないのではないかと考えるに至りました。
そこで質問です。
今後は一人一人にしっかりと人権意識が定着するように、『初任者研修』『1年経験者研修』『5年経験者研修』『10年経験者研修』『20年経験者研修』などの経験年数に応じた研修や、『管理職研修』『新任教頭研修』などの職務などに応じた研修にも、いわゆる性的マイノリティーとされる立場の子どもたちについて正しい理解を求める研修を実施していくべきではないかと、僕は考えています。
所長のお考えをお聞かせください。
教育研究所長の答弁
今、委員御指摘のとおり、性的マイノリティーに特化した研修というのは、現在は実施しておりません。
ただ、『初任者研修』の中で、人権教育の視点から性的マイノリティーを扱っております。
平成27年度、平成28年度と2年間、この研修を継続してきたわけなのですが、ある程度先生方にはその概念というものが広まったのではないかと判断をしております。
学校教育部長の答弁
今、教育研究所長が答弁させていただいた内容で、本年度の研修計画は組ませていただいた所です。
しかしながら、藤野委員から御指摘があったような『夏の演劇発表会』での事象があったということも、これも一方では、私たちも重い事実として受けとめなければいけないという認識を持っております。
現状では、先ほど教育研究所長が申し上げたとおり、教育研究所における研修は『初任者研修』以外では実施はしておりませんが、私たちが判断した中には、教育研究所の研修をするステージは一つ乗り越えたといいますか、今は各学校で『校内研修』として講師を招くなどして、各学校の実態に応じた、違った形の研修を実施しているというのが現状でございます。
とはいえ、先ほど藤野委員から御指摘いただいた内容について、そういったことが起こってしまったということを踏まえて、今、来年度の研修計画を構築している段階でありますので、それも踏まえて、どういった形が一番望ましいのか、今までの判断に誤りがなかったかということも踏まえて、再度検討させていただきたいと考えています。
フジノの質問
部長、そして所長、御答弁ありがとうございます。
蒸し返すわけではないのですが、練習をしている際の顧問の先生、そして部活外の先生、そしてステージで発表するまでには、はまゆう会館を使ってのリハーサルなど、演劇関係の取り組みをしておられる多くの教職員の方々が実際にその舞台を見ている訳です。
他の差別語を例として挙げるのははばかられるのですが、何か不適切なことを言えば誰かがとめる。
けれども、この問題に関してはまだ誰かがとめるというまでの意識には定着はしていなかった。
そういう意見交換を教育指導課長といたしました。
無意識下で自然にぽろっと出てしまう、台本に書いてあったからそのまま読んでしまう、というのでは無い所まで本市は意識を高めたいと思っているのです。
ですから、全国をむしろ引っ張ってきた本市教育委員会ですので、取り組みが個々に定着しているかどうかを、そろそろしっかりと確認していかなければならないのかなと考えています。
今後の取り組みに強く期待したいと思います。
部長の答弁によれば、
- 今年度は、スタートさせたばかりの『初任者研修』をまずしっかり実施していく
- 来年度の研修計画づくりの中で対象拡大も検討していく
というものでした。
必ず対象を拡大し、こどもたちを守るべき存在である教職員のみなさんによって逆にこどもたちが傷つけらることが無いようにしていきたいです。
今後もこのテーマは必ず取り上げ続けていきます。