「第1回横須賀市自殺対策計画策定委員会」が開かれました
ついに『自殺対策計画策定委員会』が開かれました。
改正された自殺対策基本法によって、市町村は『自殺対策計画』を作ることが義務化されました。
何故このように義務化をしたかというと、全国の自治体ごとに自殺対策へ取り組む『温度差』が出ていることが明らかになったからです。
行政は、計画を作ったら、それに基づいて予算を立てて取り組みを進めていかねばなりません。
その為、あえて法律で『計画を作る義務』を明記することで、どのまちであろうとも必ず自殺対策の取り組みを実施しなければならなくしたのです。
これは、全国に先駆けて取り組んできた横須賀市のようなまちにとってもありがたいことです。
横須賀が先駆けて取り組んできた、とは言っても、実際には15年前にフジノが自殺対策を行なう為に政治家になり、ひとりきりで様々な対策を提案してようやくここまで進めてきたのが現実です。
15年間の取り組みによって、昨年2016年の横須賀の自殺犠牲者数は過去20年で最も少なくすることができました。
でも、常に自殺対策を訴え続けてきたフジノがいなくなれば、横須賀の自殺対策は無くなってしまう(あるいは弱体化する)恐れがあります。
だから、実は今回の『計画の義務化』は、フジノがいなくなっても必ず横須賀市は自殺対策に取り組まねばならないという仕組みを作ることでもあります。
そんな訳で、2018年度末(2019年3月)に完成する『横須賀市自殺対策計画』は、フジノにとって重要な意味を持っています。
全身全霊をかけて計画づくりに関わっていきます。
これまでの取り組みをしっかりと計画に書き込むとともに、新たな取り組みも書き加えていく為に全力を尽くします。
初回は「市民意識調査」についての議論がメインとなりました
担当部である健康部は、横須賀市の独自性を強く打ち出すというよりは、国の計画策定のガイドラインに沿って作ることを重視しています。
本来ならば今年2017年夏に公表する予定だった計画策定のガイドラインですが、今も未発表のままとなっています。
その為、今日の議論は、これまでの横須賀市の取り組みや現状を復習する意味での説明に大半の時間を割く形となりました。実質的な計画策定の議論は次回以降となります。
今後のスケジュール
- 2018年1~2月 第2回自殺対策計画策定委員会
- 2018年4~10月 第3回・第4回委員会を開催
- 2018年11月頃 パブリックコメント手続き実施
- 2019年3月 市議会へ報告、計画の公表
そして、かねてからフジノが提案を続けてきた『市民意識調査の実施』が今日の委員会の議論のメインとなりました。
複数の委員からも「『市民意識調査』を実施すべきだ」「アンケートを送ることでそれが同時に啓発の効果も持つ」といった前向きな意見が出されました。
大滝委員長(湘南病院院長・精神科医)も「ぜひやった方がいい」と賛同して下さり、内容の議論へと移りました。
次回の計画策定委員会では、具体的なアンケート項目が出されるはずです。
フジノは、自殺対策に関する市民意識調査の必要性を、初当選した2003年の12月議会からずっと訴え続けてきました。
つまり14年ごしの提案実現となります。
「やった!」
という嬉しさの前に
「やっとか・・・」
という安堵感の方が大きいです。
訴え続けることの大切さを痛感するとともに、行政を動かすことに本当に時間がかかることを痛感させられました。
でも、やっぱり本当に良かったです!
「市民意識調査の実施」を提案してきたこれまでの議会質疑
今回の改正自殺対策基本法に基づく『自殺対策計画』については、フジノはこれまで何度も何度も質疑を重ねてきました。
その中から、『市民意識調査』の必要性を提案した質疑をご紹介します。
2016年9月23日・本会議での市長への一般質問
フジノの質問
1.改正自殺対策基本法における市町村自殺対策計画の策定義務化を受けた本市の取り組みについて
4月1日に施行された改正自殺対策基本法の目玉の1つは、『市町村自殺対策計画』の策定が義務化されたことです。
データとエビデンスに基づいて計画を立てて、PDCAサイクルを回すことで、全国の自治体に取り組みを促すのが目的です。
(質問を一部省略)
さて、計画策定を好機と捉えて、本市の自殺対策をさらに進める取り組みを実施すべきです。
今回僕は具体的に『市民意識調査』の実施を提案します。
本市の対策は、司令塔である自殺対策連絡会のメンバーに示されるとおり、専門家や支援する側がメインで、これまで広く市民全体の声をお聞きしたり、その声を事業に反映する機会はありませんでした。
また、街頭キャンペーンなどで、これまで我が国にあった自殺への根強い偏見と誤解に対して、自殺に対する正しい知識の普及啓発に取り組んできました。
例えば、自殺は追い込まれた末の死であり、個人の身勝手な死ではないことや、自殺は個人の問題ではなく、社会的な要因があり、広く社会的な取り組みが必要であることなど、法の基本理念に明記されている正しい知識を普及啓発してきました。
しかし、その結果、市民の皆様に実際にどれだけその知識が浸透しているか、その効果を測定したこともありません。また、社会資源の存在の認知度も調査したことがありません。
『よこすか心のホットライン』を配布したり、ゲートキーパー養成研修を開催して、本市にはいざというときに頼れるたくさんの相談窓口があることを周知してきました。けれども、その結果、市民の皆様にどれだけそうした社会資源の存在が浸透しているのか、調査したこともありません。
さらに、支援者側の視点でよかれと考えて実施してきた本市の対策ですが、市民の皆様にとって、それが本当に使いやすいものでしょうか。市民の視点で困ったときに相談しやすく、頼りやすい相談のあり方や求める取り組みなども、本市は調査をしてきませんでした。
そこで伺います。
計画の策定に当たっては、基礎資料の収集とより実効性の高い計画とするためにも、自殺に関する知識の理解度を初め、本市のこれまでの取り組みや社会資源の市民への浸透度や市民の求める相談支援のあり方などについて、市民への意識調査を実施すべきではないでしょうか。お答えください。
吉田市長の答弁
より実効性の高い計画とするために、市民への意識調査を実施するべきではないかという御提案をいただきました。
市民に対し、自殺予防に関する意識を高めるため、『よこすか心のホットライン』の配布等の各種施策を実施しています。
市民に対する意識調査については、今後厚生労働省から自殺対策計画のガイドラインに係る情報把握に努め、意識調査の必要性を判断したいと考えております。
フジノの再質問
続いて、市民意識調査についてです。
現在、自殺対策計画を市町村で、町村は持っていなくてほぼ市が持っているのですが、独自に策定しているところもいくつかございます。
それらの市は確実に市民意識調査を行なっております。
やはりこれまで本市が行なってきた対策がどの程度広く浸透しているのか、調査すべきと思いますが、いかがでしょうか。
吉田市長の答弁
調査の必要性は私も感じています。
フジノの再質問
本市のように自殺対策に長年取り組んできたまちにとって、あえて計画をつくるというのは、屋上屋を重ねるようなイメージが正直あります。
本市の場合、基本計画の中にも盛り込んでありますし、健康増進計画、食育推進計画にも明記されているところです。
そんな中、あえてこの計画を策定しなければ交付金が受け取れない、事業実施の財源に充てられないというのであれば、計画を策定せざるを得ない。その状況であるならば、いろいろな取り組みをしっかり行って、その計画が意味のあるものにしたいと考えています。
市民意識調査を実施したいという考え方については、市長も同意をしていただきました。
せっかくの機会ですので、やはり本市の場合、自殺犠牲者数が減少していますので、これまでの取り組みが特にハイリスクの方々には届いているということは、ある程度わかると思います。
次は、ゲートキーパーである市民の皆様に広く取り組みそのものが周知されているのか。我がまちが持っている、そして、我がまちに広くある社会資源が知られているのか。それから、自殺対策基本法の理念が十分に理解されているのか。そうしたことに加えて、市民にとって使いやすい相談窓口は何かなど、1問目と全く同じ質問になるのですが、これらの要素も市民意識調査の中にはぜひ入れていただきたいと思いますが、お考えをお聞かせください。
吉田市長の答弁
この意識調査ですが、恐らく私の勝手な推測では、ガイドラインにも書かれてくる可能性があるのではないかと思っています。
そうしますと、計画策定に当たっての交付金の対象にもなるやもしれないと思っているので、そういったガイドラインに沿って、時期等も、あるいは質問項目等も決めていく必要があるだろうと思います。
ただ、おっしゃるように自殺対策先進市として取り組んできたことが、どのような形で市民の皆さんに伝わっているのか、そういったことは当然先進市として確認をしたいというところがありますので、実施をする際には、今いただいた御意見などは参考にさせていただきたいと思います。
この質疑によって、初めて『市民意識調査』の必要性について市長が同意する答弁を引き出せました。
ただ、現在まで続く、あくまでも横須賀市は国のガイドラインに沿った内容で『市民意識調査』まで行なう方針であることが吉田市長によって強く打ち出された答弁でした。
2017年9月13日・教育福祉常任委員会常任委員会での質疑
フジノの質問
続いて、健康部に質問をします。横須賀市自殺対策計画策定についてです。
現在、ワーキンググループが設置されて、そして基礎資料の作成などを行っているとのことです。
本市が何らかの計画を行なう際は必ずといってよいと思うのですが、市民アンケートを行って市民意識調査をしていると思うのですが、今回この計画においては市民アンケートは行なわないのでしょうか。お聞かせください。
保健所健康づくり課長の答弁
調査を実施する上では、推進体制も含め、施策も含め、検討する上では、現状を把握するということはとても重要なことだというふうに考えております。
具体的にアンケート調査を実施するかどうかというのは、この委員会の中で議論をしていくことになると思っています。
また、どのように把握をしていくか、アンケート以外の方法もあるかと思いますので、どのように把握していくかについても、委員会の中で議論をしていくのかなというふうに思っています。
ただ、自殺総合対策大綱の中では、PDCAサイクルを回していくようにしていきたいというふうに言っていますので、今後計画を策定する前だけではなくて、策定後のことも考えていかないといけないのかなというふうに考えております。
フジノの質問
市民アンケートなどによって意識調査などを行なわなければ、数値目標の設定は自殺の犠牲者の方の数しか置くことができなくなってしまいます。
ですから、例えば国で行なったり、県で行なっているアンケートのように「死にたいと思ったことがあるか」ですとか、様々な意識についてアンケートをとることが必要だと私は考えています。
委員の皆さんがお決めになることとなってしまうと、議論の結果次第では、そういったアンケートがスケジュール的にも難しいとなってしまえば、行われない可能性もある。そこは少し心配です。
アンケートによって、市民意識調査はぜひ行なっていただくようにしていただきたいと考えています。
事務局、これから委員会委員の皆さんと下打ち合わせをしていくと思うのですが、その点はどうかお答えいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
保健所健康づくり課長の答弁
今、委員からおっしゃっていただきましたことは、委員、あるいはワーキンググループにしっかり伝えていきたいと思っております。
前回の質疑から1年が経ちました。
委員会での質疑のやりとりからではあまり熱意は感じられないかもしれません。
けれども担当部局との平場での議論では、みなさん現場を持っていますから、市民意識調査の必要性を強く感じています。
実際には事務局として、今日の計画策定委員会のみなさんにも事前説明などの際に『市民意識調査』の必要性を訴えていただいたのだと思います。
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2年がかりで市民意識調査の必要性を訴えてきて、ついに今日の計画策定委員会の場で実施に向けたGOサインが出されました。
これからも担当部局と平場でじっくり意見交換をして、大切な『市民意識調査』を意味あるものにしていきたいです。