第2回「がん対策検討協議会」が開かれました
予算審査の合間を縫って、本日は『がん対策検討協議会』(第2回)が開かれました。
本音を言えば、予算委員会をはじめ様々な会議が立て続けに開催されるハードなスケジュールに疲労がたまっています。
けれども、この協議会で新たに作ろうとしている『横須賀市がん克服条例』は、フジノにとって大きな意義があります。どんなに疲れていても、積極的に議論に参加して、どんどん提案をしていきたいと強く決心しています。
実際、今日の協議会でも積極的に意見を述べさせていただきました。
フジノ、気合い入っています。
提案会派が作成した「たたき台」をもとに議論していきます
本日の議事次第は下のとおりです。
前回(第1回)の会議において、複数の委員から指摘された「議論できる期間があまりにも短すぎる」という懸念が出ました。
これを受けて、条例案の提案会派である自由民主党から、条例素案と逐条解説案の『たたき台』が示されました。
今後はこの『たたき台』をもとに議論を進めていくことに決まり、委員メンバーの懸念は一気に解決しました。
『たたき台』と言っても、このまま議員提案できる高いクオリティ。
前文から第15条からなる条例素案と、全ての条文への解説案を作成して下さいました(素晴らしいです!)。
ここまでしっかりした内容のものを作成するのはすさまじく膨大な作業量だったのではないかと思います。
(*会議終了後に青木哲正議員にお尋ねすると、当事者・医療関係者へのヒアリングから『たたき台』作成まで12ヶ月にわたって行なってこられたとのこと。政策立案のご尽力に対して、心から敬意を表します)
提案会派以外のフジノたち委員としては、横須賀市議会らしい条例素案にすべくさらに議論を深めていくことこそが与えられた役割だと思います。
『たたき台』作成に深く感謝しつつも、さらに提案をどんどんしていきたいと感じました。
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また、今回は行政側からがん対策の所管部局である健康部に出席してもらいました。
今後も、議員たちだけで議論していくだけでなく、当事者・関係者・専門家などの方々にご意見を伺う為に、参考人としてお招きしていく予定です。
例えば、市内で『地域がん診療連携拠点病院』に指定されている横須賀共済病院の医師の方、横須賀市医師会のがん診療の専門家である医師の方、また、在宅医療で特に緩和ケアの専門家である医師の方などをイメージしています。
「前文」を議論しました
さっそく議論に入りました。
議論の初回は、条例の魂とも言える『前文』についてです。
(前文)
誰もが健康的で幸せな生涯を送りたいと願っている。それを阻む原因は様々だが、その1つにがんが挙げられる。
がんは日本人の最大の死亡原因で、生涯に於いて2人に1人ががんにり患し、3人に1人ががんにより死亡している。
本市においても同様で、近年の死亡原因の第1位はがんによるものであり、全死亡原因の約3割を占めている。
誰もががんにかかる可能性があり、特別な病気ではなくなっている。
がんと闘病することやがんにより命を失ってしまうことは、本人及びその家族だけではなく、地域社会及び本市にとっても重大な問題となっている。
がんについての研究が進み、細菌やウイルスの感染を原因とするものや生活習慣によるものなど、徐々に原因が明らかになってきている。
特に、細菌やウイルスの感染は、男性では喫煙に次いで2番目に、女性では最も発がんに大きく寄与する因子となっており、子宮頸がんの発がんと関連するヒトパピローマウイルス、肝がんと関連する肝炎ウイルス、ATL(成人T細胞白血病)と関連するヒトT細胞白血病ウイルス1型、胃がんと関連するヘリコバクター・ピロリ等が挙げられる。
その中でも原因が明らかな胃がんの早期予防については、ピロリ菌除菌など、義務教育期間中の児童・生徒等の若年期からの対策が望まれる。
このような現状に鑑み、がんに対する知識を深め、がん予防のための生活習慣の改善やがんの早期発見のための検診受診等、さらにはがん患者の支援なども含めた総合的ながん対策を市民とともに推進することを目指し、この条例を制定する。
*赤太文字化はフジノが行ないました。
この『たたき台』に対して
「もっと総合的な内容にすべきだ」
「胃がんに特化しすぎている。がん全般を網羅すべきだ」
「個別の対策は条例でなく、下位の規則等で定めるべきだ」
といった意見が出ました。
けれどもフジノとしては、この『たたき台』で示された方向性を進めたいと繰り返し意見を述べました。
がん対策に関してはすでに国が法律を、県は条例を作っています。どちらも総合的な内容になっています。
それに対してあえて横須賀市議会が新たな条例を策定するのですから、国・県の取り組みでは弱い部分を補ったり、横須賀市らしい新たな対策を盛り込んだ条例にすべきだと考えました。
特に、横須賀市医師会が進めている胃がんリスク検診のレベルは高く、まさに横須賀市らしいがん対策のシンボルだと言えます。
したがって、さきの意見は尊重するものの、むしろ『たたき台』が示している方向こそ条例が目指すべき方向だと訴えました。
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最終的に、他の会派のみなさまも『条件付き(=今後の検討状況によっては修正する)』で賛成をしてくださいました。
上に記した文章が現時点での『前文』の素案として決定しました。
フジノの悲願である「HTLV-1撲滅」も目指す条例素案にしていきたいです
条件付きとはいえ、本当にホッとしました。
実は、『前文』で触れられているがんの中に『HTLV-1』によって発症する『ATL』があります。
この『HTLV-1』(ヒトT細胞白血病ウイルス1型)を撲滅することはフジノの悲願なのです。
『HTLV-1』によって、『ATL』(=成人T細胞白血病)だけでなく、『HAM』(=HTLV-1関連脊髄症)や『HU』を発症します。
この『HTLV-1』は一般的にはほとんど知られていません。
しかし、発症した時の苦しみやダメージはとても大きいものがあります。
フジノは『HAM』や『ATL』た当事者・家族・団体の方々とは、長年にわたっておつきあいさせていただいてきました。
国の審議会も常に傍聴してきましたし、学術団体による学会にも毎年参加してきました。
横須賀市として取り組むべき対策を2009年から繰り返し提案してきました。
『HTLV-1』の存在は1980年に発見されました。それから30年が経ち、『HTLV-1』について横須賀市議会で初めて取り上げたのがフジノなのです。
この予算議会でもHTLV-1撲滅に向けた質疑を行なったばかりです。
その結果、
「横須賀市が取り組んでいる対策の多さは、関東ではとても珍しい」
と専門家から褒めていただいたくらいに、横須賀はHTLV-1対策に取り組んできました。
(例えば、県内初の『HTLV-1母子感染対策研修会』を横須賀市は2011年・2012年と開催しました。講師には我が国のHTLV-1対策の第一人者である山野嘉久先生に来ていただきました)
『HTLV-1』は、母子感染をします。
母子感染を防ぐことで、『HTLV-1』を撲滅することができるのです。
だから、絶対に『HTLV-1』を撲滅したい。
けれども、あくまでも今までは『フジノたったひとりきりで提案してきたテーマ』なのです。
それが今回の条例に盛り込まれれば、フジノだけの問題意識ではなくなり、『横須賀市議会の総意としてのテーマ』となります。
これまではHTLV-1対策の灯が消えないように、フジノが定期的に歴代の担当課長に議会質疑を行なう必要がありました。
けれども、条例に明記されればフジノが落選しても横須賀市はずっと対策に取り組み続けねばならない強制力が働くことになります。
逆に言うと、『前文』からこの記述がカットされてしまえば、それ以降の条文にいきなり『ATL』対策を提案するのは難しくなってしまう訳です。
そこで今回は、とにかく絶対に『前文』にこの文章を残したいと粘りました。
『前文』に明記してある以上、今後の条文作成においてもフジノは『ATL』対策(=HTLV-1撲滅に向けた様々な取り組み)を提案していくつもりです。
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自殺対策も、性的な多様性の保障も、今でこそ社会的に認知されたテーマとなりました。
けれどもフジノが取り組み始めた頃は、まわりには誰も居らず、ひとりきりで活動しているような気持ちでした。
同じように、HTLV-1撲滅も、この10年間はひとりきりで取り組んできたような心境です。
今ようやく他のテーマと同じように、光をあてられるチャンスがやってきたのではないかと感じています。
今後も全力を尽くして議論をしていきます!