第4回がん対策検討協議会が開かれました
本日は『第4回がん対策検討協議会』が開かれました。
『横須賀市がん克服条例(案)』の策定の為に、2週間に1度という異例のスケジュールで『協議会』を開き、議論を行なっています。
民間企業の意思決定の観点に立つと「2週間に1度」では、ゆっくりに聞こえるかもしれません。
けれども、市議会の全ての会派の総意(つまり41人の議員全員の合意)を得る為に、会議の開催前にたくさんの議論が行なわれています。
今日のような正式な会議の場においてもメンバーは議論をしますが、その前提として、全ての会派が多くの議論を行なった上で、集合をするのですね。
さらに、会議ごとに参考人をお招きして最新の知見をお聴きしていることも大きいです。
市議会議員は、医療の専門家ではありません。
もちろんフジノは医療政策の勉強はふだんからしてはいます。
けれども最新の知見をお聴きしてそれを理解してすぐ条例に反映できるかといえば、不可能です。
その為にはさらに勉強して、理解して、条例に反映する為にはどのような文言にすべきなのかを検討する為の時間と労力が必要です。
加えてこの会議だけが仕事の全てではありませんので、2週間に1度というペースは本当にキツイ、というのがフジノの率直な感想です。
けれども、この条例が成立し取り組みが進めば、確実に守ることができる命が増えるのです。
どれだけ心身ともにきつくても、全力で臨んでいます。
フジノの悲願「HTLV-1撲滅」を条例案に盛り込むべく提案をしました
ブログでも記してきたとおり、フジノは『横須賀市がん克服条例(案)』に『HTLV-1撲滅』をどうしても盛り込みたいという想いがありました。
その想いを田辺昭人委員長はじめ委員のみなさんにご相談したところ、
「正式に提案をペーパーにして『がん対策検討協議会』の場で協議してもらうようにしてみたら?」
とアドバイスいただきました。
そこで本日開催された『がん対策検討協議会』において、フジノ案を正式に提案させていただきました。
下のペーパーと、参考資料を配布させていただきました。
2018年4月27日
がん対策検討協議会のみなさまへ
藤野 英明
HTLV-1対策をより明確に打ち出す為のご提案
横須賀市らしい「がん克服」の取り組みを考えた時、次世代にがんを持ち越さない手段がある「HTLV-1の母子感染対策」への取り組みがふさわしいと思いました。
これまで本市は、神奈川県内でも初めて『母子感染対策研修会』を実施し、HTLV-1対策に取り組む研究者からも高く評価されています。
そこで以下の2点を提案します。
【提案1.第6条2項への文言を追加する】
市は、感染により発症するがんについて、除菌及びワクチン接種等による対策を講ずるとともに、性別、年齢等に係る特定のがんについては、その予防に関する啓発及び知識の普及等の具体的な予防策を講ずることとする。
↓
市は、常に最新の科学的知見を取り入れ、感染により発症するがんについては、除菌、完全人工栄養の勧奨及びワクチン接種等による対策を講ずるとともに、性別、年齢等に係る特定のがんについては、その予防に関する啓発及び知識の普及等の具体的な予防策を講ずることとする。
(*赤太文字の文言を追加)
【提案2.新たに第7条2項を追加する】
2 HTLV-1対策として、市は、常に最新の科学的知見を取り入れ、母子感染を予防する為に完全人工栄養を勧奨し、その意義を医療従事者及び行政機関は常に研修し、妊婦の意思決定支援と心のケアを行い、市民への啓発を行わねばならない。医療機関は、近い将来、治療法が開発された時にその恩恵を受けられるように、キャリア妊婦およびキャリア妊婦から出生した児へのフォローアップに努めねばならない。
添付した参考資料はPDFファイルにしましたのでこちらをご覧下さい。
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委員のみなさまの賛同を頂きまして、正式に議論していただくことになりました。
フジノが提案した2つの条文の目的をご説明します
フジノの目的は、2つの手段を条例に位置づけることです。
現時点で唯一有効な科学的根拠があるのは、母乳による感染を防ぐ為に完全人工栄養を積極的に勧めることだけなのですね。
そこで、妊婦健診でHTLV-1に感染している(キャリアである)と診断された妊婦のみなさまに、正確な情報の提供をすることと、意思決定の支援をすることと、心のケアを行なうことを、市に義務付けることです。
これが第6条第2項への文言の追加の提案です。
また、我が国の研究者の必死の研究により少しずつ治療薬が開発されつつありますが、現時点ではキャリアの方々からHTLV-1(ウイルス)を完全に取り除く方法はありません。
しかし、山野嘉久先生らの研究が進めば、必ず近い将来に治療が可能になるとフジノは信じています。
それなのに、HTLV-1に感染しているお母さん・生まれてきたこども(満3歳以降に検査することができます)を医療機関(産婦人科や小児科)が把握していません。
キャリアであることが分かっているお母さんとこどもをフォローアップしていれば、治療薬が開発された時に、すぐにその恩恵を提供することができます。
そこでフジノは、医療機関に対してフォローアップを努力義務として課すことを提案しました。これが第7条2項です。
この2つの手段を講ずることが、現時点で地方自治体である横須賀市にできることだとフジノは考えました。
条文化はせず「逐条解説」に明記することになりました!
フジノから提案理由を説明し、今回の参考人としてお招きしていた水野靖大先生(マールクリニック横須賀・院長)のご意見もいただき、委員のみなさんから質問を受けて、協議に入りました。
その結果、条文化はせずに、『逐条解説』に盛り込むこととなりました。
『逐条解説』とは、条文(抽象的な短い文章です)が具体的にどのようなことを指しているのかを明らかにする為に条文とセットで記される文章です。
第6条(がんの予防の推進)2項の『逐条解説』に以下の文章が加わりました。
(変更後の逐条解説の文章)
白血病等の原因となるHTLV-1については、母子感染が主な原因であることから、HTLV-1母子感染を予防するため、完全人工栄養の勧奨を含めた対応も求められ、その意義を医療従事者及び行政機関は常に研修し、妊産婦の意思決定支援と心のケアを行い、市民への啓発を行う必要がある。
やりました!
提案者として一番望ましいのは、確かに条文化することです。
けれども、行政が実務を行なっていく上で『逐条解説』は必ず参考にされます。
つまり、『逐条解説』に明記されたということは、
- 今後の『横須賀市がん対策計画』作りにおいて、必ずHTLV-1対策が盛り込まれる。
- 条例と計画に基づいて、母子感染を防止する研修を横須賀市は今後も実施しなければならない。
- 条例と計画に基づいて、キャリア妊産婦さんの意思決定支援と心のケアを横須賀市は行なわなければならない。
- 条例と計画に基づいて、横須賀市は市民へのHTLV-1対策の啓発を行わなければならない。
これらの取り組みを横須賀市は行なわなければならないという『縛り』をかけることができた訳です。
提案者として、涙が出るほどうれしいことです。
これまで出会ってきた、HTLV-1キャリアのみなさまやHAM・ATL当事者のみなさまに、一刻も早く報告したい気持ちです。
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『がん対策検討協議会』委員のみなさまからは
「フジノくん、今まで知らなかったHTLV-1についてよく知ることができたよ」
という温かいお言葉もいただきました。
提案をして、本当に良かったです。