葬祭業者の方から高く評価していただきました
昨日フジノのブログを読んでくれた方からメッセージを頂きました。
都内にお勤めの葬祭業者の方でした。
横須賀市の『中央斎場』を訪れたところ、その一角にご遺族向けのチラシが配架されているのをご覧になったそうです。
そして、この取り組みを評価していただき
「他の1都3県の斎場では見たことがありません」
と記してありました。
本当にありがたいお言葉でした。
●
この方が書いて下さったチラシというのは、相談先一覧を記したリーフレット『横須賀こころのホットライン』のことです。
フジノの提案が実現して、7ヵ月前から中央斎場に設置してもらっています。
『死産』によって、天国に帰っていったたくさんの天使たちが存在しています。
幼くして亡くなるこどもたちも毎年必ず存在しています。
その現実を知ってほしくて、以前のブログでフジノはその数をお示ししました。
(2つの表は、本市が運営する火葬場のデータから作りました)
『死胎』とは、妊婦さんのお腹の中で亡くなった赤ちゃんのことです。つまり、『死産』にあたります。
死肢 | 市内 | 市外 | 合計 |
---|---|---|---|
2016年 | 53件 | 9件 | 62件 |
2015年 | 44件 | 12件 | 56件 |
2014年 | 36件 | 13件 | 49件 |
2013年 | 39件 | 13件 | 52件 |
2012年 | 51件 | 4件 | 56件 |
2011年 | 51件 | 10件 | 61件 |
2010年 | 96件 | 20件 | 116件 |
2009年 | 156件 | 19件 | 175件 |
2008年 | 152件 | 29件 | 181件 |
毎年、本当に多くの赤ちゃんがお母さんのお腹の中で亡くなって、天使になって天国に帰っていきます。
12才未満 | 市内 | 市外 | 合計 |
---|---|---|---|
2016年 | 11件 | 2件 | 13件 |
2015年 | 6件 | 2件 | 8件 |
2014年 | 14件 | 2件 | 16件 |
2013年 | 6件 | 2件 | 8件 |
2012年 | 13件 | 0件 | 13件 |
2011年 | 10件 | 1件 | 11件 |
2010年 | 8件 | 2件 | 10件 |
2009年 | 14件 | 1件 | 15件 |
2008年 | 12件 | 2件 | 14件 |
12歳未満のこどもたちが毎年こんなにも亡くなっています。
そして、フジノが出会った多くの方々、遺された天使ママ・天使パパ・ご家族たちはみな適切なケアを受けることができていませんでした。
当事者による『天使ママの会』もありますが、その活動だけでは決して十分だとフジノは受け止めていません。
そこで、『グリーフケア』『ビリーブメントケア』を政治・行政がしっかり取り組むべきだとフジノは考えるに至りました。
昨年から特に力を入れて、様々な提案を議会で行なってきました。
その1つが、火葬場に相談先一覧を記したリーフレットを配架させてもらうという提案です。
想いに共感して下さった担当課は、すぐに実行に移してくれました。
プロの葬祭業者の方がおっしゃるのですから、きっと関東近辺で同じ取り組みをしている火葬場は無いのだと思います。
けれども、たとえどのまちも取り組んでいなくても、大切だと感じたら取り組むのがフジノの仕事です。
そして横須賀市役所にはそんなフジノの想いに応えてくれる温かいハートの職員さんがたくさん居てくれます。
ようやく中央斎場を訪れて実際の現場を見ることができました
こうして昨年2017年10月から取り組みはスタートしていました。
けれども3月6日のブログ記事に書いた理由で、フジノはまだ現場を訪れることができていませんでした。
昨年6月に大切な家族を突然に喪ってしまいました。
その時に中央斎場にお世話になったのですが、どうしてもその悲しみや悔しさから、中央斎場を訪れることができなかったのです。
それでも昨日のメッセージを頂いたからには、やはり提案者自身が現場を見ておかねばならないと感じました。
(メッセージには「置く場所の工夫の必要性」も記されていたからです)
そこでクスリをのんで、気合いを入れて、なんとか中央斎場へ向かいました。
●
夕方、全ての火葬が終わった時間。
わざわざ中央斎場長と健康総務課の職員さんが迎えて下さいました。
これまでの7カ月間の取り組みについて、フジノはお二人に心からの感謝をお伝えしました。
設置されている場内3カ所を案内していただきながら、これまでの状況について改めてお聞きしました。
以前にお知らせしたとおり、毎月10冊以上は持ち帰っていただいているとのことでした。
つまりこの7カ月間で、すでに70冊以上のリーフレットを受け取って下さった。
とても高い割合で手に取っていただいたことになります。
斎場長とともに、この取り組みは行なって良かったですね、と改めてお話しました。
4月からリーフレットが2種類に増えました
3月にお話を伺った時には、置いてあるのはリーフレット『横須賀こころのホットライン』1種類だけとのことでした。
しかし今日実際に訪れると、もう1種類のリーフレットが新たに置かれていました。
実は4月に人事異動で新たに担当課長に就任した方が、フジノが提案をした時の議事録を読み返して下さったとのこと。
そして、『グリーフケア』を進めるならば、と『NPO法人グリーフサポートリンク』のリーフレットも追加して下さったのでした。
とてもありがたいです。
できることならば、さらに『天使ママの会よこすか』のリーフレットも置かせていただけたらいいな、とフジノは思っています。
設置場所は十分配慮されていました
3カ所の配置場所は、1階のロビー(必ず誰もが通る場所です)、2階ロビーの左右、でした。
このうち、1階ロビーと2階ロビー右側の2カ所は、とても良い配置でした。
タクシー会社の電話番号が記してある掲示や、バスの時刻表があってある壁面があります。
そこに一緒に、2種類のリーフレットがさりげなく置かれています。
これならば、リーフレットを観ていても、手に取っても、全く目立ちません。
実際にフジノがリーフレットの前に立って、周りから見て頂いたのですが、時刻表をみているのと区別はつきませんでした。
この置き方だから、周りにきがねすることなく手に取れるのかもしれません。
そのおかげで毎月10部も受け取っていただけているのかもしれません。
こうした配置にして下さった現場のみなさんに感謝です。
●
2階ロビー左側だけは、あえてリーフレットだけが置かれています。
フジノはこの配置をあえてとても評価したいです。
何故ならば、大切な人の死は隠すべきことでも恥ずかしいことでも無く、その悲しみを悲しむこともまた同じく隠すべきことでも恥ずかしいことでも無いからです。
それができないのは、世間の偏見があるからなのです。
●
実は、図書館においても毎年、自殺対策の特設図書コーナーを設置してもらっています。
フジノの提案でスタートしたこの取り組みですが、図書館長と司書のみなさんと議論しながら配置が年を経て変わりました。
スタートした2009年から5年間は、2階の人の来ないところにこっそりと置かれていました。
自殺に関する本は、誰にも見られないで読みたいだろうという配慮からです。
しかし、6年目(2014年)にして初めて正面玄関の自動ドアを入って真正面のいちばん目立つところに設置されるようになりました。
自殺は恥ずかしいことでも隠すべきことでも無く、誰の身にも起こりうることです。
確かにはじっこに置くという配慮も大切でした。
けれども、自殺対策に取り組む我々の側がはじっこに置くという行為を取るということは世間の偏見に加担していることと同じだとフジノは考えてきました。
隠れた場所に置くことは、行政が誤ったメッセージを世間に発信することになる、とフジノは考えています。
もちろん、反論はたくさんあると思います。
けれどもフジノはそう考えているのです。
このような観点から、『中央斎場』の3カ所のリーフレットの配置は、図書館の過去と現在の配置の両方を採用している訳です。
他人の目を気にせずに、リーフレットを手に取ることができる場所。
堂々と、リーフレットを取っていることがわかる場所。
フジノはどちらも正解だと考えています。
●
自死遺族のみなさんが社会や世間から感じさせられているのと同じ想いを、『流産』『死産』や幼くしてこどもを亡くされた方々は感じさせられているとフジノは考えています。
妊娠・出産は当たり前のことなんかではなく、奇跡・奇跡の連続によって初めて叶うことです。
『流産』や『死産』は語られていないだけで、本当に多くの方々が直面しており、悲しみを悲しむことも難しくさせられています。
フジノはこの状況を変えたいと強く願っています。
リーフレットの火葬場への配置はその願いのうち、わずか1つが実現したに過ぎません。
もっともっと取り組みを進めていきます。
天使ママ・天使パパ・ご家族の方々で、フジノにその想いを伝えたいという方がおられたらぜひご意見をお寄せ下さいね。
●
本日は健康総務課・中央斎場のみなさま、お忙しい中ありがとうございました。
取り組みに心から感謝とお礼を申し上げます。
これからも力を貸して下さい。よろしくお願いいたします。