現実に起こっていることなのに社会が目を向けていないことに取り組むのがフジノの仕事
『妊娠』と『こども』に関わるあらゆるテーマをフジノは取り上げてきました。
これまで議会で質問をしてきたテーマを少しだけ記してみます。
- 精神疾患・精神障がいのある妊婦さんの妊娠継続
- 特定妊婦の支援
- 養子・里親制度
- 羊水検査・新型出生前診断
- 不妊症・不育症治療
- 流産・死産の実態
- グリーフケアの必要性
- NICU・PICU
- 超低出生体重児
- 医療的ケア児
- 就学猶予
これら全てには1つの共通点があります。
『現実に起こっていることなのに、社会が目を向けていない課題』
である、ということです。
実際、横須賀市議会の議事録の検索ワードに、これらの単語を入れてみて下さい。
どのキーワードもほぼフジノしか質問していないと思います。
誰も取り組まないこと(取り組みたくないこと?)は、フジノの仕事だと信じて働いてきました。
今目の前の超低出生体重児が救われることは、将来の幸福をもたらさないのか?
『ハイリスク児フォローアップ研究会』という集まりがあります。
2年前に開催された際のプログラムを読んで以来、フジノはこの研究会に参加したくてたまりませんでした。
「第37回ハイリスク児フォローアップ研究会開催のご挨拶」より一部引用
今回の研究会では、メインテーマを『極低出生体重児の超長期予後』とさせていただきました。
ご存じの通り、わが国では周産期医療の進歩に伴い、極低出生体重児(出生体重1500g未満)の生命予後は飛躍的に向上してきております。
5年ごとに実施されている日本小児科学会新生児委員会のハイリスク新生児医療調査によれば、超低出生体重児(出生体重1000g未満)の死亡退院率は2005年に
17.0%であったものが、わずか5年後の2010年には12.2%まで低下していることが示されています。
このように今や超低出生体重児であっても約90%近くの児がNICUを退院できる時代になりました。
しかし、諸外国の報告をみると、極低出生体重児が思春期や青年期に達した時点でインスリン抵抗性や高血圧、呼吸機能の異常、骨密度の低下、社会性の低さ、低学歴、reproduction能力の低さなど、様々な視点から問題が指摘されています。
一方、わが国では極低出生体重児の学童期以後の予後に関する検討はまだまだ少なく、不明な点が多いと思われます。
したがって、今後NICUを退院した極低出生体重児のフォローアップにあたっては、成長と発達の視点だけではなく、幅広い視点から、さらにはより長期にわたって追跡・支援していくことが求められるのではないかと考えます。
今回の研究会ではこの点を中心に活発な議論が展開できればと願い、シンポジウム『極低出生体重児の学童期以後の予後』を企画しました。
赤い太文字にしたところが3ヶ所あります。
1ヶ所目と2ヶ所目は、過去も現在もフジノが口癖のように言っているセリフと同じです。
医療の進歩のおかげで、超低出生体重児(産まれた時の体重が1000g未満の赤ちゃん)もNICUを無事に退院できるようになった。
けれども、3ヶ所目は、ショックを受けました。
なんと、諸外国の報告をみると、せっかく無事にNICUを退院したのに、思春期や青年期になっても心身の発達や健康状態に様々な問題が起こっているというのです!
すぐに、高齢者への延命医療の課題がよぎりました。
せっかく医療の進歩によって命が救われても、その後のクオリティ・オブ・ライフが失われてしまう・・・。
そして今では、延命医療を避けようという動きが社会の中でかなり受け入れられてきました。
これを読んで以来、フジノのあたまをいつも同じセリフがぐるぐると回るようになりました。
フジノには、とても受け入れがたい内容でした。
NICUのさらなる充実や、PICUをうわまち病院に新たに立ち上げることは今もフジノの悲願です。
早産であったり、様々な遺伝性疾患などがあっても、産まれてくることができた命を守ることは正しいと信じてきました(今も信じています)。
しかし、もしもそれが「必ずしもベストではない」としたら・・・?
今、命が救われたとしても、将来のクオリティ・オブ・ライフが損なわれてしまうとしたら・・・?
救うべきではない?
あらゆる角度から検討したのですが、フジノはどうしてもそんなふうには考えたくはありませんでした。
だから、とにかく学びまくろうと決めました。
学んで学んで、可能な限り全てを知る努力をして、そして自分でしっかりと判断できるようになろうと決めました。
ついにハイリスク児フォローアップ研究会へ参加しました
しかし、文献は限られていました。
出版されているものにはあらかた目を通しました。
やはり、『研究会(第37回)あいさつ』に書いてあったとおりでした。
したがって、今後NICUを退院した極低出生体重児のフォローアップにあたっては、成長と発達の視点だけではなく、幅広い視点から、さらにはより長期にわたって追跡・支援していくことが求められるのではないかと考えます。
そこで、ハイリスク児フォローアップの研究者や医療従事者の集まりであるこの研究会を追いかけていくことが早道だと感じました。
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ようやく今日、第41回研究会へ参加することができました。
会場はお茶の水女子大学です。
特にフジノが関心があるのは、午後の下のプログラムです。
次の記事へ続きます。