性的マイノリティ当事者との意見交換会(第6回)が開催されました
本日、『性的マイノリティ当事者との意見交換会』が開かれました。
この『意見交換会』は2012年度の『横須賀市人権施策推進会議』の場で提案されて設置が実現し、2013年5月に第1回が開催されました。
初開催された時には「全国で他に例が無い」と高く評価された取り組みです。
年1回ではありますが定期的に開催を続けて、早くも6回目となりました。
*毎年のことですが、内容は非公開となっている為、差し支えのない情報と大まかなイメージだけ、報告させていただきます。
ハローワーク所長が初めて参加してくれました
市役所側の参加者は、市民部長を筆頭に、『性的マイノリティ関係課長会議』のメンバーがメインです。
『性的マイノリティ関係課長会議』も2013年1月に全国で初めて設置された組織です。
横須賀市役所からの参加メンバー
- 市民部長
- 市民部 人権・男女共同参画課長
- 健康部 保健所健康づくり課長
- こども育成部 こども青少年支援課長
- こども育成部 児童相談所長
- 教育委員会 生涯学習課長
- 教育委員会 教育指導課長
- 教育委員会 支援教育課長
- (新)横須賀公共職業安定所長(横須賀市ではなく国の機関です)
一昨年開催されたこの意見交換会で、就職についてが大きなテーマになりました。
昨年からは、横須賀市では県内唯一の性的マイノリティ当事者向けの就活活相談会を開催するようになりました。
そして今年は、初めて公共職業安定所(ハローワーク)所長にも参加していただきました!
所長からは
「性的マイノリティに関する企業側の取り組みについての情報収集はすでにスタートしています。今日はぜひみなさまから仕事をする上でのお困りごとをお聞かせ下さい」
とのご挨拶をいただきました。
第1部は横須賀市のこれまでとこれからの取り組みについてご意見をいただきました
ここ数年間、意見交換会は2部構成になっています。
第1部・横須賀市の取り組みについて
- 平成29年度の主な取り組み
- 平成30年度の主な取り組み
- 同性パートナーシップ制度について
- 理解のある不動産事業者向けステッカーのデザイン及び効果的な配布について
- 賃貸住宅で困ったこと、など
まず第1部は、横須賀市のこれまでの取り組みとこれからの取り組みについてご紹介して、参加者のみなさまからご意見をいただきます。
パートナーシップ制度導入は早期実施を求める声ばかりでした
これまでフジノは何年にもわたってパートナーシップ制度の導入を訴えてきましたが、前市長は否定的でした。
しかし昨年7月に上地市長が就任し、フジノが2017年9月議会で改めて提案したところ、大きく方針転換がなされました。
今年2018年度、横須賀市はパートナーシップ制度導入に向けて『人権施策推進会議』で議論がスタートします(まもなく第1回が開かれます)。
導入した場合の想定されるメリット・デメリットについてや、どういう形での導入がより好ましいのかについて、人権・男女共同参画課長から問いかけがありました。
参加者のみなさまからは、基本的にはメリットしか無い、むしろ無ければ困るというご意見をたくさん頂きました。
デメリットは、全国でパートナーシップ制度を持っている自治体と持っていない自治体があるので、ある自治体でパートナーとして公的に認められても他都市では認められないことが挙げられました。
フジノも、一刻も早く国全体として動く必要があると思います。
また他の方からは、『同性パートナーシップ』という言葉が広まっているが、『同性』という言葉はいらない、『パートナーシップ制度』で良い、というご意見がありました。
これはフジノも過去に議会でとりあげましたが、全く同感です。
せっかくパートナーシップ制度を作っても、戸籍を変えない方を排除するような仕組みは完全に間違っています。新たな排除や差別を生むような仕組みにしては絶対にいけません。
不動産業者向けのステッカーの掲示について
昨年フジノが9月議会で提案して、今年新たに予算化された取り組みがあります。
同性カップル等パートナーに理解のある不動産事業者向けにレインボーステッカーを横須賀市が提供して、掲示するというものです。
人権・男女共同参画課長から、このステッカーの図案として4種類が示されました。
どの図案が良いかという問いかけと同時に、この取り組みへの率直なご意見を求めました。
頂いたご意見としては、
- トランスジェンダーの方や性別移行中の方が戸籍上の書類と外見が異なっていることで、奇異な目で見られるようなことが無いようにしてほしい。
- (フジノの質疑を通じて市内の不動産事業者に理解があることは承知しているが)ステッカーを掲示できる不動産事業者はみな、正確な理解が同じレベルとなるように、市が研修をするなど一定の質を担保してほしい。
- ステッカーは掲示してあっても、実際に入居できる物件が無くては意味が無い。物件のリストがあってほしい。
- 現在では不動産物件を探すのにリアルの店舗を訪れる前に、まずスマホやパソコンで物件を探すことがほとんどだ。そこで、理解ある不動産事業者のサイトにはステッカーと同じように横須賀市公認のロゴマークを掲出してほしい。
さらに
- 不動産事業者以外にも、ちゃんと性的マイノリティについて理解して配慮ができる病院や診療所に対してもこうしたステッカーを掲示してほしい。
というご意見をいただきました。
(これはとても素晴らしいご意見でしたので、フジノは後日お会いする予定の医師会の方々に提案させていただくことにしました)
第2部は、2グループに分かれて車座で意見交換をしました
第2部は、2つのグループに分かれて自由な意見交換をしました。
ここ数年間、ここで頂いたご意見をフジノは一般質問として提案し、横須賀市も施策の参考にさせていただいてきました。とても大切な意見交換です。
フジノが参加したグループでは、横須賀市が導入するパートナーシップ制度に対して意見が集中しました。
- とにかく導入はファーストステップに過ぎない。早く始めてほしい。
- 私達は特別扱いをしてほしいのではない。男女間の結婚と同じ権利を回復してほしいだけ。
- 男女間ならば遺産相続ができるが今はできないから贈与するしか無い。それでは税金もより多くかかる。異性婚と同じようにしたい。
- 宝塚市はパートナーシップの利用者がゼロだけれど、「じゃあ、いらないか」と思ってほしくない。
- 申請できない事情がある。行政に自分の個人情報をさらすことになる恐怖感もある。実績がゼロだから制度がいらないのでは無いことを理解してほしい。
- すでに民間企業は進んでいて、生命保険会社の営業の人から「横須賀市にはパートナーシップ制度は無いのですか?」と尋ねられた。制度が無いと利用できない保険もある。早く実現してほしい。
- パートナーシップ制度を使うこと=カミングアウトになってはいけないと考えている。申請することでアウティングにならないように気をつけてもらえたら。
性的マイノリティ関係課長会議メンバー側からも
- 横須賀市役所には4000人もの職員が居るので、たまたま当たった職員に理解が無い者がいるかもしれない。けれども我々は全力で啓発に力を入れてきた。横須賀市役所は常に意識を高める努力をしている。
- パートナーシップ制度があれば社会の目が変わるということを私も強く感じている。今は社会が成熟していない。だからこそパートナーシップ制度を確立していくということが大切だと思う。これはゴールではなくて1つのステップ。
- 不動産屋さんもさることながら、病院のお話は特に切実だと思った。どうにかしなければいけない問題だと強い危機感を持った。
- 今、私はセクシュアリティに関する会議に出ているような気がしない。人間の有り様という意味で、ここで議論されていることは全ての人々に関わっている。
- 横須賀では教職員に対して、新任者研修の中にセクシュアリティに関する研修を導入した。年次研修にも入れているので、教職員の年齢が高くても必ず学ぶようになっている。ただ、どこまでやっても完成というのは無い。全員が理解するには時間がかかる。
- 古い風習は残っているが、けれども必ず時代は変わっていく。
などの意見が出ました。
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意見交換会は、盛況に終わりました。
まだまだ横須賀市の取り組みは不十分です。
けれども当事者のみなさまの声をお聞きすることだけは絶対に続けていきます。
来年以降も必ず開催していきますので、あなたもぜひご参加下さいね
このブログに記したのは、今日の意見交換会で実際に出た意見のほんの一部に過ぎません。
ただ、どの意見にも共通していたように感じたのは
今はまだ出発点に過ぎない。
というものでした。
フジノも全く同感です。
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この数年間、異常なほどの『LGBTブーム』が起こっています。
NHKでは『ハートネットTV』などでセクシュアリティについて毎週のように何かしら放送されて、新聞も大きく取り上げます。
毎年開催されている東京レインボープライドは、参加人数がどんどん増えています。昨年は13万人、今年は15万人でした。どこまで増えるでしょうか。
まるでバブルです。そう、バブルは必ずはじけていきます。
過去にフジノはこれと全く同じ体験をしたことがあります。
それは2006年の自殺対策基本法成立前から沸き起こった『自殺対策ブーム』です。
ブームは、やがて消えます。
フジノはこのメディアと企業が中心となって進めている『LGBTブーム』は、2020年の東京オリンピック・パラリンピックが終われば消えると考えています。
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けれどもフジノには、ブームなんか全くカンケーありません。
この10年間、横須賀でひとりきりで『性的な多様性の保障』について議会で取り上げてきました。
フジノが進めてきた取り組みが全国トップに横須賀を押し上げたと今年5月、突然に発表されました。
けれどもフジノは世間のブームとは一切カンケーなく、コツコツと取り組みを進めてきました。
命を守りたい。
ただその一心で取り組みを進めてきました。
ブームだろうが、ブームが終わろうが、そんなのどうでもいいんです。
この10年間ずっと地味に地道に続けてきた取り組みを、昨日までと同じように今日も明日もひたすら続けていくだけです。
横須賀のLGBTs施策が全国トップになったのだって、まわりが勝手に評価しているだけのことです。
自殺対策もそうやって16年ずっと進めてきた結果、2016年には過去20年で犠牲者数が最少となりました。
メディアが騒ごうがブームが消えようが、企業がダイバーシティを進めようが尻つぼみになろうが、フジノは続けるだけです。
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だから横須賀市は必ず来年もこの意見交換会を開催します。
そして、あらゆる取り組みを前へ進めていきます。
どうかあなたも来年は意見交換会に参加してみて下さいね。
あなたの声が、取り組みを必ず前に進めていきますから。