国内にわずか50人しかいない専門医をお招きすることができました
前回の平山史郎先生に続いて、横須賀市の妊活・不妊症セミナーは素晴らしい方を講師としてお招きすることができました。
湯村寧先生(横浜市立大学附属総合医療センター生殖医療センター泌尿器科部長)です!
我が国に『泌尿器科生殖医療専門医』はわずか50人しかいません(※)。
湯村先生がまさにそのお1人です。
(※2019年にようやく55人に増える予定だそうです。それでも少ない!)
そして湯村先生は『男性の不妊治療の専門家』です。
実際は不妊症の原因の半分は男性なのに、まだまだ不妊症というと女性ばかりに原因があるとの社会の偏見が根強いです。
そんな中で湯村先生は男性不妊の情報発信・啓発活動を積極的に行なっておられます。
さらに、AYA世代のがんにかかってしまった方々がこどもを持てるように、という取り組みでも湯村先生はとてもよく知られています。
男女一緒に不妊治療を受けられるのは神奈川県内1ヶ所しかありません
さらに、湯村先生が部長を務めておられる横浜市立大学附属市民総合医療センターの生殖医療センターも特別な存在です。
夫婦で立ち向かわねばならないのに、不妊症治療のクリニック・病院は、専門性によって検査・治療できる対象が男性のみか女性のみと分かれていることがほとんどです。別々のクリニック・病院に通わねばならないのです。
そんな中で、横浜市立大学附属市民総合医療センターの生殖医療センターは夫婦で一緒に治療を受けられる神奈川県でたった1ヶ所しかない施設なのです。
湯村先生は夫婦同時に不妊治療をスタートすることの重要性を強く訴えておられます。
今日の講演でも強調しておられましたが、夫婦ともに介入することがより妊孕性を高める(妊娠しやすさを高める)ことになるそうです。
講演では新たな学びがたくさんありました
今日は、まず前半45分間がお話、10分休憩をして、後半45分もお話というかなり本気で学べる講演会でした。パワーポイントも90枚くらいありました。
その後の質疑応答も含めて、湯村先生のすごい熱意を感じました。
新たな学びがたくさんあったのですが、あまりにもたくさんの知識を得たのでどれから記して良いのか迷ってしまいます。
90枚超のパワーポイントからフジノが少しだけご紹介したいと思います。
まず知ってほしい基本的な事柄
- 全てのカップルの6組に1組が不妊症。
- 昨年生まれたこどもの17人に1人が体外受精におかげで生まれた
- WHOによる不妊症の原因調査では、男性が原因は48%
- 世界的に調査結果をみても今も昔も不妊症の原因の半分は男性である
ここまではかなり知られてきましたよね。
ぜひ知ってほしい、男性の現実
- 不妊症でない男性の精液を検査した結果、4人に1人は異常あり
- 不妊外来を受診したカップルを検査した結果、男性の75%は精子に何らかの異常あり
→不妊の原因は男性が50%というのは低めの数字ではないか - 精子の数や運動率も大事だが、精子の質(DNAの壊れ方=断片化率)も大切
- 精子のDNAが壊れている断片化率が高いほど妊娠しづらい
- 精子の数が少ない=精子を作る力が弱い
- 精子の数が少なければ少ないほど、DNAが壊れている
- 加齢とともに精子の数・運動率・正常形態率は低下し、DNA断片化率は上昇する
→「男はいくつになってもこどもが作れる」というのは神話に過ぎない
不妊症治療でクリニックに行くと、男性は精子の数や運動率のデータをドクターから渡されます。
それをみて数や運動率が高くて「自分はなんの問題も無い」と喜ぶ男性もとても多いと思うのですが、実際にはDNAの壊れ方(断片化率)もとても大切なのです。
でも、一般的な不妊症治療クリニックでは体外受精の時に男性の精子をそこまで調べません。
受精できなかった時、着床しなかった時、女性ばかりが落ち込むことが多いのですが、実際には男性側に大きな原因があることも多い訳です。
こうした知識や正確な情報が無いままにただ女性メインの不妊治療だけを受けていれば、妊娠しないままに時ばかりが経っていくことになってしまいます。
男性不妊症の原因
(パーセンテージは厚生労働省の平成27年度研究より)
- 造精機能障害=精子が作れない 82.4%
- 精路の異常=閉塞により精子が射出できない 3.9%
- 勃起・射精障害 13.5%
- 精子自体の問題=精子はあるが、運動していない 0.2%
もう1つ、逆の都市伝説として「男性不妊は治せない」というものがあります。
決して一概にそうとは言えません。むしろ、いろいろな治療の引き出しを持ったドクターに出会えれば、改善しますし、妊娠できる可能性も上がります。
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この後、治療法について記したいのですが、ブログを更新する時間が無くなってしまいました。
また後日記したいと思います。ごめんなさい。